Hello princess!
長かった春休みが明けて、紫垣サラは今日から高校生だ。
そう。朝遅刻など御構い無しにコンビニで購入した500mlパックの甘い紅茶と少しのお菓子を机に広げて、カッコいい先輩に惚れた腫れたの恋話に花を咲かせる、憧れの高校生だ。
この「百合ヶ丘高等学校」に入学した理由は単純明快。
学年がひとつ上の憧れの旭川カナタ先輩についてきたのです…!
あぁ!楽しみ。本当に楽しみです!
先輩に御挨拶に行きたいし、早く友達も欲しい!
長い長い先生の話なんて、まともに聞いていられません。
「あの…」
先生のお話が終わったらどの子に話しかけましょう。
やっぱり無難に前の席の子?それとも右かな。やっぱり左?いやいや、後ろの席の子が話しかけてくれるかもしれない…
「あのぉ………!」
でもやはり話すのならかわいい子がいい。
その点、右隣の子はメチャクチャ顔が好み。決めた、まず最初に話しかけるのならこの子に………
─────────バシッ
「ぎゃ!」
紙を机に叩きつけられたような衝撃が走り、はっと顔をあげると、やはり紙が机に叩きつけられていた。
「プリント!まわしてください!!!」
「あ、すみません……」
プリントが回ってきたのにも気が付かないでいたなんて、恥ずかしい!早速迷惑をかけてしまった。
受け取りながらそっと前の席の子の顔を見上げる
「うわ。顔かわいい…」
右隣の子より断然好みの顔だった。
「は?え、なに言ってるんですか………………って、あれ?」
──────────ガタン‼
気が付くと、先程握ったハズのプリントが床に落ちていた。
気が付くと、先程プリントを握っていた両手は彼女に握られていた。
気がつくと、
「やっとみつけた!!!私の愛しいお姫様!!!」
立ち上がった彼女は、大声で叫んでいた。
「え………え……………?」
クラスメイトからの視線が痛い。
先生のお顔なんて、とても恐ろしくて見られない。
百合ヶ丘高等学校1年5組の教室に、暫しの沈黙が流れる。
「あ、あの………………………?」
「ずっと探していたんだよ!こんなところ抜け出して、私とハネムーンに帰ろう!!」
……………や、やばすぎる。
一体全体、はじまったばかりの私の高校生活、どうなっちゃうのーーーー!?
───────────────
彼女は前世の旧友で、私の前世は異世界「ハネムーン」の住人???えっえっ何を言ってるのか分からないよ!
まってまって、私はこの高校でカナタ先輩とイチャイチャうふふな生活を堪能する気でして、貴方と仲良くなるつもりはそんなにないって………も~~~!ちゃんと聞いてください!
次回!「異世界の旧友!」
キミのハートにハネムーン☆お楽しみに!
───────────────