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第4戦「牢屋を体験しないような普通の人生を送りたいです。」(byテミオ)

父さん、母さん、もう旅立って2週間が立ちました。旅は予定通り順調に進みもう少しでシアタ民治国首都のリトンです。師匠達は骨休みを考案していました。確かに足もそろそろ疲れてきた所なので一日くらいユックリ過したい所です。師匠達と会って一週間ちょい、エキンズを手に入れて一週間。一応僕も多少の進歩があった見たいです。ここまで、野生動物や小さい魔物に会って僕も狩りや撃退に貢献出来ているので強くはなっているんだと思います。取りあえず、ここまで来ればアップローズ共和国まで後少しです!


アルフ達は何時もの如く街道でキャンプをした。

朝錬を終えた後、朝食を食べていた。


ハルカ「アル、あんたがテントの大黒柱とも言えるあの棒をあそこに置いて来たから昨日強風でテントが倒れたんだよ?」


アルフ「ははは、流石に天辺を糸で近くの木で留めておくだけじゃ無理だったな。」


テミオ「お陰で真夜中に起きちゃったじゃないですか、テント自体が飛ばされなくて良かったですが。」


各々アルフに愚痴を言いながら朝ごはんを食べた。

アルフは話題を変える。


アルフ「それにしてもテオ、投擲上手く成って来たじゃないか!手で投げるのも、槍で石を打つのも両方、命中率、距離、威力が伸びてきている。まぁ、残念なのは俺は余り投擲得意じゃないから教えるのが下手だけど・・・ユウが入ればな。」


テミオ「有難うございます。確かに説明されたら遠距離攻撃の重要性が分かりました、特に僕はナキストでもイクィプターでも無いから、リーチの差を埋めないと行けませんよね。って!!ユウって誰ですか?」


ハルカ「ユウマ=ブルーヴィット、アタシ達の仲間、今は違う任務でバラバラだけど、遠距離武器を持たしたら百発百中て言われるくらい、上手い人なんだよ。っで所で、テオテオ、ショウセーは?」

テミオは何時も口うるさい槍が自分の横に置いていないのに気づく。


テミオ「あああ!また、朝錬してた場所に忘れた!!」


アルフ「またか?この前も食事が出来たって呼ばれて、食欲に意識をとられて忘れただろ。」


テミオ「ああ、取りに行ってき・・・ま、いいですよね。」


立ち上がる素振りを見せたが、矢張り食欲が勝った。

食事を続ける一行・・・

ガサガサ

アルフが座る後ろの林が音を立てる。

即座に立ち上がり後ろを振り返る。

ハルカがアルフに近づき小声で語りかける。


ハルカ「(近づいていたのは気づいたけど、まさか本当に来るなんて。)」


アルフ「(状況は?)」


ハルカ「(3匹、囲まれてる)」


テミオが立ち上がり不用意にアルフに近づく


テミオ「師匠、どうしたんで・・・」


それに驚いたアルフが叫ぶ


アルフ「テオ、動くな!」


叫んだ瞬間にはもうテミオに向かって犬型の魔物が襲いかかっていた、

助けに行くのにもアルフにも、ハルカにも同じタイプの魔物が襲い掛かってきた。


テミオ「わーーーーーー!!」


テミオの叫び声が木霊する。

アルフとハルカは襲い掛かってきた魔物を吹き飛ばし。

最悪を覚悟して振り返る・・・


アルフ「テオ・・・」


振り返ったそこには横たわる魔物、その背中にはエキンズが刺さっていた。

エキンズは見事に背中から腹まで貫通していた。


エキンズ「だから、ボーイ小生を肌身離さず持って置かなきゃいけないのさ!」


倒れた三匹の魔物から灰色の霧に似た物が抜け、息絶えた。


テミオ「は、は、は、は、は」


アルフ「ほら、テオ教えた通り自分を落ち着かせられるな?冷静さを失ったら戦いでは死に直結するぞ。心は熱く、頭はクールにだ」


テミオはゆっくりと呼吸を整えていった。


ハルカ「あれ、ショウセーが何でこんな所に?」


エキンズ「それはだね、ガール。小生はある条件下で自動的にマスターであるボーイの近くに飛んでくるんだよ。その条件は1、マスターが望む。2、マスターの生命の危機を探知した場合。3、一定時間マスターからある一定の距離から離れていた場合。今回は2か3って事ですな。」


アルフ「1、2、は兎も角、3はまるっきり呪いだな。肌身離さずというより、肌身離せないって事じゃないか。てか3があるなら何で最初に会った時土台に戻されるのをそんなに拒んだだ?」


