十七話 ゲームスタート
「うぅ」
俺はうめき声を上げて目を開ける。
そこには生がいた。ちゃんと別れないように手を繋いで。
「うぅん、あ、独」
「ああ、おはよう」
俺と生は手を離さないように立ち上がる。
「どうやら生きているみたいだな」
「そうだね…これってどういうこと?」
「俺にさっぱりわからん、でも少しひらけたところがあるから降りようか」
「そうしよ」
俺と生が見たのは見覚えがない景色だ。
周りを見ると人が集まっているところがあるので向かうことにした。
「やっと、全員集まりましたね」
そこにいたのは何十人いる人と仮面にハットを被った男。
「私は名前は…そうですね…あめふらしと名乗りましょうか、ダサい気もしますが…ではみなさんも気になっていることをお伝えしましょう」
その男は人々の様子を伺う。俺と生はただ呆然としていた。
「そうですね…簡単に言えば人命をかけたゲームということになりますね」
なるほど、これは困った。
「皆さんはここに来る前は意識がありませんでした、正確に言えば"死んだ"ってことになりますね」
男はそう淡々と言っていく。さすがにガヤガヤとしだす。
男は話すことをやめて、ガヤガヤしている様子をじっと見ている。
俺はその様子を観察する。
いや、そんなことはないはず…本当にそうなら本当に面倒なことになるぞ。
そして数分経ち、男は再開した。
「ルールは簡単ですよ、この山から脱出して下さい、それだけです」
…そういうことか。
「生」
小声で話しかける。
「なに?」
生も小声で聞いてくる。
「あの男が話し終わったら俺らはすぐに起きたところに戻るぞ」
「なんで?」
「可能性がある、生き残れる可能性が」
「山から脱出するだけだよ?なんで下に行かないの?」
確かにその通りだ、しかしただ下に降るだけで終わるのか?だってあの男は誰かからの命令を受けているはずだ、そんなに簡単ものにする意味がない。
つまりなにかあるということになる。
「あとで話す」
「最後に一つ、ミイラがよく出没することがあるので気をつけてください」
「じゃあ、行こう」
俺は生の手を握ったまま自分達が起きた場所に戻った。大多数は下に降りている。でもこれでいい。
きっとこの中の数人はかませ役があるに違いない。
だから俺と生は絶対かませ役にはならないために。
こうしてゲームが始まった。不透明なゲームが。