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冒険者ギルドのリセットマラソン

作者: しいたけ

私は面倒なのでリセマラしない派です。

そして後から「やっぱりリセマラすれば良かったぁ……」と後悔する派です。

 この王国内において憧れる職業ランキング不動の一位である『冒険者』になる為、俺は冒険者ギルドへとやってきた。


 冒険者が何故人気かと言うと、ギルドへ登録すると『スキル』が一つ貰えるのだ。危険が伴う冒険者に少しでも安全に冒険して貰いたいとの国の配慮だろう。


 スキルは他の職業では貰うことが出来ず、冒険者になった後に貰ったスキルを活かしてそのまま安全な他の仕事に就く人も居るくらいだ。何より登録料が無料なので気軽に登録できるのだ。


 しかし問題が一つだけ存在する。



 それは、貰えるスキルがランダムである。と言う点だ。



 何が貰えるか分からない物をどうやって冒険に役立てるのか些か不思議ではあるが、中には本当に役に立たないスキルを貰ってしまった人もおり、そのまま冒険者人生を諦める人も居る。



 ……が、俺は知っている。なんと、冒険者ギルドへの登録を抹消してスキルを消滅させれば再びギルド登録出来るという裏ワザを! ……俺は知っている! 埃を被ったパンフレットの隅っこに小さな文字で書いてあったのだ……だから知る人は少ない。そして二つ以上スキルを持っている人は勿体なくて抹消しない。故にスキルを何一つ持っていない俺には好条件である。


 名付けて『リセットマラソン大作戦』だ。うん、そのまんま。




「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録の旨を告げる。すると登録用紙を渡され名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入する。それだけでオーケーだ。


「それではスキル抽選に移りますね」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「…………?」


 ガラガラを二、三周させるとポロッと小さな白い玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます。五等です」と笑顔で微笑んだ。商店街で五等だと……まさかティッシュじゃないだろな?


「それでは五等のクジをどうぞ」


 と、今度はビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前に置くお姉さん。金網のガラガラの中には数字の書かれた白い玉がたくさん入っており、俺が適当に回すとコロリと『26』と書かれた玉が転がり落ちた。


「おめでとうございます。【ティッシュの最初の一枚が上手に取り出せるスキル】です!」


「やっぱりティッシュかよ……」


 思わずポロリと漏らしてしまったが、とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺は半分上の空で適当に話を聞き流した。


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「……無いです」


「それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「へーい……」



 席を立つと俺はそのまま隣の受付へと並んだ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げる。すると抹消用紙を渡され、名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入する。それだけでオーケー。


「……はい、確かに受け付けました。只今をもちましてスキルの方も消滅致しましたので御注意下さいませ。本日はありがとうございました。また何かの折には冒険者ギルドを宜しくお願い致します」


 抹消も終わり、俺はまたもや登録の受付へと並んだ。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録の旨を告げる。すると登録用紙を渡され名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入する。それだけでオーケーだ。二回目だろうが事務的な流れは変わらない。お姉さんの態度も変わらず気分は最高。


「それではスキル抽選に移りますね」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「…………」


 ガラガラを二、三周させるとポロッと小さな白い玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます。五等です」と笑顔で微笑んだ。また五等だ。


「それでは五等のクジをどうぞ」


 と、今度はビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前に置くお姉さん。金網のガラガラの中には数字の書かれた白い玉がたくさん入っており、俺が適当に回すとコロリと『45』と書かれた玉が転がり落ちた。


「おめでとうございます。【部屋で焼肉をしても翌日には部屋の臭いが取れているスキル】です!」


「いらねぇ……」


 思わずポロリと漏らしてしまったが、とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺は半分以上上の空で適当に話を聞き流した。


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「無いです」


「それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「へーい……」



 席を立つと俺はそのまま隣の受付へと並んだ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げる。すると抹消用紙を渡され、名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入する。それだけでオーケー。こっちのお姉さんも態度が変わらず事務的なので好印象。


「……はい、確かに受け付けました。只今をもちましてスキルの方も消滅致しましたので御注意下さいませ。本日はありがとうございました。また何かの折には冒険者ギルドを宜しくお願い致します」


 抹消も終わり、俺はまたもや登録の受付へと並んだ。


 次で三回目、そろそろ真面なスキルを見たいぞ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のお姉さんに登録の旨を告げる。登録用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。お姉さんの首に巻いてあるスカーフが気になる。


「それではスキル抽選に移りますね」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「…………」


 ガラガラをちょっと早めに二、三周させるとポロッと小さな黄色い玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます。四等です」と笑顔で微笑んだ。今度は四等。少しは真面なスキルが期待できそうだ。


「それでは四等のクジをどうぞ」


 と、今度はビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前に置くお姉さん。金網のガラガラの中には数字の書かれた黄色い玉がたくさん入っており、俺が適当に回すとコロリと『6』と書かれた玉が転がり落ちた。