エキンズ「兄さんそれはあの土台は小生を完全に封印するからな、アレに刺されない限り、封印はフ・カ・ノ・ウ!」


アルフ「ウザ、本当に呪いの武器だな」


ハルカ「で・で・ででで・で・デロリン、冒険の書1、2,3が消えました」


アルフ「それは違うから、呪い音だけど、呪いじゃなくて、大人達の陰謀だから」

テミオ「・・・でも、助かりました、エキンズありがとう」


エキンズ「オールウェイズウェルカムだ!ボーイ」


テミオは魔物から槍を抜くのに槍を左右に回転させながら抜く。


テミオ「これで、今週で6回目ですね、深山リアンを離れたのが一週間前で、それから首都リトンに近づくにつれて、増えてるみたいです。しかも街道で・・・」


アルフ「魔王が倒されてからはテリトリーを守るのと食事意外の理由で魔物が人を襲う事は無かったはずなんだがな。まぁ、こいつらが腹を空かしていたかどうかは分からんが態々危険が伴う人間は好んで襲わないからな。・・・娯楽首都リトンか・・・娯楽の前に辿り着く事が難しいとはな」


ハルカ「お陰でテオテオには良い訓練になるけどねー。今回は何もしなかったけど」


テミオ「ハルちゃん、僕はこんな死と隣り合わせな訓練はごめん被るよ」


エキンズ「ボーイ、大丈夫だ小生が入れば百人力だ!」


アルフ「確かに盲点だったな、テミオのイクトを使用しない能力、エキンズに元々備わってる特殊能力なら使えるって事だな。他に無いのか?」


エキンズ「さぁ?」


テミオ「ええー、元々使っていた本人なのに?」


エキンズ「小生はそんな細かい事考えずに使ってたし、何より言うではないか、自分の事を一番知らないのは自分自身だと!」


沈黙が支配し、ハルカは何も言わずに荷物を纏め始めた。

アルフ「さぁ、昼までにはリトンに着くぞ!」


エキンズ「お主ら、ノリが悪いなぁー」


三人と一筋はシアタ民治国首都“娯楽都市リトン”へ向かった。








リトンの城壁が見える距離までテミオ達は近づいていた。


テミオ「ほら見てください、ハルちゃん、師匠、リトンです!って師匠何してるんですか?」


アルフはテミオの彫刻用ナイフを借りて木彫りをしていた。


アルフ「いや、さっき丁度良い大きさの木を見つけたから、お前の戦力アップをだな。それより、操活術・焔千蒼・焔式兵技の“槍破棄”のやり方覚えたか?」


テミオ「え?は、はい。槍を相手に向かって蹴るんですよね」


アルフ「そうだ、元々は最終手段で怯んだ相手から逃げるものだが、槍が自動的に戻るなら話しは別だ。攻撃手段の一つとして十分使えるだろ?」


エキンズ「小生を足蹴に!神を足蹴にするとは何たる罰当たりな!」


アルフ「アンタ、神の自覚もないし、今は槍だろ、蹴られるのも石突だし気にすんな」


更にリトンに近づくと遠目でも分かる異変に気づく


ハルカ「アルー、何か様子がおかしいよ?」


アルフ「何だ、やけに活気が無さそうな感じだなそれに」


テミオ「城門が閉まってますね。見事に」


エキンズ「おや、何かあったのか?」


アルフ「そういや、エキンズお前槍のなのに視力とか聴覚ってどうなってるんだ?」


エキンズ「それはマスターであるボーイと共有しているからな。だから危機も探知できる!」


アルフ「それって用をたしたり、イヤンでアハ~ンな事も筒抜けと?」


エキンズ「そうなる」


ハルカ「ご愁傷様」


ハルカはピョンと跳ね上がりテミオの肩を叩く。


テミオ「最悪だ・・・この呪いの武器だれかどうにかして・・・」


そんな他愛も無い会話をしている内に一向は門の前まで来た。

そこには門番が二人たっていた。一人はパイクを持ち、一人はロングソードを携帯していた。二人共軽装の鎧を身に纏っていた、一人はフルマスクのヘルメットを被っていた。


パイクの門番「お前ら止まれ!」


アルフ「いや、普通止まるから(笑)」


