予兆 2
今回から少し投稿量を少なくしました。
その代わりペースは少し早くなると思われます。
あと、少し1話目から手直しをしています。
なにせ見切り発車で書き始めたもので、、、
ある程度の区切りがついたらあらすじも
しっかりと書き直そうと思っている次第、、、
月曜日の放課後、もう夕暮れであるが
教室の部屋には珍しく人影があった。
「喋り疲れたぁ、おなかへったよぉ、、、ぺこっぺこだよぉ、、、」
「空気の抜けたサッカーボールみたいだな。」
「うーん、例えが絶妙だな。」
弥生の例えは絶妙なセンスをしている。
飛鳥に「は?」みたいな顔をされた。
「とにかく帰りながら話そうぜ、飛鳥ちゃん、弥生もさ。」
「そうだな、、、」
「ちょっとちょっとちょっとぉー!飛鳥ちゃんの話聞いてたぁ?」
「聞いてたさ。でも、お化けねぇ、、、」
「やっぱり弥生はお化けは否定派か?」
「まぁ、どちらかと言えばそうだね。逆に昭和は肯定するのかい?」
「肯定はしないけど否定することもないんじゃないか?現に見たと言っているんだ飛鳥ちゃんが、」
「その最後の飛鳥ちゃんが、で信憑性が下がってるのは置いとくとして、それに関しちゃ昭和の言う通りだ。否定はしきれないともさ。」
「弥生ちん信じてよぉ!」
唇を尖らせてむくれ顔で、若干拗ねている。
「信じてって言われてもなぁ、これが単にお化けが出て脅かして来たってんならわからなくもないさ。だがなんだ話を聞いてみれば、数日以内に大事な人が殺されるって脅されただって?それのどこがお化けなんだ?なんならただの殺人予告なんじゃないのかい?警察沙汰だよこれはもうね。」
そう、飛鳥ちゃんの話はあまりに突拍子も無かった。具体的には飛鳥ちゃんが先日夜遅くにバイト帰りで家路を急いでいた時だった。突然声が聞こえてきて、最初は何を言っているか分からないボソボソとした囁き声だったが、最後にはっきりとお前の大事な人が一週間以内に死ぬと言われたのだそう。慌てて振り返ると誰も居なかったので、あれは幽霊だ、お化けだということらしいのだが、、、
「やっぱり弥生の言う通りだよ飛鳥ちゃん。
これは普通に殺人予告に聞こえるよ、警察に取り合ってもらった方が良いよ。」
「わかってる。もちろん警察には行くよっ?
でもね、感覚的なものなの、冷っとした感じ。それにね?!囁くように言われたの、なのにすぐ傍に人なんて居なかった。誰もいなかったもん。」
「まぁ、確かに飛鳥ちゃんの身が危険に晒されてる事は何れにしろ事実だ、依頼は快く引き受けるさ。」
そう、そこから放課後の話は始まったのだ、弥生の言う國末飛鳥の依頼。それは弥生達に一晩泊まり込みで見張って欲しいという話だ。といっても別に弥生達が警護に関する知識がある訳でも無ければ、もちろん飛鳥ちゃんがそんな事を思っているわけでもない。ただ、心細いので信頼できてかつ、出来れば男性に傍に居て貰えると安心出来るという集団心理的な安心感の話である。
「そうだな、その話に関しては断る理由が無いか。ましてやこの話を聞いてしまった以上ほっとく訳にはいかないぜこれ。」
その通りだ。と改めて頷く弥生。
飛鳥もそれを聞いて安心したようで思わず笑顔になる。
放課後3人が話し始めてもう1時間近く経ちかけていた。
ところでだが、と弥生が切り出す。
「さっきの飛鳥ちゃんの感覚的な話てのは引っかかるものがあるよ。実際夜道とはいえ周りに人が居るかくらいはわかるもんだ。なのに声が聞こえて来たってのは、空耳とか人が居たんだとか言って簡単に済ませられるものじゃないと思う。昭和も言っていたがお化けや幽霊てのは完全に否定はしきれないと思っていてね。とはいえ、もちろん人間の可能性もあるがね。」
