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パラケルススの巫女  作者: 一野 ろん
アセビの花はピンクに色づく
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天秤宮へ

会話が多めです?



大鳥の宴亭を後にした一行は、天秤宮へと向かった。天秤宮と言うのはヒューリア公国の神殿の一つで、他に双児宮と宝瓶宮がある。この天秤宮は神官たちの他に学者も沢山いる、学術神殿だ。


「ま、神官兼学者みたいなのが沢山いるんだよ。むしろ天秤宮に志願する神官はみんな聖職者になりたいんじゃなくて天秤宮にある知識が目当てな奴が殆どだ。」


「そうですねえ。あそこの神官たちは自分の知識欲を満たす為ならどんな事にも手を出す俗物ばかりですからね。」


そんな奴らが神官なんかやってていいのか、と華と紅葉は思った。そんな2人の考えが顔に出ていたのか、ウェインが神官について説明してくれた。


「ヒューリアでもヒューリア以外の国でもそうだが、神官とは神殿で働いているものの事をいうんだよ。昔は神のありがたみについて説く事が主な役割だったらしいが、今ではもっと実用的な事をしているんだ。要するに役人みたいなもんだな。」


「つまり、この国では神官が役人の役割を果たしていると言う事なのですか?」


紅葉は口出した瞬間、違う様な気がすると思った。神官がこの世界にとっての役人にはなら、そもそも役人という言葉は存在しないはずだ。


「いや、それは違うんだ。役人と神官は違う役割をそれぞれに持っている。ヒューリアでは、だけどな。この国では官僚と神官と俺たち軍人がいる。どの地位も試験を受けなければつけない仕事だ。まあ貴族や王族には例外もいるけどな。」


「官僚、神官、軍人の採用方法は滄華帝国の科挙という制度を模倣したものです。まあところどころは変えているんですけどね。ちなみにウェイン隊長と俺も貴族の家の出だけど試験はちゃんと受けてるんですよ!」


「自慢する様な事じゃないぞ、当たり前のことだ。」


「だってこの世界に来たばかりの娘たちに誤解されたくないじゃないですか。」


話しを聞きながら、華はじーっとエイベルを見ていた。


「どうしたんです?華さん?」


「エイベルさん、私たちの方が歳下だから敬語なんか使わないで下さい。名前もウェインさんみたいに呼び捨てでいいです。」


「なんだ、そんな事ですか。俺は気を使って君たちに敬語を使っている訳じゃないから大丈夫ですよ?でも君たちが敬語を外した方がいいならそうする事にしますが。」


「年上の人に敬語を使われると変な気分になるので外してくれると助かります!」


エイベルは華の頼みを了解したようだ。


「わかった、今度からは敬語は外すよ。」


華とエイベルがそんな会話をしている間、紅葉はウェインにどうして天秤宮へ行くのかきいた。


「天秤宮には知り合いがいてな、昔は軍人だったんだが研究の為に神官転職した変わり者でだが俺が知っている学術神官の中では1番信用できるし、知識も豊富だから、とりあえずお前たちの事をそいつに相談してみようと思う。」


「ふーん、ご友人なのですか?」


「友人?まあ俺とは同期でな。訓練生の時に奴とは同部屋だったんだよ。ヒューリアでは軍に合格したらまず訓練生になってその期間は軍の施設に押し込められるんだ、、、あいつはまあ、変人代表みたいな男だからな、、、でも大丈夫だ!筋は通っている奴だし口も固い!長期間同じ部屋に押し込められなければ友人としてやっていける奴だ!」


紅葉はこんな微妙な評価をされている人は中々いないだろうなと思った。どんな人物なのか気になる。


「それにしても、お前は質問ばっかりだな。そんなにこのお前たちがいた世界とは違うのか?」


「ええ、先程も説明しましたけど文化とか不思議な力を使っていたり、全然違いますよ。まあ、私が質問ばっかりなのは人より知識欲が旺盛なだけだからだと思いますけど。」


「だったらお前はあいつと気が合うかもな。」


ウェインは笑いながら紅葉の頭を撫でた。紅葉は思わずウェインをじっと見てしまった。


「すまん、嫌だったか?」


「いえ、そういう訳ではないのですけど、男の人にこんなに馴れ馴れしくされるのは久しぶりだったので。」


馴れ馴れしくは余計だったかもしれないと紅葉は思った。


「馴れ馴れしい、、、俺には下に妹が三人もいてな?三人共可愛いからつい甘やかしてしまうんだが、そのせいか失礼なのはわかっているんだが他の女性も同じ様に扱ってしまうんだよな。」