テミオ「師匠!」


ハルカはアルフを小突く。


アルフ「それにしても、物々しいですな、通行手形とか必要なんですか?てそれより何が起きてるんですか?」


パイク門番「ああ、ここ最近事件が多くてな」


テミオ「事件?」


ヘルメットの門番「先ずはここ頻繁になって来た魔物の襲撃」


ハルカ「それならアタシ達もここに来る間に何べんか襲われてきたよ」


メット門番「アンタ達良く無事だったな」


テミオ「それは師匠が・・・いっ!」


アルフはテミオの足を踏み、黙らせる。


アルフ「逃げ足が速いもんで」


満面の笑顔を見せながらアルフがそう答える。


メット門番「そ、そうか、それは良かった」


パイク門番「他にはついこの間ダーク・ヴァレー盗賊団の頭領が捕まって、ここに運ばれてな」


アルフ「そりゃ良かったじゃないですが!」


白々しく答えるアルフを見てテミオは何故か分からないがこのまま、真実は言わない事が良いんだろうと確信した。


パイク門番「いや、それ自体は良いんだが、どうもここから北に縄張りを持っていた霧の旅団と言う山賊が抑止力を失ってリトンを襲いに来るという情報が手に入ってな」


ハルカ「山賊団の一つがここまで大きい街を襲えるのー」


ハルカも普段とは違う態度を取り、それにテミオは呆れる。

パイク門番がハルカの頭に手を乗っけ、撫でる。


パイク門番「霧の旅団だけなら対処できるんだが、どうも上手くダーク・ヴァレーの残党を言い包めて、ここを襲うらしい」


アルフ「多分、捕まった頭領を解放してやるから手伝え的な事を言ったんだろ」


テミオ「確かに人望ありそうでしたから・・・ブ」


ハルカの強烈な一撃がテミオの腹に突き刺さる。

不思議そうに二人の門番が見る。


アルフ「こいつら、何時もこんな感じなんです」


ハルカは何事も無かった様に無邪気に質問をする。

テミオは悶絶して、言葉が出なかった。


ハルカ「魔物に山賊大変ですね!」


メット門番「お嬢さんそれだけじゃないんです!」


ハルカ「えええ、本当ですか?」


アルフ「これ以上何があるんですか?」


メット門番「貴方達はここ最近の新聞を読んでいませんね?もう一般的に有名です」


アルフ「いやー野宿暮らしと節約をしてきましたから」


メット門番「そっか、なら知らなくて当然、何と!」


パイク門番「古伝64装が一つ神八装の封印が解かれ盗まれた!」


アルフ・テミオ・ハルカ・エキンズ「・・・・」


メット門番「言おうとしたのに・・・」


パイク門番「ふふふ、余りの驚きに声も出まい。」


アルフ「ちょっとタンマ、タイムブレーク」


手でTの字を作り、アルフは他の二人を引っ張り、門番に聞こえない位置で小声で喋った。


アルフ「(おい、どういう事だ?遅かれ早かればれるのは分かってたけど)」

ハルカ「(盗まれたって何でだろう?封印解けたら貰っても良いんじゃないの?)」

エキンズ「(神八装って何だ?)」


アルフは振り返り取りあえず質問をした。テミオはまだ悶えている。


アルフ「えーと、質問良いですか?」


パイク門番「どうぞ」


アルフ「1、神八装って何?2、封印が解けたらその人の物でいいんじゃないか?何で盗んだ事になる?」


パイク門番「神八装は教学機構の奴でもなければ普通は耳にしないが、今週の週刊誌でも特集が書かれたから。後で読めば分かると思うが。古伝64装の最高位に位置付けされる武装8個を神八装と呼ばれる」


メット門番「3日前に成人式を行いに入った若者が破壊された土台を確認、そして西北に派遣された境界線騎士団の奴らが襲撃され、生き残りによると三人組しかも別国の兵士であろうもの襲われたらしい。関連性は今の所調査中だが。土台を破壊したという事は正規の方法で封印を解いていない事になる。そんな罰当たりな事をするとすれば他国の者である可能性が高いと、そういう事」


