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第11話:御献体には感謝しなければならない

思いついたら投稿です。

さてと、これでコサインの処女膜が破られるわけだが、俺が初めてタマ殺ったのは何時だったか…。


「今度こそ手元が狂わないように心臓まで誘導させてあげます」


「いあああああああっ!」


そう、あれは俺がランドセルを背負うガキだった頃だったかねえ…。


「これで心臓を完全に貫きました。ついでですから他の急所についても手取り足取りお教えしましょう」


「もう止めてぇええええっ!」


ヒステリックになったお袋があんまりにも五月蠅かったから、黙らせるために金属バットで撫でつけただけだったのによ…。


「この位置が肝臓です。ここは沈黙の臓器と言われる場所ですから完全に貫く必要があります。今度は思い切り刺すようにしてみましょう」


「もう死んでる!もうやりたくないようぉおおおおっ!」


電池切れしたロボットみてえにだんまりしやがったから、腹が立って何度も何度も叩いてやったもんだったなあ…。


そしたらいつの間にかサツがきやがって俺を羽交い締めにしたときに「何故、殺したか」と聞かれたんだよ。


「次は喉を切ってみましょう。これは悲鳴を上げさせずに殺せることで大変有効です。ただし、血が噴水のように吹きだしてくるので返り血を浴びないように気を付けてください」


「ああああああああっ!」


そのサツの言葉で俺は人殺しをしたんだと初めて気づかされたわけだ。


「もし、どうしても返り血を浴びるようなことがあれば、裸になって殺すことを推奨します。血に塗れた服は証拠品となってしまいますので」


「血が…血が熱いよぉおおおおっ!」


だから、俺は…。


「もう嫌だあああああっ!」


「だああああっ!うるせぇえぞ!マリア、コサインに猿ぐつわを噛ませて黙らせろ!」


「申し訳有りません、ガルム様。コサイン、貴方はしばらくこれでも噛んでいてください」


「いや…むぐぐっ!」


たくっ、人がせっかくクールに回想に浸ってるとこを台無しにしやがって…。


それにしても、やっと処女膜を姦通しやがったか。


存外感動もしねえもんなんだなあ。


それともサインの邪魔があったことで冷めちまったからかもしれないか…。


こういう苛々したときにはタバコを吸いてえんだが、まだ俺は六歳児だから糞オヤジが許してくれないだろうな…。


俺は指二本を口元に当ててため息を付く。


「それは一体何の仕草でしょうか?」


コサインへの故人レッスンが終わったのか、いつの間にか俺の隣にマリアが佇んでやがった。


「エアタバコだ。気にするな…」


「そうですか」


マリアは細かくつっこまねえから気楽に付き合えるぜ。


さてと、コサインは情けなく泡吹いて倒れてやがるな。


まあ、こいつの補習はここまでにしておくか。


余りやりすぎると壊れるかもしれねえからな。


「マリア、寝ぼけてる困ったちゃんに水でも呑ませてやりな」


「畏まりました」


けど、見学実習ぐれえはやってもらうぜ。


黒子擬きが気絶してるコサインを引っ立たせて水の入った桶に顔を突っ込ませてやる。


「オラ、困ったちゃん、ねんねするにはまだはええぞ。さっさと起きねえと地獄でねんねする羽目になるぜ」


「がぶっ…分かりました!分かりましたからもう止めてぇ!」


「よし、てめえは後は見学実習でもしてろ。他の奴の出来具合をきっちり目に焼き付けておけよ…」


「はい…ガルム…様…」


俺は従順になりつつあるコサインの顔にハリセンでぴしぴしと軽く叩いてやる。


さとて…。


「えぅ…」


俺の視線に気づき、肩をびくっと振るわせるミス・ヘタレことタンジェントちゃん。


「次はてめえに殺ってもらうぜ。試験で最高得点を取った優等生君…」


「私は別にガルム様に言われた通りの解答を…」


「だったら次も俺の言われた通りに殺るんだな。それともコサインのように手取り足取り教えてもらいてえのか?ああん?」


俺は視線を隣に立っているマリアに向ける。


「タンジェントも私が教えて差し上げましょうか?」


「い、いえ、殺ります!殺りますから…」


「だったらちゃんと殺ってくれよ。困ったちゃんのコサインに手本を見せるつもりでな…」


黒子擬きが新たな御献体を用意してくる。


ほほう、サンドバッグにでもしてやりてえようなガタイの良いハゲマッチョが出てきたぜ。


既に猿ぐつわをして四肢には足枷も嵌めている。


万一暴れたら厄介そうだが、俺には…。


「何でしょうか?」


「いや、何でもねえよ」


マリアを見て、鼻で笑う。


俺には最高の殺しの匠がついてるから心配はいらねえわな。


「こいつはアンドレ・ガリアント。ヴァルハラ兵を百人以上血祭りに上げたとんでもねえ野郎だ。けど、今回はてめえのために御献体になってくれるという奉仕精神溢れた坊主に生まれ変わってる。だから、感謝を込めてぶっ殺してやれよ。飯喰う前に食材になった畜生共に感謝のお祈りをするようにな…」


