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僕がこの世界で生きるワケ  作者: 京衛武百十
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想いが込められた力

勇者リ=セイと共に戦っているクォ=ヨ=ムイは、本当に普通に魔王と戦っていた。


<まっとうなヒロイン>


のように。


リ=セイは主に攻撃を、クォ=ヨ=ムイは主に防御を担当しているようだ。二人が魔王と戦い、他の人間達は魔獣を迎えうっている。


けれど、魔王の力は凄まじく、クォ=ヨ=ムイの防御魔法?でも完全には防ぎきれていないらしく、リ=セイと共に傷付き、ダメージが蓄積していく。


ようにリセイの目には見えた。


しかし同時に、


『おかしい……おかしい……! これは絶対におかしい……!!』


たまらない違和感。


『あのコヨミがこんな風にやられるなんて……っ!』


リセイが知る<コヨミ>と、勇者リ=セイと共に懸命に戦い、傷付いていく<クォ=ヨ=ムイ>の姿がどうしても噛み合わない。


『あれはコヨミじゃないのか……? コヨミと同じ姿をしているだけの別人なのか……?』


確かに、完全に消滅した肉体さえ再生できるような力を持っているなら、この、勇者リ=セイと一緒に戦っている女性の姿を真似て今の体を作ることだってできそうだ。


戸惑うリセイの視線の先で、勇者リ=セイと<クォ=ヨ=ムイと同じ姿をした女性>は、無数の腕が集まってできた巨大な腕の一撃を受け、


「ぐっ!!」


「ああっ!!」


と呻き声を上げつつ吹っ飛ばされた。共に地面を激しく転がり、地に伏せる。そんな二人を魔王の追撃から守ろうと、勇敢な人間の兵士達が立ちはだかり、けれど人形のように薙ぎ払われ、次々と命を落としていく。


まさにアニメで見るようなピンチの場面。


自分達を守ろうとして命を落としていく兵士達の姿に、勇者リ=セイの中でギリリッ!と力がたわめられるのが分かった。


「俺は……負けられない…! 負けるわけにはいかない……! 


俺は……俺は…! 勇者なんだ……っ!!」


まるでその勇者リ=セイの<想い>が吹き上がるように、周囲の空気が渦巻いた。


それはまさしく、


<勇者覚醒のシーン>


だった。


すると<クォ=ヨ=ムイと同じ姿をした女性>も渾身の力を込めて立ち上がり、


「リ=セイ……! 私の……すべての力をあなたに託す……この世界を救って…! お願い……!!」


搾り出すようにして言いながら、<大きな力>を練り上げて、リ=セイの剣に乗せた。


女性の<想いが込められた力>も受け取り、


「うううううおおおおおおぉぉおぉおおおぉーっっっ!!!」


勇者リ=セイは渾身の力を振り絞り、魔王へと一撃を放つ。


それは、大地さえも切り裂いて、山を穿つ、途方もないものであった。


すると、裂けた大地に魔王が呑み込まれていく。


と同時に地面が崩れ、魔王の姿が見えなくなっていったのだった。



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