アルフ「OK、オーケー、またタイム。」


またアルフ達は小さな輪を作り小声で喋る。


エキンズ「(小生、随分評価が高いな)」

アルフ「(そんな事はどうでも良い。あの後誰かがあそこの祠に入って、鉄棒抜いて土台壊したと)」

エキンズ「(どうでも良いだと兄さん!神への冒涜だぞ!)」

ハルカ「(シアタ国民だったら震える槍を抜いたら確実に誰かに言うだろうから、あの他国の3人組って見解、間違えじゃないだろうね)」

アルフ「(どうする?どうにかやり過せるか?)」


アルフは振り返った。


パイク門番「まぁ、そういう事で軽い荷物検査をしなきゃいけない。」


ハルカ「はーい」


アルフ「所で、兄さん達、タダの門番のクセに詳しいな!」


・・・・

・・・・


沈黙


テミオは慌ててアルフを引っ張る、腹が痛くてちゃんとした声が出せないがそれでも必死に説明する。


テミオ「し、師匠、あの・・・服装・・・と紋章・・・ユイツです!」


それを聞いたハルカは驚く。


ハルカ「迂闊だった、アイツらユイツだったなんて」


アルフ「唯一?ユイツかー、そうかユイツねー、やっぱユイツだよねー美味しいもんねー」


知ったかぶり誤魔化すアルフ。


ハルカ「アル、グローブ連合国騎士団を統轄している騎士団だよ!」


アルフ「え、それってまずくない?てか連合騎士団でユイツって呼び名あるのか?知らんかった」


ハルカは顔を手で覆い、呆れた。


ハルカ「グローブ連合騎士団・統轄連合騎士団なんて長い名前だれが一々言うのよ?」


アルフ「略して連騎団とかかと思ってた」


そう話している三人を既に二人のユイツが囲む。


パイク・ユイツ「兄さん達ちょーっとツラ貸してもらおうか」


アルフ「それは、悪人の使う台詞じゃ?」


メット・ユイツ「連合国民でユイツの騎士団章や服装を知らない奴はいないね!三人組の!」


テミオ「ぼ、僕は・・・シアタ国の・・国民・・・です」


アルフ「おい、テオ裏切るのか!」


メット・ユイツ「話しは駐在所で聞きましょうか」


三人は捕まり、馬車に乗せられリトン市の中央に位置する駐在所に連れられて行った。



シアタ民治国首都“娯楽都市リトン”は人口25万人を越える大都市である。

主な収入源は観光であり、ありとあらゆる人達を楽しませるために作られた街でメインストリートには博物館、美術館、図書館、各種店が揃っている、裏道には大量のバー、カジノ、娼婦館がある。初めから国を上げて作られたため、治安は良好である。


メインストリートの小さなカフェで紅茶を啜り、ワッフルを食べる少女。彼女は運悪くリトンの閉鎖に捕まり、足止めを食らっていた。しかし、そこまで急ぐ旅でも無いので、彼女は好物のワッフルと紅茶という軽めの昼食をとっていた。彼女の静かな昼食を妨げたのは先程から騒がしい他の客である。ウェイターが彼女のティーポットにお湯を淹れにきたので彼女は彼に何が起きてるのかを聞く。