「おめでとうございます。【どんなに空腹でも歌っている間は餓死しないスキル】です!」


「使え……るのか?」


 思わずポロリと本音を漏らしてしまったが、とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺はほぼ上の空で適当に話を聞き流した。


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「無いッス」


「それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「へい」



 席を立つと俺はそのまま隣の受付へと並んだ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げる。抹消用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。こっちのお姉さんはスカーフを巻いていない。


「……はい、確かに受け付けました。只今をもちましてスキルの方も消滅致しましたので御注意下さいませ。本日はありがとうございました。また何かの折には冒険者ギルドを宜しくお願い致します」


 抹消も終わり、俺はまたもや登録の受付へと並んだ。


 四回目。まあ、そんな直ぐに高スキルが出るとは思っていないから気長に行こうか。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のお姉さんに登録の旨を告げ、登録用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。よく見ると登録のお姉さんは耳の付け根に小さなホクロがあった。


「それではスキル抽選に移りますね」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「…………」


 ガラガラをちょっと二、三周させるとポロッと小さな白い玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます。五等です」と笑顔で微笑んだ。


「それでは五等のクジをどうぞ」


 お姉さんはビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前へ。金網のガラガラの中には数字の書かれた白い玉がたくさん入っており、俺が適当に回すとコロリと『35』と書かれた玉が転がり落ちた。


「おめでとうございます。【化石発掘力10%UPスキル】です!」


「ようやく冒険者っぽいスキルキター!」


 思わず大声でポロリと本音を漏らしてしまったが、とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺はほぼ上の空で適当に話を聞き流した。


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「無いでーす」


「それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「はーい」



 席を立つと俺はそのまま隣の受付へと並んだ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げる。抹消用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。こっちのお姉さんはホクロが……あった、首の真ん中辺りに二つ。


「……はい、確かに受け付けました。只今をもちましてスキルの方も消滅致しましたので御注意下さいませ。本日はありがとうございました。また何かの折には冒険者ギルドを宜しくお願い致します」


 抹消も終わり、俺はまたもや登録の受付へと並んだ。


 五回目、段々数えるのが面倒になってきた。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のお姉さんに登録の旨を告げ、登録用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。毎回書くのがダルくなってきた。コピーしたのを渡したい。


「それではスキル抽選に移りますね」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「…………」


 ガラガラを二、三周させるとポロッと小さな赤玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます。二等です!」と笑顔で微笑み鐘を鳴らした。


「それでは二等のクジをどうぞ」


 お姉さんはビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前へ。金網のガラガラの中には数字の書かれた赤い玉がたくさん入っており、俺が適当に回すとコロリと『11』と書かれた玉が転がり落ちた。


「おめでとうございます。【異性への告白成功率50%UP】です!」


「マジか、すげぇ!!……あ、元々0%だと50%しかいかないやん。ダメじゃんか…………お姉さん付き合って下さい」


「ゴメンナサイ」


「クソスキル確定……」


 思わず大声でポロリと本音を漏らしてしまったが、とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺はほぼ上の空で適当に話を聞き流した。


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「二等でコレなの?」


「はい。それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「マジかぁ……」



 席を立つと俺はそのまま隣の受付へと並んだ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げる。抹消用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。こっちはコピーで良くないか?


「……はい、確かに受け付けました。只今をもちましてスキルの方も消滅致しましたので御注意下さいませ。本日はありがとうございました。また何かの折には冒険者ギルドを宜しくお願い致します」


 抹消も終わり、俺はまたもや登録の受付へと並んだ。


 次で六回目、二等は嬉しいが俺向けのスキルが欲しいぞ……。




「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のお姉さんに登録の旨を告げ、登録用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。お姉さんは茶髪のミドルショート。やや出っ歯だ


「それではスキル抽選に移りますね」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「…………」


 ガラガラをちょっと二、三周させるとポロッと小さな白い玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます。五等です」と笑顔で微笑んだ。


「それでは五等のクジをどうぞ」


 お姉さんはビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前へ。金網のガラガラの中には数字の書かれた白い玉がたくさん入っており、俺が適当に回すとコロリと『35』と書かれた玉が転がり落ちた。


「おめでとうございます。【化石発掘力10%UPスキル】です!」


「被った!?」


 思わず大声でポロリと本音を漏らしてしまったが、とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺は100%上の空で適当に話を聞き流した。


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「無」


「それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「…………」



 席を立つと俺はそのまま隣の受付へと並んだ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げる。抹消用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。こっちのお姉さんは眼鏡がダサい。


「……はい、確かに受け付けました。只今をもちましてスキルの方も消滅致しましたので御注意下さいませ。本日はありがとうございました。また何かの折には冒険者ギルドを宜しくお願い致します」


