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第6戦「どうせ、山賊と魔物相手なんだからルール無用のゲリラ戦でも 良いじゃない。」(byハルカ)

戦いが始り既に2時間が経過して、日付けは変わり夜中の1時を回り


東の空は黒煙と赤い光がを空を覆っていた


所々で戦いの音、

叫び声と唸り声、

矢が空を切り、

剣が肉を裂く、

牙は骨を砕き、

巨体は人を踏み潰す、


そんな音が街中に響いていた


その中、テミオとジュリは西歓楽街の細い道を走っていた


ジュリ「何なのあの、東の光は、炎・・・?」


テミオ「多分、師匠だと思う」


確信はなかったがその確立は高いだろうとテミオは思った。


ジュリ「ここから見えるくらいの炎、炎詩の二桁、10いえ、20節くらいの威力じゃない、貴方の師匠何者なのよ、本当に!」


テミオ「さぁ?でも、多分また、イクィムじゃなくて火薬とかオイルとかでやってるんだと思うけどね」


ジュリ「滅茶苦茶ね」


走っている目の前に狼系の魔物を見つける。


テミオ「お、ドルフ(狼)系か、ジュリ!」


ジュリ「何よ、偉そうね!」


テミオ「逃げるぞ!」


ジュリ「戦いなさい!!!!」


エキンズ「ボーイ、いい加減覚悟は決めたものだと思ってたぞ」


テミオ「あぁぁぁ!向かってくる!」


テミオの頭の中でアルフに教えられた市街戦の事を思い出したていた。


障害物を上手く使え、

敵を発見しても確実に先制攻撃が当てられるまで距離を詰めろ、

気づかれたらとっとと攻撃しろ、

不利になったら味方が居る所まで逃げろ。


そんな事を頭に巡らせながら、テミオは既にフックを構え、エキンズを投げるモーションに入っていた


テミオ「(遠距離攻撃が出来るなら、命中させられる距離ならとっとと、やれ!そして撃ったら撃った場所から直ぐに離れろ・・・)」


エキンズを撃ち出し、ドルフの右肩に当たるが、歩みを止めない、テミオは斜め左前に移動しながらエキンズを手に戻す。ドルフは咄嗟にに右前足を振り上げテミオに振り下ろすがテミオはそれを叩き落とし相手の首を斬るように槍を薙ぐ。


テミオ「(また、浅い・・・)」


ドルフは今度はからだ回転させて左足でテミオを払う、反応が遅れたテミオはエキンズで受けるものの吹き飛ばされる。


テミオ「ぐふぁ・・・」


壁に叩きつけられる、辛うじて経っていられる。


トドメを刺そうと近づくドルフ。


1歩近づいたところで、歩みが止まった、ドルフの足元は氷漬けになっていた。


ジュリ「氷詩第1節“氷湖”!テオ!」


息を整えた、テミオは相手の口に目掛けてエキンズを突き立てた。


暫くドルフは動かなかったが、白目を向き倒れた、灰色の霧が身体から抜ける。


ジュリがテミオの元に駆け寄る。


ジュリ「テオ、少しは出来るようになったようだけど、相変わらず詰めが甘いわね」


緊張が切れテミオの呼吸は更に荒くなる


ジュリ「テオ・・・大丈夫・・・?そういえば、アンタ・・・」


ジュリはテミオが戦闘恐怖症を持っているのを思い出す。

それを察してかテミオが口をあける。


テミオ「僕なら大丈夫、それにちゃんと、下手糞だけど戦えているだろ?」


エキンズ「ボーイこれでやっと5匹だ、目標まで長いぞ!」


テミオ「ああ、行こう」


テミオ達はまた走り出す。


・・・


リトン市中央、騎士駐在所指令室


サートルとハルカ、それに数名の騎士達が情報のやり取りをしていた。


サートル「予想通り、飛族系を使ってきたか。だが、歓楽街で落とせている内は大丈夫か、あそこには罠も張ってあるし、何より歓楽街を知り尽くしているG2の連中が手伝ってくれてるから、若干優勢でいられるな。多少卑怯な気もするが」