「ねぇ、皆何をそんなに騒がしくしているの?」


ウェイター「何でも、今お客様が読んでる新聞に書いてある三人組みがここで捕まった見たいです。」

それを聞き彼女は新聞を一度確認する。


「三人組みって他国から進入して、神八装を奪ったって言う?」


ウェイター「そうです、それにその三人組駐在所に連れてかれるので、もう直ぐここを通りますよ。」


そうウェイターが言い終わると周りが更に騒がしくなった、メインストリートに何人か飛び出る。


ウェイター「どうやら、犯人を連れた護送車が来たようですね」


野次馬的な行動は好まなかったが、ここ最近刺激が無かったのも事実、

彼女は他の野次馬達と同じく、メインストリートに出た。

野次馬達は既に勝手な憶測で会話をしている。

どこの国の人間だろうとか、凶悪そうだとか、罰当たりだとか、

その内の一人が


野次馬「三人組みってオッサン、少年に女の子か何か、神八装を奪う!って感じじゃないな」


少女は顔だけでも見ようと野次馬をどけて最前列に立つ。

何とか最前列に飛び出した彼女の前を丁度護送車が通る。

その中に見知った顔を見る。忘れるうはずもない、幼馴染の顔、つい2週間前に会った顔である。


「テオ・・・テオあんた、何やってるの!」


そう叫ぶと他の野次馬は彼女を見る、護送車に入れられたテミオは彼女に気づき咄嗟に叫ぶ


テミオ「ジュリ!」


無情にも護送車は止まらない、説明するにも時間が無いテミオは一言叫ぶ


テミオ「冤罪だーーーーーーーーー!」


先を急ぐ護送車の後ろをただただジュリは見つめていた。


ジュリ「あの、バカ、また何かやらかしたわね」




騎士団駐在所牢屋



お世辞にも綺麗な所ではなかった、外は真昼間なのにも関わらず、牢屋は薄暗かった。牢獄ではないため、牢屋の数は少ない、その内の一つにテミオとアルフが入れられる。


パイク・ユイツ「今、他の部屋が満杯でな。相部屋になるが、気にするな」


テミオ達に選択肢など無かった。


メット・ユイツ「この子は最後の空き部屋に入れとくよ」


とハルカはテミオ達から斜め右にある牢屋に入れられた。

牢屋には高窓が一つ、トイレ代りのバケツ、そして壁に取り付けられたベッド代わりの板が一つ。完全な一人部屋。そして既に先客がいたが、高窓から差し込む強い光と牢屋の冷たい影のコントラストのせいで先客の顔は分からない、だが今の所テミオ達には興味が無いようだった。


連合騎士達が牢屋を離れたのを確認して、軽いため息をつきながら言った


テミオ「牢屋を体験しないような普通の人生を送りたいです」


それにアルフは疑問を持ち聞く。


アルフ「何で未来形なんだ?少年よ、現実逃避は関心しないな。それに伝説やお伽話、小説でも主人公や英雄が牢屋に入るのは良くある事だぞ。ポジティブに考えないと」


テミオ「でも、師匠これから、もしかしたら処刑されたり、なんらかの罰を与えられたり、一生こんな所で過さないと行けないかも知れないんですよ!」


アルフ「そりゃ無いな」


即答するアルフ


テミオ「何でですか」


アルフ「先ず、俺達はまだ罪人じゃない、裁判にかけられて判決が出るまでは罪人じゃない。それに俺達は捕われた理由となる罪をおかしていない」


テミオ「でも、僕達実際エキンズを」


アルフ「それは無理矢理奪ったのだったら問題だが、自分がマスターだと言うのは証明できるだろ?エキンズは取られたけど、どうせ呼べるんだし」


テミオ「確かに」


アルフ「それにいざとなったら脱獄するし。な?!」


アルフはハルカに確認をするように聞く。


ハルカ「何時でもやりたかったら、どうぞ」


テミオ「無茶苦茶だ」


その会話を聞いていたら牢屋の先客はテミオ達の声に聞き覚えがあるのに気づき。起き上がり、テミオ達の方を見て、矢張り、知っている者だと確認し、アルフに声をかける。


先客「あんた程の腕がありながら何でこんな所にいるんだ?」


突然声をかけられたのでアルフは一瞬驚く。目が強いコントラストを持つ牢屋になれ、先客の顔を確認した。


アルフ「アンタ、ダーク・ヴァレーのボスか?」


先客「ガクだ、土砕きのガクだ」


テミオも時間がかかったものの顔と名前、経験が一致し声を上げる。


テミオ「貴方、ここで何をしているんですか!?」


ガク「それは俺が最初に聞いた事だ。賞金首の俺が牢屋にいるのは不思議じゃないが、その賞金を手にしたダンマー村の英雄がここにいるのはどうしたもんかと思ってな。アルフ=ブレイズ」


アルフ「まさか、フルネームで覚えても貰えているとは光栄だね。そうだな、まぁちょっと複雑だし、あんたにも関係ある部分があるから話すが・・・」


アルフそしてテミオはガクに事の経緯を話した。


テミオ「ガクさんは僕達が捕まった理由より、今貴方の盗賊団が貴方を救出しに来ようとしている事の方が大事でしょうけど」


テミオはガクの複雑な表情を見て答える。


テミオ「嬉しくないんですか?盗賊団の皆さんが決死で助けに来ようというのに。僕達にはそんな人達は一人もいませんよ・・・」


ガクが今だ何かを考えているようだったのでアルフがテミオに説明する。


アルフ「テオ、今のダーク・ヴァレーの状況は非常に危うい。先ず、頭がいないから統率する者がいない、居たとしてもここに居るガクより出来る者はいないだろう。更に、霧の旅団って奴らに良い様に使われているのは目に見えている。本当にリトンを襲うなら確実に捨て駒にされる。そして最後はユイツがここに居る事だ、グローブ連合騎士団統轄部署であるユイツ。その実力は詳しくない俺にはピンと来ないが、それはテオやガクは良く理解しているんじゃないか?」


ガクは今だ沈黙を続ける。


暇で暇でしょうがなかったハルカはその会話を聞き、口を挟む。


ハルカ「アル。アタシは前にユイツの実力について説明したよ!」


ハルカは大声では喋っていなかったが、牢屋の反響で大きく聞こえた。


アルフ「ハル、もう少し声を落とせよ」


ハルカ「もし、10位以上、ユイツの部隊長クラスがここに居たら。アタシが読んだ資料によれば本当に一騎当千を出来る人間がここに居る事になる。そして千ってのは勿論武装した兵士や魔物の事。それ以下の班長格でも数百人、平の団員でさえ十数人から数十人を同時に相手できるって言われてる。化け物集団」


