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第17話:ヒロイン攻略にはキーワードが重要である

シャワーを浴びてベッドに寝転がった俺は飾ってあった花瓶を壁に投げつける。


「ちっ!ムシャクシャするな!どうせならスティグマで痛めつけておくんだったぜ…」


サインは俺を人として見てねえ。


ただ弱者という記号を俺に当てはめているだけだ。


マリアを姉の仇だと教えてしまったのが不味かったんだろうか?


そう言えば、マリアに対する目つきは純粋に人の感情が露わになったてけえな。


だとすればサインはただのロボットガールではねえということになる。


となれば、サインの人間性を目覚めさせるには姉がキーワードだ。


だが、姉に関してはマリアが既に先約済みとなってしまってる。


なぜならば、マリアがキーワードとなる姉を殺してしまったからだ。


それに比べて俺とサインに関しては何も接点がねえ。


「機嫌が悪いようですね」


「マリア…」


俺の寝室に音も立てずに入ってきたのはネグリジェ姿のマリア。


今日も俺はこの女を抱き枕にして寝るわけだ。


「サインは姉ガレサに関すること以外では何処までも邪教の呪いに染まった人形にしか過ぎません」


「てめえはサインのことについて詳しいんだな」


「私は暗殺者としてではなく軍人として戦場にいました。その時にガレサと並ぶようにして戦場に駆けていたグラディウスの片翼に相対したことがあります」


マリアは俺が投げ散らかした花瓶を片づけながらサインの過去の話を聞かせてくれた。


「ガレサの隣にいたサインは大変感情豊かな年頃の少女でした。ですが…」


マリアは見事な手際で部屋を綺麗にし、さも当然と言わんばかりに俺のベッドに腰を据えてくる。


「ガレサの下を離れた途端に殺戮人形と化し、自動的に命を散らしていました。まるで掃除をするように…。私と同じですね」


確かにマリアなら人の命を埃を払うように散らしていく感じだからな。


「そいつはおっかねえな…」


それとマリアの話から察するにサインは重度のシスコンっていうことが伺える。


無口系だと思えば狂信者やらシスコンとやらでなかなかカオスなヒロインだな。


「ガレサの存在でサインは人間らしい感情を露わにします。ですが、ガレサは既に亡く、彼女はただ人形として生を長らえているだけとなっております」


そんで人形となったサインを何とか捕縛して、人間牧場に売り飛ばされっちまったわけだな。


さらに言えば、俺が偶然にもサインを買い取って殺し屋として育ててる流れとなるわけか…。


何で無口系なんて属性を攻略しようと思ったんかねえ。


この手のヒロインはデレるまでが苦痛でストレスが溜まるもんで仲良くなったと思いきやエンディングってパターンが多いからな…。


大体があんまり実りがねえもんなんだよねえ…。


けど、サインは英雄の妹というヒロイックな属性をもってやがったわけだ。


だからこそ、俺はサインルートへと直行したわけだが…。


「サインは弱者には寛大であれという教えに忠実です。付け入る隙があるとすればそこでしょう」


まあ、今は俺が弱者の役をやってるわけだが、早いとこ降板してプロデューサーに復帰してえ所だぜ。


俺がサインの守るべき弱者になっても大根役者になっちまうだけだからな。


だから、俺よりももっとうめえ役者を…。


ん?


待てよ…。


だったら俺よりも上手い役者を代わりに抜擢すればいいだけじゃねえかよ!


「くっくっくっ…」


俺はベッドから立ち上がって窓を開ける。


良い風が吹いてきてるじゃねえか…。


「その様子だと、名案を浮かばれたみたいですね」


「ああ、マリア。てめえのお陰だぜ」


弱者。


これもまたサイン攻略においてのキーワードだ。


サインは弱者のためならば、いくらでも献身的になってくる。


そして、献身すればするほど愛着を持つことになるわけだ。


愛着はやがて愛に変わる。


愛はすなわち感情。


サインの人間性を目覚めさせる切っ掛けになる。


「はははははっ…」


感情さえあれば幾らでも堕としてやることが出来るっていうもんだ!


俺はベッドに向かってダイビングして高笑いする。


これこそが育成ゲームの醍醐味ってやつだな、おい!


俺は悩み抜いて一つの解答を得られたんだ!


これ程のカタルシスはねえっていうもんだぜ!


「マリア、明日てめえの部隊の中からサインが守るたくなるような“弱者”を選別しろ」


「畏まりました」


「そうと決まれば寝るとするか。今晩は良い夢が見れる気がするぜ」


俺は気分良く寝ようとしたところをマリアは何故か水を刺すかのように抱き起こしてくる。


「おいおい、今日は疲れたからハッスルする気分なんかじゃねえだがよ…」


「いいえ、私はただガルム様に消毒をするだけです」


マリアはベッドから降りて、俺の足を恭しく取ってくる。


「ああん?消毒だと?」


「はい、消毒です」


マリアが何と俺の足の指をサインと同じように舐め回してきやがった。


まるでサインの匂いを消すようにマリアの唾液が俺の足を覆ってくる。


なるほど、確かに“消毒”だな。


「ぴちゃちゅぷ」


マリアは俺を誘うように態と音と立てて俺の指を熱心にしゃぶってきやがってる。


それにしても舐める手順がサインと同じなのが気になるな。


ひょっとして…。


「おい、マリア。ひょっとして妬いたんか?」


舐めしゃぶっていたマリアはびくっと身体を震わせ、絶対零度の目で俺を睨み付けてくる。


「違います。私はただ感染しないように消毒しているだけです」


「くっくっくっ…そうかよ。まあ、そういうことにしてやるか」


嫉妬する女は可愛いもんだぜ。


まあ、ここまでされてしまっては疲れたからハッスルしねえなんてヘタれるわけにはいかねえよな…。


今宵の俺はサインに辛酸を嘗められたことでムシャクシャしてたんだ。


たっぷりと欲望をぶつけさせてもらうぜ。


足をしゃぶっていたマリアの髪を引っ掴んでベッドに引き寄せてやる。


俺はマリアの胸を揉みまくりながらも唇を重ねていく。


「今宵も御奉仕致します、ガルム様…」


「身を粉にして奉仕しろよ、マリア…」


さてと、俺も身を粉にしてハッスルするかねえ…。


………。

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