吐き気がするほど甘い話を小耳に挟んでしまって
二十歳過ぎの女がしゃくりあげながら泣いていた。鼻をティッシュで押さえているあたり、どうやら理性はあるようだ。
口約束でいい。
わたしの不安とか不満とか、全て飲み込んでその上で好きって言われたい。
四日間は本当にあっという間で、楽しくて、少し困らせたりもしたけど、でも構われると嬉しくて、ぎゅっと抱き合ってる時間がとてもとても幸せで。何度も好き、大好き、愛してると伝えあった。
こんなに幸せなのに、何でかな。些細なことが気になってしまう。でもね、好きって気持ちを超えるものなんてないから、どんなに何を言おうとも、あなたを嫌いになることなんてないの。それだけは分かって?
だからあなたに、
ーーあなたの好きなものをわたしも好きになれる自信がない
ーーいつも泣いて困らせてしまう私をいつかあなたは嫌いになるんじゃないかと不安だ
ーー私の中であなたは一番だけどあなたの中で私は一番なのだろうか
と伝えた後に
無理に好きになる必要なんてないーー
絶対に嫌いにならないし離さないーー
不安でも自分に自信がなくてもいいからずっと一緒にいてーー
何て言われて、私はまたいっぱいこの人のことが好きだと思うんだ。
例えどんなに歪な関係に見られようと、一緒にいられるならそれでいい。
あの日にした約束を、果たすため。
『老後にお茶で晩酌しよう』
お酒が飲めない二人の、ちょっとした笑い話のような、本当の話。