 抹消も終わり、俺はまたもや登録の受付へと並んだ。


 次で七回目。リセットマラソンがこんなにしんどいとは…………。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のお姉さんに登録の旨を告げ、登録用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。登録用紙の角が折れているけど気にしない。


「それではスキル抽選に移りますね」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「…………」


 ガラガラを二、三周させるとポロッと小さな緑色の玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます。三等です!」と笑顔で微笑み鐘を鳴らした。


「それでは三等のクジをどうぞ」


 お姉さんはビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前へ。金網のガラガラの中には数字の書かれた緑色の玉がたくさん入っており、俺が適当に回すとコロリと『78』と書かれた玉が転がり落ちた。


「おめでとうございます。【地元の特産品20%OFFスキル】です!」


「……これでいいか。転売で儲けよう」


 思わず大声でポロリと本音を漏らしてしまったが、とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺はほぼ上の空で適当に話を聞き流した。


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「地元って……何処の地元?」


「アンドロメダ星雲です。それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「マジかぁ……無いわぁ……」



 席を立つと俺はそのまま隣の受付へと並んだ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げる。抹消用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。ボールペンのインクが切れかかって文字がカスカスだ。


「……はい、確かに受け付けました。只今をもちましてスキルの方も消滅致しましたので御注意下さいませ。本日はありがとうございました。また何かの折には冒険者ギルドを宜しくお願い致します」


 抹消も終わり、俺はまたもや登録の受付へと並んだ。


 次で八回目、大丈夫? 皆飽きてない?



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のお姉さんに登録の旨を告げ、登録用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。お姉さんの服のボタンが一つ取れそうで気になる。


「それではスキル抽選に移りますね」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「…………」


 ガラガラを二、三周させるとポロッと小さな銀色の玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます。一等です!」と笑顔で微笑み鐘を鳴らした。


「それでは一等のクジをどうぞ」


 お姉さんはビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前へ。金網のガラガラの中には数字の書かれた銀色の玉がたくさん入っており、俺が気合を込めて回すとコロリと『3』と書かれた玉が転がり落ち光り輝いた。


「おめでとうございます!【属性攻撃被ダメージ半減スキル】です!」


「よっしゃあ!!!!」


 思わず大声でリセマラの終わりを告げる雄叫びを上げた。とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺は真面目にお姉さんの話を聞いた。


「おめでとうございます!!【ハーレムスキル】になります!!」


 話の最中で別な受付の小汚いハゲたオッサンが羨まけしからんスキルに当選していた。


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「ハーレムスキルって何等ですか?」


「特賞です。それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「うん、リセマラ続行」



 席を立つと俺はそのまま隣の受付へと並んだ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げる。抹消用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。試しにボールペンで腕を刺してみたがいつもより遥かに痛くない。ちゃんと射属性も半減のようだ……。


「……はい、確かに受け付けました。只今をもちましてスキルの方も消滅致しましたので御注意下さいませ。本日はありがとうございました。また何かの折には冒険者ギルドを宜しくお願い致します」


 抹消も終わり、俺はまたもや登録の受付へと並んだ。


 次で九回目、狙うはハーレムスキルだ。その為なら何回でも並んでやる……!!




「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のお姉さんに登録の旨を告げ、登録用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。お姉さんのまつげ長いな……。


「それではスキル抽選に移りますね」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「…………」


 ガラガラを二、三周させるとポロッと小さな緑色の玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます。三等です!」と笑顔で微笑み鐘を鳴らした。


「それでは三等のクジをどうぞ」


 お姉さんはビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前へ。金網のガラガラの中には数字の書かれた緑色の玉がたくさん入っており、俺が適当に回すとコロリと『40』と書かれた玉が転がり落ちた。


「おめでとうございます。【コンプレックスが気にならないスキル】です!」


「……(笑)」


 思わず失笑を漏らしてしまったが、とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺は上の空で適当に話を聞き流した。


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「お姉さんはコンプレックスってありますか?」


「……秘密です。それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「スキル発動」



 席を立つと俺はそのまま隣の受付へと並んだ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げる。抹消用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。そろそろ腹減った。


「……はい、確かに受け付けました。只今をもちましてスキルの方も消滅致しましたので御注意下さいませ。本日はありがとうございました。また何かの折には冒険者ギルドを宜しくお願い致します」


 抹消も終わり、俺はまたもや登録の受付へと並んだ。


 次で……十回目だっけ? ちゃんと回数を付けておかないと分からなくなるからな(作者が)



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のお姉さんに登録の旨を告げ登録用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。心なしか今までよりお姉さんの前歯が気にならない。


「それではスキル抽選に移りますね」


 さっきより笑顔のお姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「…………」


 ガラガラをちょっと早めに二、三周させるとポロッと小さな黄色い玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます。四等です」と笑顔で微笑んだ。