ハルカ「どうせ、山賊と魔物相手なんだからルール無用のゲリラ戦でも良いじゃない」


サートル「確かにそうだな。お陰で今の所死傷者は少数だ」


ハルカが何かハッとし、窓の外を見つめる。


サートル「どうした?」


ハルカ「まずいよ、敵の数が多すぎて正確には分からなかったけど、この距離だと分かる、凄まじく巨大なにかが各城門に向かっている」


サートル「何・・・」


<ドタドタドタドタ>


騎士が指令室に走りこんでくる。


騎士「報告します!各門でギカント(巨人族)を4体視認交戦に入りました!」


サートル「ギカントだ・・・と、そんなモノまで・・・クソ。」


ハルカ「弓矢じゃどうにか出来るサイズじゃないね」


サートル「北と南には各班長がいる、辛いだろうが何とかなるだろう・・・問題は東と西か・・・」


ハルカ「東はアルがいるから大丈夫でしょ、めんどくさがらなければ、東門は無傷で行けるはずよ」


サートル「確かに未だに死者が0なのは東門だけだ、化け物かあの人は?」


ハルカ「ははは、何だかんだ言って結構ノリノリだったからね」


サートル「西門に第3班を送れるか!」


騎士達が状況を整理して、答える。


騎士「残念ながら、第3班全て、戦闘中または情報伝達で移動していて西門には行かせられません」


ハルカ「ちょっと、まってアルに話しつけるから」


ハルカは目を瞑る。


サートル「そうか君はアルフ=ブレイズと・・・話せるんだったな」


そしてハルカはゆっくりと目を開ける。


ハルカ「東門の半数を北門と南門に送るから、今から北門と南門から西門に向かわせればいいだろうって、後なんか、多分西門には“アイツ”がいるし、テミオ達も近くにいるから多少は何とかなるかもって」


