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お題小説

作者: 胡桃


お題《背中合わせにならないと、もうお互い進めないんだ、仕方ないんだって自分に言いきかせる○○》







血だまりの中寝転がるソイツ。

死んでいるのか、生きているのか。

「オイ!んなとこで寝っ転がって、きたねぇだろ!」

わざわざ声をかけて確認してしまう俺がいる。

「いーじゃんよ、別に。

それに汚くなんてねぇだろ。これは俺が守れなかったあいつらの…」


ここは、戦場だ。


容赦無い鉛の雨の中、俺とコイツは必死で生き抜いてきた。

必死だった。

俺はコイツを守るために必死になった。

でもコイツは俺を守るためだけに必死になっていたんじゃない。


大勢の命を背に走るコイツは、一体どんだけでっけー覚悟を持ってんだろーな。


「…!!

おいそれは罠だっ!ひけっ!!」


ここは戦場だ。命はあっさりと消えてなくなる。

コイツの背から命が消えるたび

軽くなるはずのコイツの体は

むしろ消えた命の分が倍掛けになって覚悟というおもりになって沈んでいく。

命ばかりが消えていく。

なんせ、戦場だから。


「俺はまた…自分の部下も守れずに…生き延びてしまった…。」

コイツの覚悟がどれだけ重く、でかくたって。

相手だってそれは同じこと。

覚悟を持って、必死に生きて、必死に殺しに来てる。

今日みたいに、自分を死体だとおもわせ、武器を回収しようとした俺達を自分もろとも爆弾でブッ飛ばすぐらいの覚悟なんだ。逃げ遅れたこっちの奴らとともに、ブッ飛んで死んだ。

隣で酒のんで涙を流すコイツも、そんなことをやりそうになったこともあったっけか。


「クソぉっ…」


泣くな。お前は悪くねぇんだから。


「警報!!!!!!敵国に囲まれています!!!!!!総員配置につけ!!!!!!」


コイツに手をのばしたところで入り口から大きな音。

ああちくしょう。

コイツを安心させてやりたかったのに。

正面から抱きしめて、その覚悟を共に背負ってやりたかったのに。

そんな苛立ちをのせて敵を切る。打つ。




「お前だけは、死んでくれるなよ。」



トンッと俺に背中を預けて呟くコイツ。

ああ、やっぱり抱きしめてやりたかったのに。


「死ぬかよ。俺が死んだら誰がてめーの背中まもんだよ。」



ぜってー死なねー。




背中なんて守るより


本当は正面から抱きしめてやりてぇよ。


でも、


もう遅かった。ここは戦場になってしまった。


背中合わせにならないと、


お互いをお互いで守り合わないと、


お互い進めないんだ。生きてさえいられないんだ。



仕方ないんだ。生きるんだ。



「「俺はお前を死なせねぇ。」」

 









閲覧ありがとうございました。








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