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僕がこの世界で生きるワケ  作者: 京衛武百十
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最大級の賛辞

ライラの報告が真実かどうかを確認するために偵察に入った第三隊、第四隊、第五隊の者達は、彼女の報告どおり、アムギフ一体が山中で絶命していることを確認。嘘偽りない事実であることを確かめた。


こうして、一人の犠牲者を出すこともなくアムギフを倒した第二隊は、<英雄>として讃えられることになった。


「すげえ! お前らすげえよ!!」


「一部隊だけでなんて、歴史上でもないんじゃないか?」


「オトィクの誇りだ!」


軍内部でも賞賛の嵐となり、応急の手当てを受けた後、ルブセンの前に立ったライラとレイをはじめとした第二隊の面々は、


「よくぞ無事に戻った。その上でアムギフの撃破は、国としても最大級の賛辞を送らざるを得ない」


いつもは厳しい表情を崩そうとしないルブセンさえ、この時ばかりは我が子の無事を喜ぶ父親のように瞳を潤ませていた。


実際、ルブセンにとって、勤勉で誠実な部下達は我が子も同然だったのだろう。


そんな光景に、リセイも、庭の隅で、


『良かった…本当に良かった……!』


と安堵しながら涙ぐんでいた。


その後、街をあげてのお祝いということになったものの、さすがにライラ達自身は怪我をしていたこともあって宿舎で安静にすることになった。後日改めて祝賀の儀を行うことになると言う。


ただし、そんなお祝いムードの中でも、ルブセンはすでに気持ちを切り替えていた。


ベルフに続いてアムギフともなれば、これはただならぬことがこのオトィク周辺で起こっていることを示していると考えるのがむしろ自然だった。このようなことは、かつての魔王軍の進撃以来の事態なのだから。


「市民らの喜びに水を差さないためにも、警戒は厳にせよ」


それぞれの部隊の隊長格を集めて厳しい表情で指示を与える。すると隊長らも、


「はっ!」


と姿勢を正し応えた。


それと同じ頃、いろいろありつつもなんとかライラ達が無事だったことでホッとしつつ、リセイはティコナの家に帰ろうとしていた。


するとそこに、


「リセイ…」


と声を掛けられ、振り返る。


「隊長さん…起きて大丈夫なんですか…?」


少し驚いた様子で応えたリセイの視線の先には、頭に包帯を巻き腕を吊ったライラの姿が。


しかし彼女は、


「ああ、大丈夫だ。少々大袈裟な感じにされただけだよ。腕も、痛むのは痛むが折れてない。たぶん、二~三日で良くなる」


と、穏やかでありつつ力強く告げる。


「そうですか、良かった…」


彼女の口調もしっかりしてるのでリセイもホッとする。


そんな彼に、ライラの頬がほわりと染まったが、リセイはどうやらそれには気付かなかったようだ。


すると彼女は、意を決したように、口にする。


「アムギフと戦っている間、なぜかお前のことが頭に浮かんで離れなかった。お前が一緒に戦ってくれてるような気がしたんだ……


お前、何かしたのか……?」



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