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僕がこの世界で生きるワケ  作者: 京衛武百十
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食事の約束

リセイがいた元の世界では、<無責任な噂>というのは実によく流されていたりもしたのだが、こちらでは、暮らしている人間の数そのものも少なく、かつ、


『周囲のほとんどが親戚と大して変わらないレベルの顔見知り』


ということもあって、無責任な噂など流そうものならすぐにその大本が特定されてしまうので、実は逆にそういう噂が流れにくいという特徴もあった。


『誰それが告白してフられた』


とかの、他愛ないレベルのものであれば流れることもあるものの、そういうのも、真偽がすぐにはっきりするのでいつまでも尾を引いたりすることもない。


こういう、文明の遅れた世界では、


『人間もあまり理性的ではない』


的な描かれ方をすることも多いものの、ここは少なくとも一万数千年もの間、同じ暦が使われるほどに文明が続いていることもあってか、意外なほどに人々は理性的だった。


とは言え、<亭主関白>がまかり通ったり、


『女性が騎士になるのは本当に容易ではない』


という現実があったり、


『大人の女性として認められる技能が身に着いていなかったら、どうしても一人前とは扱われない』


ということもあったり、


『優秀な騎士の血を引く人材を欲して、何人もの女性と子供を作る』


ことが黙認されていたりと、そういう一面も確かにある。


が、元より<完璧な社会>などというものがそもそもそう簡単に生まれるわけでもないだろうから、それぞれに<好ましい点><好ましからざる点>があるのはむしろ当然なのだろう。


そういう社会といかに折り合いながら生きていくかを考えるというのが、


『大人になる』


ということなのかもしれない。


まあそんなこんなで、新たな魔獣だけでなく<魔人>まで出現したことで緊張感は持ちながらも、当直の部隊に引き継ぎを行い、第二隊については今日の務めは終わることとなった。


で、


「隊長、一緒にメシでもどうですか?」


隊員に声を掛けられたライラは、


「ああ、すまん。今日はタティアナ達と食事の約束をしているんだ」


と断った。


それを聞いたリセイは、


「え…?」


と呆気に取られる。


『今日は僕とじゃなかったんですか?』


そう口に出しかけて敢えて飲み込み、


『そっか…もしかしたら他の人にも内緒で今後のことについて話ししなきゃってことなのかな』


などと思い直して、帰る用意を済ませて、指定された、役所の近所の<レストラン>へと向かった。


それは、大衆食堂である<エディレフ亭>とは店構えからしてまったく違う、それなりに格調高い印象のあるレストランだった。


いかにも<ドレスコード>でもありそうな。


『僕みたいのが入っていいのかな……』


少し腰は引けながらも、恐る恐るドアをくぐったのだった。



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