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伝える勇気

年が明けました。


Kさんから、年末年始は外泊の許可が出たので、自宅に戻り新年を迎えると聞いていました。

三が日が過ぎた頃、一月最初のお見舞いに行き、久しぶりに彼の顔を見ました。

「実家はどうだった?」

僕が聞くと、

『お雑煮を食べてきた。喉に詰まりそうだった。』

笑いながら答えてくれました。


やはり、実家で過ごすと気持ちも落ち着くんでしょうか。顔色も良いし、痩せていた体も少し戻ったように感じました。

僕が、以前、三国志の新しいゲームが出たと彼にメールしていたのですが、それを覚えていて、実家に戻っていた間、それを買って遊んでいたようです。

僕のメールがきっかけだったということに、僕は嬉しかったです。

お正月の自宅での出来事を楽しそうに話す彼を見ていました。


ただ、これまで、彼へのメールに「好き。」とか「愛してる。」という言葉は使っていた僕ですが、実は、まだ面と向かっては言えていませんでした。

また、彼の体調が良くなくて半分寝ているようなときには手を握ることはしていましたが、普段の状態では僕も恥ずかしくて行動はできませんでした。


お見舞いに行く前には、僕も

「今日は直接、好きと言うぞ。」と決意をして向かうのですが、Kさんの状態が良くないときは言いだせないし、そうでなくても、彼の顔を見ると恥ずかしさでなかなか言えないのです。

今まで、好きな人に気持ちを伝えたこともなかったので、仕方のないことなのかもしれませんが。

そういうことが、2,3回続きました。帰りの駐車場の車の中で、次は言うぞと決意はするんですが…。


そうやって迎えた一月の中旬、今日こそは。という思いを秘め、お見舞いに行きました。

ですが、ベッドに横になってテレビを見ている彼と談笑はするものの、なかなか言い出せませんでした。

そこで、僕は心臓をドキドキさせながら、手を震わせながら、彼の後ろで気付かれないように携帯電話をそっと取り出し、彼に一言、メールをしました。

「好きだよ!」

数秒後、Kさんは着信に気がつき携帯電話を開きました。そして、内容を確認すると、

『ぎゃ~。』

というおどけた感じの声とともに、毛布の中に顔をうずめました。


僕が直接言う勇気が無かったのもあるのですが、僕と同じで照れ屋でシャイな彼のリアクションを試した感じになってしまいました。ごめんね。でも、とても可愛かったです。


彼の反応を見た僕は少し勇気が湧いてきて、その日、僕は自然な感じで彼の手を握りました。彼も、嫌がる素振りは見せませんでした。

彼の左手を、僕の両手で包み込みました。温かくて柔らかくて、彼のことが本当に好きなんだなと、僕は自分でも確信しました。




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