サートル「そうか、聞いた通りだ、伝達しろ!」


騎士が数名指令室を飛び出す。


サートル「ところでアイツって誰だ?」


ハルカ「さぁ?」


両肩を上げ、答えるハルカ



・・・


西繫華街・戦闘開始から:4時間経過、3:00AM


テミオ達は既に何度か戦闘になったが、一時は屋根伝たいを走り上から攻撃する、気づかれぬ距離から攻撃する、背中から攻撃する等で無事に生き残っていた。


ジュリ「所でテオ、アンタ目的地あって走っているんでしょうね?」


テミオ「ああ、西門に向かってる、もし空中から味方を落とすなら城門を開けさせると思うからな。飛族も数に限りがあるみたいだし、相手も早く終わらせたい見たいだから」


ジュリは素直に関心する。


ジュリ「あんた、考えてるのね」


テミオ「僕を何だと思ってるんだよ?」


ジュリ「てっきり、他の人達に任せて、戦いが終わるまで逃げ切るつもりかと」


テミオ「うっ、間違っちゃいないけど、ノルマ達成しないと後が怖いし」


エキンズ「それに西門まで行けば配備されている騎士団の数も多いし、安全そうだからだろ?」


ジュリ「前言撤回」


テミオ「別に僕が言ってるわけじゃないだろ?」


爆音が西門の方からする。


テミオ・ジュリ「「!!」」


テミオ「やっぱ、行くの止めない?」


急停止するテミオ


ジュリ「行くわよ!」


ジュリに引っ張られて、テミオ達は西門に向かった。



・・・




西門に着いたテミオ達は目を疑う。


門は外側から破壊され、

既に門周辺で騎士達と魔物達が戦っていた。


門の正面に立つとそこには十数メートルはあるであろう巨人が立っていた。


ジュリ「ギガント・・・ノーマンズランド奥地にしか生息しないはずじゃ・・・」


巨人は一歩ずつ、歩み、門を潜る。


その肩には人影がある。


テミオ「どうしよう!?ジュリ!?どうしよう!?」


慌てる、テミオ。


エキンズ「落ち着けボーイ、そう教えられただろ、アルフの兄ちゃんに」


走ってきて息が上がっていたテミオは取りあえず息を整える。

人影が降りて来る。

その姿は身長160cm前後だろう、少年いや少女、年はテミオと同じくらい・・・


ジュリ「人間ね、てことは霧の旅団か・・・」


少女「ダーク・ヴァレーよ、あんな薄汚い山賊達と一緒にしないで」


テミオ「ガクさん所の・・・」


少女「頭領を知っている?頭領に何をしたの?頭領を返して!」


少女の叫び声に反応するように後ろのギガントが暴れだす。


敵味方関係無くなぎ払う。


ジュリ「何、この子・・・滅茶苦茶よ」


瓦礫に潰される人と魔物、そこから流れる赤い血を見てテミオは呟く。


テミオ「止めなきゃ、あの子を止めなきゃ・・・!!」


エキンズを構える、フックに設置する。


テミオ「ジュリ、隙は作る!エキンズ行くぞ!」


エキンズ「行くぜボーイ!」


ジュリ「偉そうに・・・何時もそれくらい自信持ってなさいよ・・・」


詠唱を始めるジュリ


ジュリ「時代の区切を作り、止まりの季節を表すものよ・・・」


首を狙ったエキンズが腕によって妨げられる、分厚い筋肉と脂肪によりエキンズの進行は止まる。


テミオ「僕の力じゃ、スピードもダメージも・・・・」


ジュリ「・・・生命の力を奪い、目覚めを妨げるものよ!氷詩第1節“氷湖”!」


ジュリが放った氷がギガントを覆いつくし、動きを止める。


ジュリ「はぁ、はぁ、どう?第1節でも有りっ丈のイクトを込めた・・・」


しかし、氷にヒビが入り、砕け、ギガントが雄たけびを上げる。


テミオ「な・・・だったら、リターン・スラストで!」


少女「甘い!僕が居る事を忘れないでくれ!」


少女が腰に着けたムチを振るう。


ジュリ「テオ!」


間一髪、エキンズが手元に戻りテミオを守る。ムチはエキンズを巻いていた。


少女「面白い、技を使うじゃないか?それがアンタのイクィムか?だけど!」


少女がムチを引っ張るので、テミオは強くエキンズを握った、それを確認すると彼女は思いっきりエキンズごとテミオを吹き飛ばす。