「へぇー、弥生ちんは絶対否定的だと思ってたよぉ。」
「見えないものの存在を認めるのが難しい様に、見えないものを存在しないとするのも難しいからさ。この手の話はむしろ、見えた人の中にはきっと居たんだくらいの曖昧な解釈こそ相応しいと思ってる。ある種適当に解釈してるとも言えるけど、幽霊てのはそういうものだって考えてるよ、存在しないとは決めつけないようにしてるだけと言ってもいいけど。」
「としたら、次はその"幽霊らしき人物"が
言った言葉についてだな!」
「そうだね、もしその"幽霊らしき人物"が言った事が言葉通りの意と捉えるなら、これは警告されている。」
「まぁ、それでも結局こっち側としては
そんなに変わらないなぁ、飛鳥ちゃんの大事な人が殺される可能性があるのには変わらないし、、、」
「いや、昭和。変わらないことはないよ。殺されると言われたんじゃないんだ。一週間以内に死ぬと言われたんだよ。だよね飛鳥ちゃん?」
「うん!死ぬって言われたぁ!!」
「そうか、、、」
「そうだよ、だから幽霊からの警告なら。病死とか事故死なんて可能性もあるよこれは。」
「心霊現象や怪奇現象でも良くあるパターンだな、正に死者からの警告て感じだ。しかし、それだとどうしようもないぜこれ。むしろ仕方ないと諦めもつく、寿命をお知らせされたようなもんだ。」
「反対に人間からの警告なら犯行を予め知っていることになるから犯人の知り合いとかが考えられるね。」
「いずれにしても飛鳥ちゃんに心当たりが無いなら、話を聞く限り手がかりも少なすぎて、警察も大した事は出来ないだろうから。厄介な話だぜこれ、」
「心当たりは無いなぁ、悪く思われてないとは思わないけど、殺意を抱かれるほど恨まれてるなんてことも浮かばないなぁ、」
弥生と昭和の会話を聞いてすっかり
凹んでしまっている。
そんな飛鳥を見兼ねてか弥生が
「死ぬ人間が誰なのかわかれば護る事が出来るかもしれないよ。とはいえ、あまりに具体性が無さすぎてね大事な人と一概に言っても真っ先に浮かぶのは両親だが、親族や友人なんかも含まれるかもしれないし、何より飛鳥ちゃん自身が大事に思っている人ではなく、その警告をしてきた奴から見た飛鳥ちゃんにとっての大事な人だからね。そう考えればやっぱりわかりやすく両親とかだろうか?飛鳥ちゃんはもちろん今恋人とか居ないよね?」
「えっ、いや、、、失礼だッ!!!!!!居ませんけどッ!!」
思わぬ流れで失礼なことを言われたので
反応が遅れる。
弥生はそんな事はいざ知らずとじゃあやっぱり
両親とかか、と頷きながら呟いた後顔を上げて
「とにかく、この話はこれ以上考えても仕方がない、昭和は飛鳥ちゃんと2人で帰っててくれ、泊まりの件は俺は用事があるから。そうだなぁ、またあとで連絡するけど夜にはそっちに行くからそれまで2人で仲良くしててくれ。」
「えぇー、弥生ちん来ないのぉ?!」
「話聞いてたか?夜には行くって。」
「まぁ、俺は構わないけどさ、用事って大丈夫なのか?」
「大した用事じゃないさ、この件について少し話を聞きたい相手が居てね。」
「え?じゃあこんな胡散臭い事件にでも
詳しい人間でも居るのか?」
「わからない、でもオカルト関係について知ってそうな心当たりが居てね。まぁ、なにかあったら連絡するしそっちに着いたらその話もするさ。」
「了解、じゃあ先帰るぞ。行こう飛鳥ちゃん。」
「はーい!じゃあまたねぇ弥生ちん!」
教室から出ていく2人を手を振って見送り、
ちゃんと戸締りをして教室を出た弥生は鍵を職員室へと返しに行き。
急いで帰路に着いたのだった。
少しずつ話が動き始めました、
興味を持って頂けると幸いです。