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第13話:ラスボスとの最初の戦いは負けることがお約束

俺はエアタバコを吸いながらサインとマリアの戦いを観賞していた。


それで思ったことがある。


「つまらん!なんじゃこりゃ!」


思わず太陽にほえろ!の名台詞を言ってしまったじゃねえかよ!


「申し訳有りません」


「くっ…うぅ…」


平謝りするマリアと地面で呻いているサインの様子を見て俺は盛大にため息をつく。


サインVSマリアの世紀のバトルは二人の姿がふっと消えた途端にサインを組み伏せていたマリアの姿という形で終幕してしまった。


マリアが派手にランブルやってサインのリョナを見たかったんだがねえ…。


あるいはスティーブン・セガールVSトミー・りー・ジョーンズのスタイリッシュなナイフバトルをちったあ期待したんだがな…。


それが全盛期のマイク・タイソンの試合よりも呆気なく終わっちまったわけだ。


思わず「金返せ!」と叫びそうになった程だったぜ…。


どうやらマリアは何処までも殺し屋としての殺り癖が身に付いてしまってるせいで勝負は速やかに静かに地味にってのが定着してしまってるようだ。


玄人の戦いが見せ物として一般受けしないのが思い知らされた戦いだったな。


とにかく余りも呆気なさ過ぎるから格ゲーのように3本勝負とするか…。


まずはラウンド1でサインが「YOU LOSE!」ってな感じかねえ。


次はラウンド2と見させてもらうぜ。


俺はばたんきゅーになってるサインを蹴り転がして、でか乳をハリセンでぴしぴしと叩いてやった。


ほほう、プリンみてえに震えているなおい。


「おらおら、さっさと起きろ!昔の偉い人が言ってたぜ。諦めたらそこで試合終了ですよってな」


俺はハリセンでサインのでか乳をぷるんぷるんと振るわせながら激励してやる。


「それともあのアマ共を売春させる場面を拝みてえってのか?んん?」


でか乳をぺしぺしと叩いてたハリセンを離れて見ている女騎士共をサインに見せびらかすように指す。


「うっ…くっ!」


俺の言わんとしたことに気づいて、サインは苦しげな表情を押し殺して健気にも立ち上がやがりましたねえ。


アニメやドラマだったら感動に打ち震えるBGMや挿入歌を流してやりたいシーンだぜ。


「私はまだ戦う…」


その静かなる闘志がまたツボに嵌ってまたいいぜ。


だけど、それを容赦無くぶちのめすのが悪の華っていうもんよ。


「やれ、マリア…」


ラウンド2ファイト!


「しっ!」


サインはでか乳を振るわせながら猛然とナイフをマリアの五臓六腑を貫こうと繰り出していく!


マリアはそれを涼しげな顔で避ける続けている!


俺が不満そうにしていたのを察したのかマリアは如何にも盛り上がる戦いを魅せてくれるぜ!


サインはマリアに弄ばれるままにナイフを振るってるという情けない姿だが、それ以上に見所が沢山ある。


サインの瑞々しく散る汗!


サインの揺れ動く乳!


サインの荒くも甘い吐息!


我ながら変態なことこの上ないが、何よりも大切な仲間を守るために戦うというお涙頂戴の悲壮感がまたぐっとくるもんがあるな。


「くっくっくっ…」


そんでもってそれをぶち壊したときのカタルシスがたまらなく快感なわけだ…。


「どうしましたか?それでは私を殺せませんよ…」


「くっ!」


必死に追いすがろうとするサインをどこまで冷徹に優雅に交わしていくマリア。


まさに負けることが前提のレベル1のヒロインとラスボスのイベントバトルみてえな感じだねえ。


まあ、実際サインにとってマリアはまさにラスボス的存在なんだがな…。


「ダンスに付き合うのも飽きましたね。そろそろ終わりにします…」


「ふっ!」


サインの力を振り絞っての刺突をマリアは猛牛を捌く闘牛士の如く優雅に避ける!


そして、マリアはナイフの柄をサインの延髄の当たりをとんと軽く叩く!


それだけでサインはヘビー級ボクサーのパンチをまともに食らったかのように倒れてダウン!


もうカウントもコンティニューもいらねえな。


「お疲れ様でした」


YOU WIN!


マリアは格ゲーキャラみてえに勝利の決め台詞と共にスカートの裾を上げて優雅に一礼という勝利ポーズを見事に見せつけてくれた。


一方、地べたに這い蹲る敗者サインには黒子擬きに水をぶっかけさせて無理矢理起こしてやる。


「弱すぎるな、サイン。いや、マリアが強すぎただけかねえ…」


俺は顔を上げて無言で睨んでくるサインの頬をハリセンで撫でつけていく。


「これじゃあおっ死んだ姉ちゃんも浮かばれんわな。そう思わないか、マリア?」


「ええ、姉君の方はさすがに骨が折れましたが、妹の方は如何ほどもございませんでしたね」


「何で貴方が姉のことを…まさか…」


無感情なサインの顔が引きつって、聞きたくないような事実を突き付けられた絶望感。


俺はつくづく思うわけだ。


そんな絶望に満ちた顔を見るために俺をこの世に産み落としたのではないかとな…。


「てめえの姉ちゃんはマリア曰く“お疲れ様”ってやつだ…」


「き…さま!」


サインは顔芸になるほどの形相で俺とマリアを睨みつきやがったぜ!


これまたサインのレアの顔が見れたわけだ。


早速脳内のCG集サイン編に収めねえとな。


「殺す!」


俺に噛みつこうとする勢いで起き上がったサインの頭をマリアが踏みつけて阻んでくれた。


「ガルム様に手出しはさせません」


マリアは冷たい眼差しで地面に伸びてるサインの頭をぐりぐりと踏みにじっていく。


まさに女王様とお呼びと言わんばかりの様になった姿だぜ。


「姉君は冥府にて無期限で休養を取られていることでしょう。貴方にもお薦めしましょうか?」


「ぐっ…マリア…貴方だけは…絶対に殺す!」


「楽しみにしています」


何となくだが、マリアって結構乗り乗りじゃねえか?


如何にも熱血バトル漫画風の「悔しかったら這い上がってこい」と言わんばかりの空気だな。


だったら俺も空気を読んで乗ってやるとするか。


俺はしゃがみ込んでマリアに踏まれているサインの顔を覗き込んでいく。


「てめえはこれから姉の仇から暗殺術を仕込まれるわけだ。逃げ場はねえぜ…」


「ガルム…」


俺はハリセンでサインの顔を引っぱたく。


「ガルム様って呼べ。いいか、てめえの髪の毛から乳首に至るまで丸ごと俺のもんだ。てめえは英雄の妹でもねえ。単なる俺の性欲の捌け口だ。悔しかったら俺達を利用する気概で這い上がってこい。姉の恨みを晴らしたければな…」


サインはひたすら俺を睨みつけてくる。


これでサインは死にものぐるいで這い上がってくるだろうな。


何しろ姉の仇に手ほどきを受けるわけだからねえ…。


「せいぜい頑張れよ、サインちゃん…」


将来の火種がどう燃えていくのかが楽しみだぜ…。


………。

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