「それでは四等のクジをどうぞ」


 と、今度はビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前に置くお姉さん。金網のガラガラの中には数字の書かれた黄色い玉がたくさん入っており、俺が適当に回すとコロリと『12』と書かれた玉が転がり落ちた。


「おめでとうございます。【寄せて上げて2カップUPスキル】です!」


「俺男なんだけど(笑)」


 思わずポロリと漏らしてしまったが、とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺はほぼ上の空で適当に話を聞き流した。


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「無い無い」


「それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「スキル発動」



 席を立つと俺はそのまま隣の受付へと並んだ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げ、抹消用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。こっちのお姉さんはスキルを発動させるまでもない。


「……はい、確かに受け付けました。只今をもちましてスキルの方も消滅致しましたので御注意下さいませ。本日はありがとうございました。また何かの折には冒険者ギルドを宜しくお願い致します」


 抹消も終わり、俺はまたもや登録の受付へと並んだ。


 次で十一回目。一度帰って飯食いたい。




「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のお姉さんに登録の旨を告げ、登録用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。お姉さんの胸がさっきより確実に大きくなっている。取れ掛かっていたボタンは弾け飛んだのか無くなっていた。


「それではスキル抽選に移りますね」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「…………」


 ガラガラを二、三周させるとポロッと小さな白い玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます。五等です」と笑顔で微笑んだ。


「それでは五等のクジをどうぞ」


 お姉さんはビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前へ。金網のガラガラの中には数字の書かれた白い玉がたくさん入っており、俺が適当に回すとコロリと『35』と書かれた玉が転がり落ちた。


「おめでとうございます。【化石発掘力10%UPスキル】です!」


「また被ったぞ!?」


 思わず大声でポロリと漏らしてしまったが、とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺は100%上の空で適当に話を聞き流した。


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「無(笑)」


「それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「…………」



 席を立つと俺はそのまま隣の受付へと並んだ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げ、抹消用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。こっちのお姉さんは多分腹黒だ……なんとなく。


「……はい、確かに受け付けました。只今をもちましてスキルの方も消滅致しましたので御注意下さいませ。本日はありがとうございました。また何かの折には冒険者ギルドを宜しくお願い致します」


 抹消も終わり、俺はまたもや登録の受付へと並んだ。


 次で一二回目。終われるのか、コレ?




「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のお姉さんに登録の旨を告げ、登録用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。視線が自然と胸に行くのは男の性って奴だろう……。


「それではスキル抽選に移りますね」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「…………」


 ガラガラを二、三周させるとポロッと小さな赤玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます。二等です!」と満面の笑顔で鐘を鳴らした。


「それでは二等のクジをどうぞ」


 お姉さんはビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前へ。金網のガラガラの中には数字の書かれた赤い玉がたくさん入っており、俺が適当に回すとコロリと『29』と書かれた玉が転がり落ちた。


「おめでとうございます。【朝のニュースの占いが現実になるスキル】です!」


「……俺、今日の占いで乙女座最下位なんだけど」



 思わず愚痴を漏らしてしまったが、とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺はほぼ上の空で適当に話を聞き流した。


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「冒険者向けのスキル少なくないですか?」


「スキルを活かすのも冒険者の役目ですから。それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「とりまスキル発動……」



 席を立つと俺はそのまま隣の受付へと並んだ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げ、抹消用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。今気が付いたが靴に穴が開いていた。朝の占いのアレか?


「……はい、確かに受け付けました。只今をもちましてスキルの方も消滅致しましたので御注意下さいませ。本日はありがとうございました。また何かの折には冒険者ギルドを宜しくお願い致します」


 抹消も終わり、俺はまたもや登録の受付へと並んだ。


 次で一三回目。1万字いったぞおい。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のお姉さんに登録の旨を告げ、登録用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。因みにお姉さんの正座は山羊座だそうだ。


「それではスキル抽選に移りますね」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「…………」


 ガラガラを二、三周させるとポロッと小さな赤玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます。二等です!」と笑顔で微笑み鐘を鳴らした。また二等だ。


「それでは二等のクジをどうぞ」


 お姉さんはビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前へ。金網のガラガラの中には数字の書かれた赤い玉がたくさん入っており、俺が適当に回すとコロリと『11』と書かれた玉が転がり落ちた。


「おめでとうございます。【異性への告白成功率50%UP】です!」


「うわ!こっちも被りやがった!? お姉さん付き合って下さい(笑)」


「は、はい……♡」


「あ、成功した(笑)」


 思わぬ所で彼女が出来てしまったが、とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺はほぼ上の空で話を聞いた。


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「今日仕事終わったらご飯行かない?」


「はい♪ それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「マジかぁ……パないわぁ……」



 席を立つと俺はそのまま隣の受付へと並んだ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げ、抹消用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。こっちのお姉さんにもスキルを発動させたが失敗した(笑)