ウェインの様な男に今の様な扱いをされたら大概の女性は喜ぶだろう。ただ、いらぬ面倒は起こるかもしれないが。


その様子を、華は後ろからじーっと見つめていた。


「羨ましかった?」


エイベルはウェイン隊長は顔が良くて、性格も男前で女の子の扱いも上手いからなと思いながら華にきいてみた。


「ううん、紅葉ちゃんに対してああゆう扱いをする男の人、初めてみたから、、、ウェインさんはすごいなぁって思って、、、」


華の言葉を聞いたエイベルは、紅葉を見た。確かにあの黒髪の少女はとても美しい容姿をしている。きっと今まで彼女の周りにいた男達は、あの美しさを遠巻きに眺める者ばかりだったのだろう。その点、うちの隊長は周りに寄ってくる女性は皆美人だから、紅葉ほどではないにしても美人は見慣れている。そしても自分も隊長の側にいる様になって長いので美人は見慣れているのだ。自分に寄って来た女性ではないのが悲しい所だが。


エイベルが一人で悲しい気分になっていると、華がむーっと言い出した。その後すぐにら紅葉に後ろから抱きついた。


紅葉はわっと小さく声を上げた。


「もう、どうしたの?華?」


「んー、なんとなくっ」


変な子、と言いながらも紅葉は嬉しそうな顔をしていた。

その様子を見た男二人は、相思相愛とはこういう事を言うのだと思った。仲がいいのはいい事だが。


「二人共、天秤宮が見えて来たぞ。」


ウェインが首で示した方向を見ると、そこには空色で細い模様がある丸い屋根に白い外壁の建物がくっきりと見える。


「どうして、夜なのにあんなにくっきりと建物が見えるの!?」


「おっ、天秤少女よ。さっそく質問か。」


エイベルがその言葉を聞いて「くくくっ」と笑っている。


「何よ、それ。」


笑いながらエイベルが説明をしてくれた。


「天秤って言うのはね、ヒューリアでは知識馬鹿の代名詞なう様な物なんだよ。ふふふっ」


「紅葉ちゃんにぴったりだね!うふふっ」


「華まで、、、」


三人に笑い者にされた紅葉は、妙な気分だ。怒ればいいのかしら?

いや、今は怒っている場合ではない。


「私は天秤少女でいいわよ!なんであの建物は光っているの!」


この仕掛けを聞く方が自分が笑い者になっている事よりもずっと大事だ。


「さあ。なんでかなー」


ウェインがあまりにもな返事をしたので、思わずキッと睨んでしまった。睨まれた本人はにやにや顔だ。


「紅葉さん、あの建物の仕掛けはこの国が浮いている事と同様に解明されていなんだよ。」


つまり、ウェインはめいっぱい紅葉をからかっているのだ。


「隊長!歳下の女の子相手に大人気ないですよ!二人共そりゃ可愛いですけど!手を出したら犯罪ですよ!」


「誰が出すか!」


ちょんちょんと華が紅葉をつついた。


「ねえねえ、あの二人が喋ると漫才みたいだね。面白いね。」


紅葉はそうねと同意した。華は笑いながら二人を見ていた。紅葉は、この漫才はいつになったら終わるのかしらねと笑っている華を見ながら考えていた。


「そういえば、こんな時間に押しかけて迷惑じゃないのかな?」


大鳥の宴亭には結構長居をしたから、もう遅い時間だろう。夜中に押しかけて大丈夫なのだろかと華は心配した。


「大丈夫ですよ。ここの神官たちは大体が神殿に引きこもり過ぎて日光に弱くなっていて、昼夜逆転している者が多いですから。今は彼らにとってはお昼くらいですよ。」


どうやら華の心配は杞憂だった様だ。


「よし、天秤宮に着いたぞ。入り口はあっちだ。」


辿り着いた天秤宮は遠くから見ても綺麗な建物だったが、近くで見ると更に綺麗だった。柱や窓枠には細かく細工が施してあり、人間業には思えないものばかりだ。


「ここの奴らは変人ばかりだから気を付けろよ?」


そうウェインに忠告を受けた女子二人は顔を見合わせながら、恐る恐る天秤宮に足を踏み入れた。






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