アルフ「人間兵器だな。さっきの門番やってた奴でさえ、軽く多対一を出来るって事か。本当に霧の旅団って奴らはここを襲う気か?何人いて、どんな勝算があるんだか・・・」


終にガクが口を開く


ガク「霧の旅団、団員数は200人以下、俺達ダーク・ヴァレーと大して変わらん、そして腕は俺の仲間より数段下だ」


テミオ「じゃ何で・・・自殺願望者ですか?」


ガク「確かに賊としての規模は中の上、腕は下の下で素人が武器を持った程度だが、あいつ等魔物を・・・操る」


その言葉にテミオは自然と驚き、アルフとハルカは真剣にガクの話しに耳を傾けた。


テミオ「人間が魔物を操る?魔王じゃないんですから、そんな事む・・・」


言い終える前にガクが言う。


ガク「俺達は実際に襲われたんだよ!魔物を操る霧の旅団にな!」


テミオ「!!・・・」


ガク「元々はそんな山賊じゃなかった。だが何処でそんな力を手に入れたのか、魔物を操りだし、そして俺達はこの地域を離れた」


アルフ「ガク、お前元々ここら辺が縄張りだったのか」


ガク「ああ、観光客が集まるここは良い稼ぎ場所だからな」


テミオ「まずいですよ!師匠この事を騎士団に教えて、逃げましょう!」


アルフ「テオ、俺はそういったお前の負け犬根性が素晴らしいと思う、勇敢に騎士団と戦いましょうじゃなくて、逃げましょうってのが特に。まぁ、実際、やぶ蛇は御免だからな。」


テミオ「しかし、僕達はこの牢屋の中、そして霧の団は何時襲ってきても、おかしくない!最悪だ!最悪過ぎる」


そういって、慌てふためくテミオを見てガクは一言アルフに言う。


ガク「アルフ=ブレイズ、あんたも大変だな」


アルフ「ははは」


ハルカはそんなテミオに叫ぶ。


ハルカ「落ち着きなって!時間が経てば出れるから」


テミオ「時間ってその時間が無いかも知れないんですよ?」


ハルカ「その時間があるかも知れないでしょ?」


アルフ「まぁ、テオ、落ち着け、人間どんな運命が待っていようとも、己が出来る事を精一杯やるだけだ」


テミオ「出来る事って・・・」



アルフ「寝る!」


アルフはバケツトイレから一番遠い所で横になった。



テミオ「そんな悠長な!」


ハルカ「体力温存だよ、これから何があるか分からないからね」


そういったハルカも板のベッドで寝始めた。


ガク「くく、ははは、図太い神経した連中だ。俺も寝るとするか」


皆眠りにつき、不本意ながらもテミオも硬い床の上に座り、壁を背に、寝た。




次回予告!


エキンズ「エンシャス体験記外伝“英譚之後に”皆のマスコット!エキンズだよー」


アルフ「テンション高!てか槍のマスコット何て今まで聞いた事ないわ!」


テミオ「エキンズ、何か出番少ないですもんね。それくらい大目に見ても」


エキンズ「そりゃボーイが忘れたり、ボーイが捕まって小生をとられたりするからだろ!」


テミオ「何かすみません」


ハルカ「まぁ、次は出番あるんじゃないの?」


テミオ「ええー詰り僕戦うんですか?逃げるんじゃなかったんですか?」


アルフ「テオくん分かってないな、大人の事情と言うのがあるんだよ」


テミオ「最悪だ!そんな外野の策略、編集の事情で戦わされるなんて!」


アルフ「何いってるんだ?視○率とか人気とかじゃなくて、俺個人の理由だ!」


テミオ「それはつまり大人の事情じゃなくて、師匠の事情か!!」


ハルカ「全く次回予告になってないよ・・・んじゃ次回は・・・」


ガク「第5戦!ガク君大・闇鍋パーティ!奥さん鍋が噴出してます、火加減にご注意してくだシィヤあ!犬なんて俺は食べません!乞うご期待!」


ハルカ「どんなカオスな話しだよ、てかサブキャラのクセに次回予告にしゃしゃりでんな!」


ガク「な?!」


エキンズ「小生の出番は?」

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