それを見て詠唱を始めるジュリ


ジュリ「創造の主、生命の進化、大気を・・・」


少女「僕もいるけど、ギガントもいるよ」


ギガントの拳が地面に突き立てられる


十分距離をとってジュリは避けたが、風圧により吹き飛ばされる。


ジュリ「くっ・・・」


ジュリは立ち上がろうとするものの軽く頭を打ったらしく、立ち上がれないでいる。

テミオはフラフラながらも立ち上がる。


テミオ「(この子は早い、ムチを抜いたのも打ち出したのも、実際感じなかった、エキンズが生命の危機で戻ってくなければやられていた・・・)」


少女「往生際が悪いね、いい加減通させて貰うよ、頭領が待っているんだ!」


テミオは次の一撃を避ける事も防御する事も出来ないのは分かっていた、よろよろとした足取りでジュリの前に立ち、エキンズをまたフックに設置する。


ジュリ「テオ、あんた逃げなさい」


テミオはジュリを見て苦笑する。

テミオの足は軽くふらついていた。


テミオ「逃げれる足になるまで回復していないんだ、だったらカッコぐらい着けさせろ」


ジュリ「テオ・・・あんた」


テミオは叫ぶ。


テミオ「来い!意地だ一分一秒でも足止めしてやるさ!」


肩にエキンズとフックを構え投げる準備をする。


少女「上等!ギガント!」


命令するとギガントは左拳を引く。


左拳を打ち出すと同時にテミオもエキンズをギガントの顔を目掛けて撃つ。


ギガントがエキンズを避けたころには拳はテミオ達の目の前まで迫っていた。


テミオは彫刻用ナイフを抜き構える、それが何もしないであろうと知っていながらもそうした。


少女「終りよ!」


ドーン、大きな音が西門周辺に響く。


砂煙が舞い上がり周りが見えなくなる。


砂煙の中に人影がある、それがテミオに話しかける。


人影「小僧、大したもんだ、古人曰く、志ある者、三日たてば即ち、刮目して見よと、言うが、本当にそうだな。敵から目を背けず、真っ向と対峙するか」


その人影、巨大な斧を振り下ろし、ギガントの拳を地面に減り込ませていた。


少女「アンタも僕の邪魔をするの?頭領を返せ!」


砂煙は収まり、ギガントの腕に立つ、男がハッキリと見える。


テミオ「ガクさん・・・」


ガク「頭領?変な事を言うな、リコ。この通りダーク・ヴァレー盗賊団頭領、土砕きのガクは健在だぜ!」


斧を抜き、再び振り下ろし、ギガントの手首を切り落とす。

血飛沫が舞い、地面に降り立つガク。

醜い低音の雄叫びを上げながら、腕を引き戻すギガント。


リコ「ガクさん、無事で・・・いや、ガクさんは捕われている・・・今、この時に・・・死んで、偽者・・・うわわあわわあぁぁぁ!!!!!」


叫び、地面に飛ざまづく、その隣で同じように腕を抱え叫ぶギガント。


ガク「おい、リコ!しっかりしろ!戦わなくても良いんだ!」


灰色の霧がリコの周り集まり、吸収されるようにリコの身体に入り込む。


ガク「なんだ・・・」


何かは分からなかったが、嫌な予感だけはテミオにはハッキリと分かっていた。


リコは機械的な動き、そうマリオネットが糸を上に引かれて立ち上がるように立ち上がり、


武器を構えた


その動きだけで異常だと判断するには十分だった。


ガク「おい、小僧、小娘、戦えるか?」


テミオ「はい、何とか、足は・・・動けます」


テミオは自分の足を何度か叩く


ジュリ「戦えるわよ、そして誰が、小娘よ、ジュリ=ロレットよ覚えておいて!」


ガク「それだけ、元気があるば十分だ!悪いが俺はあのデカブツの相手をする」


テミオ「リコ・・・さん?でしたっけ、とは戦わないんですか?」


ガク「操られているのは見え見えだ、そして俺の武器は気絶させるとか繊細な事は出来ないし、何よりアイツとは相性が悪い」


ジュリ「意外と・・・考えているわねアナタ」


ガク「へっ、まぁ、そういう事でリコの相手はお前らのどっちか、それとも両方でやってくれ、アイツは投げナイフも使えるから気をつけろよ」


そういって飛び出そうとするガクをジュリが止める。


ジュリ「待ちなさい!」


何かの詠唱を始めるジュリ