「むごおおっ!ぐもおおおっ!」


アンドレは茹で蛸のように赤くなって藻掻いてやがった。


まるで照れ隠ししてるみてえだな。


「さあ、殺れ…」


「は…はい…」


タンジェントはナイフを構えたまま動こうとしない。


このミス・ヘタレが…。


俺は手持ちのナイフをタンジェントの頬すれすれに投げてやる。


「ひっ…」


タンジェントの頬に血が流れていく。


これでも俺は投げナイフは結構得意だったんだぜ。


「次、声かけて殺らなかったらマリアの補習を受けてもらう。いいな?」


「は、はい!」


全くてめえは徳川家康に脅されて裏切る小早川秀明かよ。


せめて明智光秀ぐらいになれってんだ。


同じ裏切り者でも明智光秀の方がまだヘタレじゃねえだろが。


さて、次こそは見事にぶっ殺してミス・ヘタレの汚名を返上してみせろよ、優等生君のタンジェントちゃん。


「殺れ」


「うああああああっ!」


タンジェントは破れかぶれの体当たりをするようにして坊主の胸にナイフを突き立てていった。


「むごおああっ!」


痛みでぶっ倒れたハゲマッチョが激しく身もだえしてる。


下手物のSMプレイを見ている感じだな、おい…。


夢に出てきそうな程にきもいぜ…。


俺はまたエアタバコを吸ってため息をつく。


タンジェントは呆けたようにその場に座り込んでる。


まあ、恐怖を必死に我慢して突っ込んだ気概は認めてやろうかとはちったあ思おうとした。


けど、やっぱり我慢できん。


俺はナイフを突き立てままぜいぜい息を吐くタンジェントにハリセンをフルスイングして横っ面を引っぱたく。


「あぅ!」


「馬鹿野郎!どこの世界に雄叫び上げてぶっ殺す暗殺者がいる!敵に感づかれるだろうが!それとも何だ?てめえは熱血青春漫画の主人公か?殺しはスポーツなんかじゃあねえんだぞ!しかも急所を外してるしよ…」


俺はきもい動きで苦しがってるハゲマッチョをハリセンでびしっと指す。


「見ろ!てめえが失敗したから御献体様が苦しがってるだろ!こいつはてめえのために出家してここにぶちこまれてるんだ!それをてめえは…ほら、謝れ!」


「あうっ!痛い!やめて…むごっ!」


俺はタンジェントの髪を引っ掴んで血塗れになってるハゲマッチョの胸にキスさせるようにぐりぐり押しつけやる。


「御献体様に謝りやがれ!一撃で殺せなくてご免なさい、失敗して苦しませてすいません、次は楽に殺しますから許してくださいってな!」


「むぐっ…もげん…なさい…ご免なさい…ころ…しま…から」


「ああん?聞こえねえな!もうちっとはっきり言いやがれや!」


「一撃で殺せなくてご免なさい!失敗して苦しませてすいません!次は楽に殺しますから許してください!」


俺はタンジェントをハゲマッチョから引き離してやる。


「はぁ…はぁ…」


「ようし、よく言ったな。てめえの謝罪はちゃんと御献体様に届いた。次にきちんと殺ったら許せてやるって言ってたぜ…」


「むぐぐっ…」


俺は弱ったゴキブリのように身もだえしているハゲマッチョを見て笑う。


「ほら、てめえの一撃の慈悲を御献体様が待ってるんだ。次こそはきちんと殺れよ…」


「は…はい…次こそは…殺します…」


「良い子だ…」


タンジェントは立ち上がり、獲物を狙う鷹のように心臓の位置に視線を向けてナイフを構えていく。


黒子擬きは虫の息になっているハゲマッチョを引っ立たせ、的になるように固定させる。


「さあ、御献体様を楽にしてやりな、タンジェント…」


「はい…ガルム様…」


タンジェントは俺の声に従ってハゲマッチョに向かって無言で突っ込んでいく。


今度は迷いがねえ足取りだ。


ナイフの切っ先がハゲマッチョの心臓に真っ直ぐ向かっているぜ。


「ふははははっ…」


今度という今度こそはミス・ヘタレからアサシンにクラスチェンジしてくれよ、タンジェントちゃん…。


………。

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