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僕がこの世界で生きるワケ  作者: 京衛武百十
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移動

「大丈夫だよ、おいで」


馬車に乗り込んだリセイがそう言って手を差し出すと、<魔人の少女>もするりと馬車に乗ってきた。


「……」


けれど、乗り込んだところでまた、ティコナとファミューレの方に視線を向ける。ついてきているのを確かめようとするかのごとくに。


「二人も来てくれるから。こっちにおいで」


ライラのすぐ後ろに座ったリセイが、自分の横の座席をとんとんと叩く。『ここに座って』ということだった。


危険ではあるものの、すぐ横に座ってもらった方が何かあっても即対応できるというのと、ティコナやファミューレからは少しでも離すためである。


こうして<魔人の少女>はリセイのすぐ隣に座り、ティコナは決意を込めた目をしながらファミューレと共に馬車に乗り込んできた。


「いいか? いくぞ……」


準備が終わる前に、ライラは、ドルフットに対し、


「マルムの森に向かう…」


と告げていた。するとそれはすぐに他の部隊にも伝えられ、マルムの森へと向かう道にはたちまち兵士達が配され、道に面した建物にいた市民は離れた場所に避難するか、それが無理なら決して建物から出ないように指示を受けた。


その際、


『街に魔獣が紛れ込んだ』


ということで指示が出されている。


正確には<魔人>だが、魔人の存在はあまり知られていないので、魔獣の一種という解釈で対応するように、ルブセンからの通達がなされていた。


だからいつもは行き交う人々で賑わう通りも閑散とし、建物の陰に警備の兵士の姿が僅かに見られるという異様な光景となる。


そこを、ライラが御者となり、リセイ、<魔人の少女>、ティコナ、ファミューレを乗せた馬車がゆっくりと進む。


魔人を刺激しないようにと、ついつい急ぎたくなるのを抑えて、静かに、落ち着いて。


とは言え、何とも言えない緊迫感までは隠せない。


すると、ティコナが、<魔人の少女>に向かって話しかけた。


「あなた、リセイを追いかけてきたの…?」


「!」


それに、リセイ、ライラ、ファミューレは緊張するものの、当の<魔人の少女>自身は、


「……?」


言葉が理解できないのかきょとんとした表情を見せただけだった。


もし何かあってもリセイが対処できるようにすぐ隣に座っていたとはいえ、さすがに緊迫する。


けれど、結果として<魔人の少女>の様子は特に変化することなく、攻撃的な気配も見せることはなかった。


それをきっかけに、少しだけホッとした空気になる。


目的までは分からないが、少なくとも今の時点では敵対する意思はなさそうだというのが察せられたことで。


そうなると、ライラとしては、


『今後のために、この<魔人>についての情報をなるべく得なければ……』


とも思うのだった。



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