ジュリ「我らの体を巡るもの、界に接すがためそこにあり、力であり、命である!活詩第1節“活刻”!」


三人の身体を薄い膜のようなものが覆い包む。


ガク「嬢ちゃん、活詩も使えるのか」


ジュリ「ジュリ=ロレットよ。気休め程度だけど、無いよりましでしょ」


ガク「はっ、十分だ。波紋を響かせ、我に記せ、煉磋斧牢レンサブロウ!」


斧を構え、左足を蹴り飛び出すガク。


エキンズ「ボーイ、行くぞ!」


テミオ「うん、その前に・・・ジュリ」


ジュリ「何よ?」


テミオ「まだ、立てないんだよね?」


ジュリ「・・・気づいてたの」


テミオ「ああ、まぁ、じゃ僕一人であの子相手にするって事か・・・大丈夫かな」


エキンズを手で構え、リコに向けて投げる。


テミオ「じゃ、動けるようになったら早く逃げるなり、参戦するなり、援護するなりしてよ!」


テミオは路地の方に走り出す。


ジュリ「言われなくても・・・テオ!気をつけなさい!」


テミオ「応!」


エキンズは弧を描いてリコに向かう、リコは反射的にムチでエキンズを絡めとる。


テミオ「おっ、一番良い行動を選択してくれたな」


テミオはエキンズを手元に戻すよう意識する。


強い力がリコを引きずり路地に誘い込ませる。


途中でムチが緩み、リコは地面に落ちる。


テミオ「一対一、なら・・・何とか!」


振り返るテミオ。


エキンズ「一対一で何とかか、女の子相手に伝説の武器かざして言う男のセリフじゃないな、ボーイ」


テミオ「ほっといてください。実際、彼女の実力の方が上です」


ムチがテミオを襲う、寸でで避けるが軽く右腕に当たる。


更に路地の奥に走り距離を取る。


テミオ「ムチって意外と痛いね」


エキンズ「それに打たれて喜ぶ奴の気が知れんな」


テミオ「随分俗っぽい事知っている神さんですね」


リコは懐から小型のナイフを取り出し、テミオに向かって投げる。


路地に積まれている木箱を盾に隠れるテミオ


テミオ「確かに投げナイフだ」


エキンズ「何をしているテミオ、とっとと小生を投げて、当てるなり、返ってくる反動で仕留めるなりすればよかろう」


テミオ「エキンズ!聴いてなかったんですが、ガクさんはリコさんを気絶させてくれって言ってましたよ!」


エキンズ「ボーイに殺そうとしに着ているアノガールを殺さずに気絶させる何て芸当できるのかい?」


テミオ「だから、今その方法を考えてるんですよ!」


後ろの木箱がムチの一撃で破壊される。


テミオ「ヒィーーーー、ムチってそんな威力あったか!?」


逃げ出す、テミオ、そしてそれを追うリコ。



・・・



西門


ガクとギガントの戦いは続いていた。戦況は若干ガクが押しているものの致命傷になる程の傷は負わせられないでいた。


ガク「ちっ、手一本無くしているクセに機敏に動くなコイツは」


振り下ろす拳を避け、懐に飛びこみ足首に目掛けて斧を薙げるが、ギガントは足を上げ、避ける、そしてそのままその足を下ろしガクを踏み潰そうとする。

後ろにジャンプし間合いを取るガク。


ガク「最初の一撃は振り下ろしで何とか手を持っていけたが・・・貯め無しの一撃だとコイツに致命傷を与える事はできねぇし・・・参ったな」


ガクは次の攻撃を避けながらギガントの腕を見た。傷口は既に塞がっていた。


ガク「回復能力も早いと来ている、なら・・・やっぱりアノ手で行くしか無いな」


ガクは斧を地面に滑らせるようにして、ギガントの周りを走る。


振り回すギガントの拳が回りの建物を破壊する、逃げ惑う騎士と魔物達。


ガクは近くの騎士達に命令した。


ガク「おい、お前達!ここから離れろド派手なのをかます」


騎士達は突然大声で言われた命令に従った。


そして、ガクはギガントの正面まで来て止まった。


両手で斧を持ち、振り上げる、力が斧に集中するのが分かる


そしてガクは斧を勢い良く地面に振り下ろした。


ガク「行くぞ煉磋斧牢レンサブロウ!砂獄だ!」


地面に突き刺さった斧の先端から石畳の地面に亀裂が入ったと思った瞬間一瞬にしてギガントを中心にして円を描くように地面が砂とかした。