「……はい、確かに受け付けました。只今をもちましてスキルの方も消滅致しましたので御注意下さいませ。本日はありがとうございました。また何かの折には冒険者ギルドを宜しくお願い致します」


 抹消も終わり、俺はまたもや登録の受付へと並んだ。


 次で十四回目。田舎のお母さん。ついに僕にも彼女が出来ました。




「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のお姉さんに登録の旨を告げ、登録用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。お姉さんと目が合うとちょっと照れくさい。


「それではスキル抽選に移りますね……♪」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「…………」


 ガラガラを二、三周させるとポロッと小さな緑色の玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます。三等です!」と自然な笑顔で微笑み鐘を鳴らした。


「それでは三等のクジをどうぞ♪」


 お姉さんはビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前へ。金網のガラガラの中には数字の書かれた緑色の玉がたくさん入っており、俺が適当に回すとコロリと『19』と書かれた玉が転がり落ちた。


「おめでとうございます。【イチャイチャしている間は敵に襲われないスキル】です!」


「は、恥ずかしいなぁ……ハハ……ハ」


 思わず照れ笑いを漏らしてしまったが、とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺は幸せの顔で説明を聞いた。


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「子どもは何人欲しいですか?」


「……三人かな♡ それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「はい♪」



 席を立つと俺はそのまま隣の受付へと並んだ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げ、抹消用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。こっちのお姉さんが鬼の形相で俺を睨んでくるんだけど何なん?


「……はい、確かに受け付けました。只今をもちましてスキルの方も消滅致しましたので御注意下さいませ。本日はありがとうございました。また何かの折には冒険者ギルドを宜しくお願い致します!」


 抹消も終わり、俺はまたもや登録の受付へと並んだ。


 次で十五回目。冒険者になる前にお姉さんとゴールインするかも……。




「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のお姉さんに登録の旨を告げ、登録用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。お姉さん……。


「それではスキル抽選に移りますね♡」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「…………」


 ガラガラを二、三周させるとポロッと小さな金色の玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます! 特賞です!!」と最高の笑顔で鐘を思い切り鳴らした。念願の特賞だ!!


「それでは特賞のクジをどうぞ」


 お姉さんはビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前へ。金網のガラガラの中には数字の書かれた金色の玉がたくさん入っており、俺が本気で回すとコロリと『5』と書かれた玉が転がり落ちた。


「おめでとうございます!【一回限りのタイムリープスキル】です!」


「……?」


 思わず首をかしげてしまったが、とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺は上の空で適当に話を聞き流した。


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「タイムリープスキルって何ですか?」


「任意の時間へとやり直せます。けど一回使用すると消滅します。それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「…………」



 席を立つと俺はそのまま隣の受付へと並んだ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げる。抹消用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。


 …………待てよ?


 俺はふと考えた。さっき確か小汚いオッサンがハーレムスキルを当てたよな。ええっと確か…………八回目だ。間違いない。



 俺は一回限りのタイムリープスキルを発動させた!



 八回目でオッサンと変わればきっとハーレムスキルが出るはずだ!!


 俺の周りの時空が歪み、巻き戻しの様に刻が遡り始めた…………あ、でも今日の占い気になるから朝からやり直すか(笑)







 この王国内において不動の憧れる職業ランキング一位である『冒険者』になる為、俺は冒険者ギルドへとやってきた。


 冒険者が何故人気かと言うと、ギルドへ登録すると『スキル』が一つ貰えるのだ。危険が伴う冒険者に少しでも安全に冒険して貰いたいとの国の配慮だろう。


 スキルは他の職業では貰うことが出来ず、冒険者になった後に貰ったスキルを活かしてそのまま安全な他の仕事に就く人も居るくらいだ。何より登録料が無料なので気軽に登録できるのだ。


 しかし問題が一つだけ存在する。



 それは、貰えるスキルがランダムである。と言う点だ。



 何が貰えるか分からない物をどうやって冒険に役立てるのか些か不思議ではあるが、中には本当に役に立たないスキルを貰ってしまった人もおり、そのまま冒険者人生を諦める人も居る。



 ……が、俺は知っている。なんと、冒険者ギルドへの登録を抹消してスキルを消滅させれば再びギルド登録出来るという裏ワザを! ……俺は知っている! 埃を被ったパンフレットの隅っこに小さな文字で書いてあったのだ……だから知る人は少ない。そして二つ以上スキルを持っている人は勿体なくて抹消しない。故にスキルを何一つ持っていない俺には好条件である。


 名付けて『リセットマラソン大作戦』だ。うん、そのまんま。



 とまあ本当に一からやり直しなのはちょっとした違いから当選スキルがズレるのを防ぐためだぞ? ホントだぞ?


