十八話 正体
ミイラ、あの時会った時に名乗っていた[ミイラ]が出てくるということなのか?
いやわからない、そんなことよりも生に話さないと、
「生」
「ん?」
「あとで話すって言ったろ?」
「あー、そうだね」
なぜか生は少し顔がほてっていてぼーっとしている。
「生、おーい」
俺は生の強引にあっち向いてホイをしている顔のほっぺたを持ち、俺の方へと振り向かせる。やはりその分距離は近くなる。
そしたら生の顔との距離も近くなる。
さらに生の顔が赤くなる。
「独…」
「あのさ、恋人のファーストキスする前の時みたいにするのやめてもらえますー?」
こうやって冗談のように言っておかないと、親友からさらに関係を高めようとしなくていいのだから。そう思うことで俺まで照れることはない。
生は明らかに残念そうにしている。
仕方ない、俺はさらに生に近づく。
「生香じゃん」
生と対面しているので声をかけてきた人は俺からすればわかる。
生はハッとして後ろを向く。
「あ、加那ちゃん」
「もしかして邪魔した?」
「そんなことないよ…独もそんな厳しい顔をしない」
いけない。しかし加那さんもそうなのだろうか?
「加那ちゃんもこのゲームに巻き込まれたの?」
「うん、そうだね」
俺は覚悟を決めて聞くことにした。
「加那さん」
「なんでしょうか?」
「加那の名字って雨に虎であってる?」
「そうですけど…それがどうかしたんですか?」
「じゃああと二つだけ、あの男の話は聞いた?」
「もちろんですけど、ラストの質問はなんですか?」
「加那のことを疑っているけれども…」
「けれども?…」
「それの確認をしたいの、そうだね、あめふらしに漢字があることは知ってる?」
急に加那さんは厳しい顔をした。
生は驚いて俺の後ろに隠れる。
「知っているんだね、あともう一人隠れているんだろ?」
薄々分かってきたことなのだがな。
「進できてきて」
「おう」
そして木乃伊進が出てくる。最悪逃げることも視野に入れないと俺の最悪の考えに合ってきている。
だから俺は手をポケットに入れる。刀をすぐに取り出せるようにする。
後ろにいる生は刀を取り出そうとしていることに気が付き、俺の背中にへばりつく。
それで合ってる。
「話を戻すがあめふらしは加那の雨虎って漢字なんだ、ただそれだけなら良かった」
「よかった?」
加那さんは疑問に思う。
「だって他にも雨虎っていう名前の人はたくさんいるはずだ、だから偶然で片づけられた、でも木乃伊君が出てきて確信に変わったよ」
「進、やるよ」
「おう」
俺はギリギリまで引きつける、その間に少し後ろの方に動く。
それでも俺は話すことをやめない。
「木乃伊って漢字はミイラって呼ぶんだよな」
「進やって!」
木乃伊は殴りかかってくるが俺は崖から落ちる。つまり生も同じように落ちる。
実は俺と生が最初にいた場所は崖少し手前であった。だから俺は崖の上から見える景色を見ていた。
そして今、崖から落ちた。
「生、絶対に離すなよ」
生は頷いていた。
俺は刀を出して地面に着く直前に『浮遊』と思うと地面から10cmのところで浮いていた。そして10cmから降りる。
しかし、
「霧、濃いね」
「ああ」
新たに問題ができたな。
「取り逃した、崖から落ちるなんて」
「仕方ない、でもよくわかったね、漢字にすると私たちになるって」
「そうだな」
「一応、伝えておこう、じゃあ私たちは計画通りに」
「了解」
そうして加那と木乃伊はわかれた。