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優しい気持ち

クリスマスや年末が近づき、しだいに街の様子も慌ただしくなっていました。


12月頃になると、僕は仕事の合間にもKさんのことを考えていました。

「今日は体調どうなのかな。」

「痛みは出ていないかな?」

業務時間中、同僚に見られないように、こっそり彼にメールを送るときもありました。

たわいの無いメールもたくさん送りました。気がつくと、彼のことが頭に浮かんでいました。

あまり返事をしてくれない人なのですが、返信があると僕はとても喜びました。

たまに下ネタを送ると、Kさんもわりと好きなようで、ユーモアのある返事が返ってきました。


ある日、

「僕は同性が好きだけど、Kさんもなんとなく僕の仲間かなと思ってた。

否定するならしてみろー。」

とメールをしました。

すると、

『僕はカレーが好き。鰈も好き。』

と返ってきました。


何で食べ物の話なのかなと思い、その意味がわからなかった僕は

「僕のこと好き?嫌い?」

と直球で質問しました。そうしたら、

『嫌いデース。』

と、いつものおどけた返事。


僕と同じで照れ屋であまのじゃくな彼なので、そのメールでなんとなく僕のことも好いてくれてるんだなと思い、逆に嬉しかったです。

カレーのメールも、今思えば、カレー=彼、つまり、僕と同じで同性のことも好きだったのかなと思いますが、その後も真相は答えてはくれませんでした。


でも、そのとき、僕はこう思いました。

男が好きとか女が好きとか、異性が好きとか同性が好きとかいろいろあるけれど、そんなことは関係なしに、僕はKさんのことが好き。それでいいんじゃないかなと。


僕は、これまであまり他人には興味がなく、友人や同僚の相談にも親身になって答えてはいませんでした。自分さえよければという気持ちもありました。

しかし、ある日、同僚の方が僕にこう言いました。

「ヒロピーさんのチームの人が、最近のヒロピーさん、少し優しくなったと言っていたよ。」

と。

僕は少し驚きました。


たしかに、最近毎日Kさんの体調を心配しているから、他の人の気持ちも以前より考えるようになっていました。

また、僕の中のKさんへの気持ちに気付けたこと、それを彼にメールで伝えることができたこと、できるだけ彼の心や気持ちに寄り添えるようになりたいと願っていたことが、僕を少しずつ優しくしてくれているのかもしれないと思えるようになりました。




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