 因みに出掛ける前に見た朝の占いで、乙女座はやっぱり『お気に入りの靴に穴が開いてゲンナリ』だった。お姉さんの山羊座は

『一生頭から離れられないくらいの運命の相手が見付かるかも!? 相手も同じで両想い!?』だってさ。待ってろよお姉さん! 纏めて皆ハーレムしてやるからな!?




「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録の旨を告げる。すると登録用紙を渡され名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入する。それだけでオーケーだ。手慣れた手付きで素早く記入……する訳にも行かず普通に買いた。ココでズレたら元も子もない。


「それではスキル抽選に移りますね」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「…………?」


 ガラガラを二、三周させるとポロッと小さな白い玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます。五等です」と笑顔で微笑んだ。商店街で五等だと……まさかティッシュじゃないだろな? と、なるべくなぞるように同じことをする。


「それでは五等のクジをどうぞ」


 と、今度はビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前に置くお姉さん。金網のガラガラの中には数字の書かれた白い玉がたくさん入っており、俺が適当に回すとコロリと『26』と書かれた玉が転がり落ちた。


「おめでとうございます。【ティッシュの最初の一枚が上手に取り出せるスキル】です!」


「やっぱりティッシュかよ……」


 思わずポロリと漏らしてしまったが、とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺は半分上の空で適当に話を聞き流した。


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「……無いです」


「それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「へーい……」



 席を立つと俺はそのまま隣の受付へと並んだ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げる。すると抹消用紙を渡され、名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入する。それだけでオーケー。やる事は変わらない。


「……はい、確かに受け付けました。只今をもちましてスキルの方も消滅致しましたので御注意下さいませ。本日はありがとうございました。また何かの折には冒険者ギルドを宜しくお願い致します」


 抹消も終わり、俺はまたもや登録の受付へと並んだ。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録の旨を告げる。すると登録用紙を渡され名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入する。それだけでオーケーだ。二回目だろうが事務的な流れは変わらない。お姉さんとはまだ何でも無い関係だ。ちょっと勿体ない事をしたかな? 大丈夫、直ぐにハーレムの一員に加えてあげるさ。


「それではスキル抽選に移りますね」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「…………」


 ガラガラを二、三周させるとポロッと小さな白い玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます。五等です」と笑顔で微笑んだ。また五等だ。


「それでは五等のクジをどうぞ」


 と、今度はビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前に置くお姉さん。金網のガラガラの中には数字の書かれた白い玉がたくさん入っており、俺が適当に回すとコロリと『45』と書かれた玉が転がり落ちた。


「おめでとうございます。【部屋で焼肉をしても翌日には部屋の臭いが取れているスキル】です!」


「いらねぇ……」


 思わずポロリと漏らしてしまったが、とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺は半分以上上の空で適当に話を聞き流した。


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「無いです」


「それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「うぃーッス……」



 席を立つと俺はそのまま隣の受付へと並んだ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げ、抹消用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。


「……はい、確かに受け付けました。只今をもちましてスキルの方も消滅致しましたので御注意下さいませ。本日はありがとうございました。また何かの折には冒険者ギルドを宜しくお願い致します」


 抹消も終わり、俺はまたもや登録の受付へと並んだ。


 次で三回目、八回目まで飛ばさないでね?



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のお姉さんに登録の旨を告げ、登録用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。


「それではスキル抽選に移りますね」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「…………」


 ガラガラをちょっと早めに二、三周させるとポロッと小さな黄色い玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます。四等です」と笑顔で微笑んだ。今度は四等。何のスキルが当たっていたか忘れたよ……。


「それでは四等のクジをどうぞ」


 と、今度はビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前に置くお姉さん。金網のガラガラの中には数字の書かれた黄色い玉がたくさん入っており、俺が適当に回すとコロリと『6』と書かれた玉が転がり落ちた。


「おめでとうございます。【どんなに空腹でも歌っている間は餓死しないスキル】です!」


「ああ、これか……」


 思わずポロリと本音を漏らしてしまったが、とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺はほぼ上の空で適当に話を聞き流した。


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「無いッス」


「それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「へいへい」



 席を立つと俺はそのまま隣の受付へと並んだ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げ、抹消用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。お姉さん爪、ボロボロなのに今気が付いた。


「……はい、確かに受け付けました。只今をもちましてスキルの方も消滅致しましたので御注意下さいませ。本日はありがとうございました。また何かの折には冒険者ギルドを宜しくお願い致します」


 抹消も終わり、俺はまたもや登録の受付へと並んだ。


 四回目。まあ、そんな直ぐに高スキルが出るとは思っていないから気長に行こうか……とか思ってたんだっけ?