地面に吸い込まれるギガント。流砂は周りに居た他の魔物も巻き込む。


数秒とかからず魔物十数体は飲み込まれ、ギガントの肩からしたは砂に埋もれていた。


不思議な事に砂は既に固まっていた。


ガク「流石に、全部は飲み込めなかったか・・・仕上げだ!」


ガクはギガントに向かってジャンプし、斧をギガントの眉間に向けて振り下ろす。


赤い血がクレーターのような穴の中心を満たす。


ガクはゆっくりとクレーターから上がってくる。


ジュリはただただ呆然とそれを見ていた。


ガクの後ろに一匹円の外で難を逃れた魔物がガクに襲いかかる。


振り返るガク、しかしイクトの消耗が激しく一瞬ふら付く。


ガク「ちっ!仕留めそこなったか」


魔物の牙がガクに届こうとした瞬間、一閃の雷光が魔物を撃つ。


ジュリ「雷詩第1節“黄雷”・・・油断大敵ってね。」


ガク「はっ、一応礼は言っとく」


ジュリ「失礼ね。命を助けてくれた恩人には誠心誠意がこもった礼を言うのが常識よ!」


ガク「そして、人を諭すのに尻餅ついたまま言うのも常識か?」


ジュリ「なっ!」


ジュリは未だに立てずに尻餅をついていた。


ガク「ともかく、ここは何とかなったな・・・嬢ちゃん!そろそろ、立てないと次が来るぞ!」


ジュリ「分かってるわよ、それにジュリよ!ジュリ=ロレット!・・・(テオ、大丈夫かしら・・・)」



・・・



西門から離れた、繫華街の広場。


エキンズ「おいおい、ボーイ広い所に出ちゃったぜ、不利じゃないのか?だから考えなしに逃げるから」


テミオは中央にある噴水まで走り振り返る、走ってきた路地からゆっくりとぎごちない歩き方で近づくリコ。


テミオ「考えあるに決まってるじゃないか!」


エキンズ「良く言うぜ、逃げている間に三度も魔物に襲われて、無駄に体力消耗したくせに」


テミオ「あ、あれは、ほらノルマがさ!」


エキンズ「・・・何でも良いがボーイ、そろそろ、どうにかしないとな。逃げ続けるわけにも行かん。それにそろそろ限界だろ?」


元々両手足に大怪我を追った事のあるテミオにとって、長期戦は不利であった。足の腱は悲鳴を上げていた、そして体力も人並みにしたか無いテミオの息は上がっていた。


テミオ「はは、ばれてたか」


エキンズ「お主の感覚とは同調しているからな」


テミオ「(エキンズの言う通り、もう逃げるのも限界・・・だがあのリコって女の子の方が実力は上・・・ムチもナイフも初動作が見えないから、正面きって避ける事は不可能・・・となると・・・)」


テミオは思考を巡らせていた、今までアルフから学んだ事、戦いから学んだ事、全てを考えていた。


テミオ「虚をついて、勝負を一瞬で決めるしかないな。嬉しい事に射程距離はこっちの方が長いし、どうにか・・・どうにかなるだろ!」


フックにエキンズをセットして、歩いてくるリコに向けて打ち出した。


予想通りリコは左に避けそして、同時にナイフを投げた。


既に右に移動していたテミオの横をナイフが通る。


エキンズを手に戻したテミオは足元にある小石を撃つがそれは又リコに軽く左に避けられる。


テミオはリコに向かって走り出し。


リコの左手が懐のナイフに伸びるがテミオが素手なのに気づく。


テミオ「隙ありだ!リターン・スラスト!」


空高く投げられていたエキンズが戻ってくる。


横飛びで避けるリコ。


それを追撃するようにエキンズを投げるテミオ、だが的は外れエキンズは噴水の横を通る。


テミオとリコの位置は当初の真逆になる形にリコが噴水を背にしている状態だった。

リコは反撃するようにムチを打ち出しそれがテミオの首に巻きつく。

リコの顔は未だ無表情のままだった。少しずつ締め付けられるテミオ。

リコが再びナイフに手を伸ばした瞬間にテミオは右手を前に出した。



テミオ「この瞬間だ!リターーーーーン・スラァァァァァストォォォ!」



噴水を破壊しながらエキンズが戻ってくる。


振り返る、リコ・・・そして彼女は再びそれを避ける。


手に戻ってきたエキンズの石突を迷いも無く右足の甲につけ蹴り出す!


