十三話 ピンチですね〜
俺は夜道を走る。
思った以上にこの刀は優秀、優秀すぎる。
なんだよ、探知ができるってただでさえ強い能力がさらに強いだけやん。
さて刀が示しているのはこの工場か。工場といっても調べたら数年前から買い取り手がいなかったりで今は放置されている場所だ。
俺はそっと工場の壁の薄いところに耳を当てる。すると声が聞こえた。
「計画の方はどうですか?」
「順調です」
「そう、なら体育祭が終わり次第行動に移すわ」
「御意」
そのことを聞いた俺は工場から少し離れたところに向かう。そこにはコンビニがあったので入ることにした。
そこで素早くカフェラテを買い、席に座り刀を握り『透視』を行う。俺が聞いたあの声は一度聞いたことがある。
やはり百雨莉だった。
もう一人のやつは見たことがなかった。
!!!
俺はすぐに透視を止める。
今、見られた気がする。
俺はカフェラテを飲んでいく。
できるだけ早くではなくスマホをいじりながら。
すると数分後、百雨莉がコンビニ入ってくる。
そこで炭酸ジュースを買っていた。
「あら、三灼さん、こんな時間にこんなところに?」
「まぁ、カフェラテを飲みたかったもので、それで百雨さんはどうしてこんな時間に?レディなら危険でしょう?」
「そうですね、ここのコンビニにとある人がいるかなと思いまして」
「とある人とは?すみませんここまで踏み込んでしまって」
「いえいえ、お気になさらず、でも三灼さんではないので」
「そうですか、自分はこれで」
俺はカフェラテの抜け殻をゴミ箱に捨てて歩いて帰ることにする。
今、走って帰ることは疑われてしまう可能性がある。
俺は工場を来た道を通る。そして家に帰るまでに人が混雑している大通りがある。そこから走った。
しかし余計に訳がわからない。百雨莉の母は百舌鳥さんだ、しかし百舌鳥さんは百雨莉のしていることを知らない。忙しいそれで片付けていいのか?
今は家に帰ろう。
「ただいま」
「おかえり」
生が待っていた、そして俺は油断した。
次の瞬間生に刺された。
運が良かったことに脇腹、俺はすぐに後ろに引く。
俺ならわかる、こいつは生ではない。だって長年いるからそんなもの勘でわかる。
「加那さんか…」
「そうですよ」
家から外から出てくる。
怒りを抑えろ、自分。けしてもう一度あのことにならないように。
「そんな怒っている顔して…生は大丈夫です、というか今解きます」
そう言った瞬間生が倒れる。しかしゆっくりなので頭を強打したわけではない。
「私は貴方も気づいているはずですよね?」
「いや、なんのこと?加那さんがなに者かなんて知らない、でも生にそういうことさしたってことはわかるわ」
「そうですか、前半のところは嘘で後半は本当、なかなかいやらしいことをしてきますね」
「なにが嘘だ!」
「おやおや演技をしても無駄ですよ、だって貴方は知りたいから行動に移したそうではないんですか?」
「は?なにを言っている?」
「加那、それぐらいにしておきなさい」
「すみません、莉様」
俺は後ろを振り向く。そこには百雨莉がいた。
「貴方はこの状況がわかっているのですか?」