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のお姉さんに登録の旨を告げ、登録用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。よく見ると登録のお姉さんは耳の付け根に小さなホクロ。可愛い。


「それではスキル抽選に移りますね」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「…………」


 ガラガラをちょっと二、三周させるとポロッと小さな白い玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます。五等です」と笑顔で微笑んだ。


「それでは五等のクジをどうぞ」


 お姉さんはビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前へ。金網のガラガラの中には数字の書かれた白い玉がたくさん入っており、俺が適当に回すとコロリと『35』と書かれた玉が転がり落ちた。


「おめでとうございます。【化石発掘力10%UPスキル】です!」


「ようやく冒険者っぽいスキルキター!」


 思わず大声でポロリと本音を漏らしてしまったが、とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺はほぼ上の空で適当に話を聞き流した。


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「無いでーす」


「それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「はーい」



 席を立つと俺はそのまま隣の受付へと並んだ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げる。抹消用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。こっちのお姉さんはホクロが……あった、首の真ん中辺りに二つ。


「……はい、確かに受け付けました。只今をもちましてスキルの方も消滅致しましたので御注意下さいませ。本日はありがとうございました。また何かの折には冒険者ギルドを宜しくお願い致します」


 抹消も終わり、俺はまたもや登録の受付へと並んだ。


 五回目、段々数えるのが面倒になってきた。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のお姉さんに登録の旨を告げ、登録用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。毎回書くのがダルくなってきた。コピーしたのを渡したい。


「それではスキル抽選に移りますね」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「…………」


 ガラガラを二、三周させるとポロッと小さな赤玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます。二等です!」と笑顔で微笑み鐘を鳴らした。


「それでは二等のクジをどうぞ」


 お姉さんはビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前へ。金網のガラガラの中には数字の書かれた赤い玉がたくさん入っており、俺が適当に回すとコロリと『11』と書かれた玉が転がり落ちた。


「おめでとうございます。【異性への告白成功率50%UP】です!」


「マジか、すげぇ!!……あ、元々0%だと50%しかいかないやん。ダメじゃんか…………お姉さん付き合って下さい」


「ゴメンナサイ」


「失恋が懐かしい……」


 思わずポロリと本音を漏らしてしまったが、とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺はほぼ上の空で適当に話を聞き流した。


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「二等でコレなの?」


「はい。それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「マジかぁ……」



 席を立つと俺はそのまま隣の受付へと並んだ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げ、抹消用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。こっちはコピーで良いだろ。


「……はい、確かに受け付けました。只今をもちましてスキルの方も消滅致しましたので御注意下さいませ。本日はありがとうございました。また何かの折には冒険者ギルドを宜しくお願い致します」


 抹消も終わり、俺はまたもや登録の受付へと並んだ。


 次で六回目。まだかなまだかな?




「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のお姉さんに登録の旨を告げ、登録用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。お姉さんの出っ歯が気になる。


「それではスキル抽選に移りますね」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「…………」


 ガラガラをちょっと二、三周させるとポロッと小さな白い玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます。五等です」と笑顔で微笑んだ。


「それでは五等のクジをどうぞ」


 お姉さんはビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前へ。金網のガラガラの中には数字の書かれた白い玉がたくさん入っており、俺が適当に回すとコロリと『35』と書かれた玉が転がり落ちた。


「おめでとうございます。【化石発掘力10%UPスキル】です!」


「被った!?」


 思わず大声でポロリと本音を漏らしてしまったが、とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺は100%上の空で適当に話を聞き流した。


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「無」


「それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「…………」



 席を立つと俺はそのまま隣の受付へと並んだ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げる。抹消用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。相変わらずのクソダサ眼鏡。


「……はい、確かに受け付けました。只今をもちましてスキルの方も消滅致しましたので御注意下さいませ。本日はありがとうございました。また何かの折には冒険者ギルドを宜しくお願い致します」


 抹消も終わり、俺はまたもや登録の受付へと並んだ。


 次で七回目。リセットマラソンがこんなにしんどいとは…………。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のお姉さんに登録の旨を告げ、登録用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。登録用紙の角が折れている。


「それではスキル抽選に移りますね」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「…………」


 ガラガラを二、三周させるとポロッと小さな緑色の玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます。三等です!」と笑顔で微笑み鐘を鳴らした。


「それでは三等のクジをどうぞ」


 お姉さんはビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前へ。金網のガラガラの中には数字の書かれた緑色の玉がたくさん入っており、俺が適当に回すとコロリと『78』と書かれた玉が転がり落ちた。


「おめでとうございます。【地元の特産品20%OFFスキル】です!」


「アンドロメダ星雲のだっけ?」


 思わずネタバレを漏らしてしまったが、とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺はほぼ上の空で適当に話を聞き流した。


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「地元って……何処の地元?」


「アンドロメダ星雲です。それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「マジかぁ……(笑)」



 席を立つと俺はそのまま隣の受付へと並んだ……。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げる。抹消用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。ボールペンのインクが切れかかって文字がカスカスだ。


「……はい、確かに受け付けました。只今をもちましてスキルの方も消滅致しましたので御注意下さいませ。本日はありがとうございました。また何かの折には冒険者ギルドを宜しくお願い致します」


 抹消も終わり、俺はまたもや登録の受付へと並んだ。


 次で八回目、大丈夫? ついに来たよ?