テミオ「槍破棄!」


虚を突いた二段攻撃に大して反応が遅れたリコは避ける事ができず、空いている左腕のナイフでエキンズを受ける。


そして、気づいたころには既にテミオが接近していた。


テミオ「はっ!!!」


テミオの右手と左手の掌底がリコの顔面と鳩尾を襲う。


咄嗟に両手で顔面を塞ぐリコ、しかし鳩尾への一撃は確実に入る。


テミオは右手でリコの両手を押さえて、下から左手を撃ち上げ、リコの顎に掌底を入れる。


勢いでリコが噴水の中に落ちる。


テミオは息を整えながらエキンズを引き戻す。


テミオ「はっ・・・はっ・・・はっ、これで決まってくれよ」


エキンズ「上手くやったなボーイ、随分面白い技じゃないか」


テミオ「・・・操活術・焔千蒼・焔式兵技“槍破棄”と同じく兵技戦術“剛兵貫雷”(ゴウペカンライ)だよ。まぁ、師匠の方が上手くやるだろうけどね」


エキンズ「ふむ、様になってるな・・・そう、そう、残心も良いが、そのガール引き上げないとまずいんじゃないか?」


テミオ「わわわ!」


溺れているリコを慌てて引き上げるテミオ。





・・・




エキンズ「良く、息していないガールを助けられたな。ボーイはイクィムが使えないんだと思っていたぞ」


テミオ「違うよ、師匠が応急処置の一環で教えてくれた人工呼吸ってやつだ。てか、エキンズも僕を通して習っているはずだろ?」


エキンズ「そうだったか?まぁ、良かったなガールとキスできて」


テミオ「本当に俗な神様だよね・・・エキンズって」


広場に近づく足音。


テミオ「そんな話しもしてられないね、この子を安全な所に連れて行かないと」



遠くで朝日が差し始める。



時間は朝の5時をまわっていた。



エキンズ「もう、朝か、でもまだまだ、これからだぞボーイ!」


一筋の光、長い夜の終わりを告げていた。



だが、彼らの戦いの終わりを告げるものではなかった。



少年達は何時終わるとも分からない戦いを続けるのであった。




次回予告!


リコ「どうも!鬼畜な主人公にバージンを奪われた、盗賊団の僕娘こと、リコです!」


ジュリ「最低」

サートル「最悪だな、寝込みを襲うとは。」

ガク「お前、ウチの、うちの可愛いリコに何て事を!」

ラン「女の敵ね。」

ハルカ「わぁーテオテオ全世界人口の半分を敵にまわしたー。」

エドワルド「うらやまし、いやいやいや、ふしだらだぞ少年!」


テミオ「ちょ、ちょっと待ってください!そんな事していません!命助けましたから!どっちかというと感謝されど暴言を吐かれる筋合いはありません。そうだエキンズなら真実を」


エキンズ「そうだ、寝込みにキスを・・・」


テミオ「お前は何も言うな!色々と誤解を招く!」

アルフ「俺は信じているぞ!」

テミオ「師匠!」

アルフ「そういう年頃だもんな!」


テミオ「だ か ら !そういう誤解を招く事は・・・てか師匠今まで何処で何してたんですか?今回一回も台詞がありませんでしたが」


アルフ「そりゃ、お前、俺は東門でちゃんと頑張ってたさ、それに主人公お前だしな、俺が1話や2話出なくても問題ない」


テミオ「凄い言いようですね」


ジュリ「っで、テオ本当の所は何をどうしたの?」


テミオ「そ、それは・・・てか皆まだ戦いは続いてるんだよ!」


サートル「それなら問題ない、次で勝負はつく!」


テミオ「おいおい、凄いネタバレだなおい」

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