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十話 夢を今まで持ったことがない。

「独」


「ん?どうした?」


 お風呂から上がってきてそうそう言われる。


「明日、仕事あるんだけど、来てほしい」


「はっ?」











次の日、俺と生は学校が終わり一緒に仕事場に直行していた。


「本当に大丈夫だよね?」


「心配しなくてもちゃんと仕事には友達が来ていいか確認したから、そしてOKだったから」


「それって前々からしてただろ?」


「な、なんでそう思うの?」


「勘、生のことだし、なんか自信満々に『友達が来てもいいでしょうか?』みたいなことしてそうだから」


「え、独ってエスパー?」


「違うって当たっているんだ」


「は!ち、違うに決まってるんじゃん」


「ならなんでそんなにも声が安定していないだ?普段ならありえないのに」


「独のいじわる〜」


 生が俺の背中をポコポコと叩いてくる。痛くないから怒っていないことがわかるのだが…意外だな生がこう同学年では俺としか話していないから、それでもそんなことを言っているなんて。



そうして、


「ここ」


 生はそう言い、建物に入っていく。俺もあとについていく。

 なんかもうポケットに縮小化された刀が入っているのが当たり前になってきた気がする。一日前からだったはずだけど。


「モグラちゃんと誰?」


「百舌鳥さん、この前に友達が来てもいいかって聞いたじゃないですか」


「三灼独楽と言います、よろしくお願いします」


「私は百雨百舌鳥はくうもずよ、よろしく」


 百舌鳥さんは名刺を差し出してくる。

しかし俺には名刺なんて持っていない。


「ありがとうございます」


俺は名刺を受け取る。

 百雨?まさか…いやこれといった関わりがないから聞かない方がいいだろう。


「独」


「なに?」


「ちょっと耳貸して」


「おけ」


 俺と生は近づく、そして生は小声で、


「私、芸名を青森あおもりモグラだから」


「了解」


土竜生香だからモグラか、そういうことね。


「あらあら、何を話しているの?」


「ちょっとね」


「えー、なになに?」


「さぁ、行きましょう、独」


「了解」


「ってなんで少し笑顔なんですか?」


「生がこんなにも育っていたんだなーって」


「ちょっと!親みたいな感じはやめて!」


「独君、モグラちゃんと会った時今どう違うの?」


「百舌鳥さん、そうですね…「ちょっと!独も百舌鳥さんもやめて下さい」


 そう会話しながら歩いていく、生と百舌鳥さんの後についていく。

 そしてこの前テレビで見たマイクがあった。


「じゃあ、独はここで見といてね」


 生に防音室が見える位置にいるように言われる。

他の声優さんも入っていく。どうやら会話シーンのようだ。

 そして俺は棒立ちで生の姿を見ていた。その姿は俺にとって輝いて見えた。俺は今まで夢を持ったことがないから…。


「独君、なにか驚いているようだけど?」


 生達が休憩している時に百舌鳥さんに聞かれる。


「あ、いえ、自分は今まで夢を持ったことがないのでこうした人達を見ると輝いて見えて…すいませんね」


「私もこうしている見てるとね、輝いているのはわかる、でも夢がないなら作ればいい、独君がここまでどんな道を歩んだかは知らないけど、夢を持つことは良いことだから」


「分かりました、でもその前に俺は知らないといけませんから、今までに知らなかったものを」


「頑張ってね」


「はい」


 そして百舌鳥さんは戻っていった。生の家に住み始めてすぐだけれどもこうもありなのか。

 笑えてくる。あのころと同じように。

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