 俺は隣の列に並ぼうとしているハゲたオッサンより速くその列に並び、何食わぬ顔で順番を待った。



「冒険者ギルドへようこそ♪」


 今までと違う受付のお姉さんに登録の旨を告げ、登録用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。夢のハーレムは目の前だ!


「それではスキル抽選に移りますね」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「……♪」


 ガラガラを二、三周させるとポロッと小さな金色の玉が落ち、お姉さんが「おめでとうございます! 特賞です!!」と笑顔で鐘を思い切り鳴らした。ついに念願のハーレムだ!!


「それでは特賞のクジをどうぞ」


 お姉さんはビンゴカードのガラガラを取り出し俺の目の前へ。金網のガラガラの中には数字の書かれた金色の玉がたくさん入っており、俺が本気で回すとコロリと『1』と書かれた玉が転がり落ちた。


「おめでとうございます!【ハーレムスキル】です!」


「ヨッシャーッ!!!!」


 滅茶苦茶大声で叫んでしまい、ギルド中の視線が俺に向けられちょっと恥ずかしくなった。小汚いオッサンも驚いたのか俺を見て目をパチクリさせている。とりあえずお姉さんの話を聞かない事には終われないので、俺は嬉しさの余り上の空で適当に話を聞き、この後の18禁生活を妄想していた。


「おめでとうございます!【告白成功率50%UPスキル】です!」


 話の途中で隣のオッサンが告白スキルを当てていた。俺が大声を出したせいで歴史が変わり、属性攻撃半減は告白スキルに変わってしまったらしい。ドンマイ(笑)


「それでは登録は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」


「無いです無いです!」


「それでは冒険者ライフを存分にお楽しみ下さいませ♪」


「ありがとう!」


 俺は敬礼をし席を立った。そして手始めに愛しの受付のお姉さんに…………って、アレ?


「お姉さんが居ない…………?」


 ふとした僅かな間に、お姉さんの姿が忽然と消えていた。慌てて受付の人に聞くと「さっきハゲた男の人と一緒に手を繋いで出て行きましたよ?」と衝撃の一言が。


「……や、野郎50%を引き当てやがったな!?」


 俺は慌てて外へと駆け出す。入口の近くで二人を見つけ、無言でハーレムスキルを発動させた!

 

「何処行くー?」

「貴女となら何処までも……♡」


「アレ? 効いてないぞ…………まさか奴のスキルのせいか!?」


 俺は思わず地団駄を踏んだ。


「……ま、いいか。俺にはハーレムスキルがあるから女なら幾らでも出来るさ♪」




 それから俺は女を取っかえ引っかえの生活を送ったが、常に頭の中にはあの受付のお姉さんがチラついていた。そしてお姉さんの影を払拭しようとさらに女漁りを繰り返す。悪循環だ…………






「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のいかにもなお姉さんに登録抹消の旨を告げ、抹消用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。


「……はい、確かに受け付けました。只今をもちましてスキルの方も消滅致しましたので御注意下さいませ。本日はありがとうございました。また何かの折には冒険者ギルドを宜しくお願い致します」



 次で二百五回目。




「冒険者ギルドへようこそ♪」


 受付のお姉さんに登録の旨を告げ、登録用紙に名前と生年月日と住所と靴のサイズと犯罪歴とマイナンバーを記入。お姉さんの出っ歯が愛おしい。



「それではスキル抽選に移りますね」


 お姉さんの手の先に商店街でよく見るガラガラが置いてあり、それを回すよう指示された。


「待ってろよ……必ずタイムリープ出してやるからな…………」

読んで頂きましてありがとうございました!

どっか誤字とか酷い間違いしてても許して(笑)

コピペして確認するのも大変なのよ……ね?

_(´ཀ`」 ∠)_

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[良い点] だんだん面白くなってくので、その過程がいいですね。 [気になる点] 靴のサイズも登録に必要なんですね。 [一言] ちょっと予想とは違った結末に、おっ、と思いました。
[良い点] 失ったものがよく見えるあるあるが深い深いわかりみを醸し出していると思います……嗚呼、人の業……!! [一言] がんばれ主人公。
[良い点] ハーレムよりも一人の女性を取る主人公に好感が持てました。またタイムリープが取れるといいね。 あ、あとリセマラする度に受付のお姉さんの特徴をちょっとずつ気づいていくさまが妙にリアルでした。 …
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