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第3戦「何人も抜こうとすれば、岩に刺し込まれた伝説の武器と言えど何時かは抜ける。これを“中国人と磨り減る紫禁城の階段理論”と言う。」(byアルフ)

タイトルが国民騎士団ですけど、当分その単語すら出てこないという罠。

テミオ「師匠、ちょっとペース下げてくださーい!」


アルフ「情けないぞ!両手両足に怪我の後遺症があっても、体力には関係無い筈だろ!」


ハルカ「テオテオ、かっこ悪―い。」



父さん、母さん、世の中色々な成人式がありますが、

お祖父さんが住んでいるシアタ民冶国シンギングソー村の成人式を覚えていますか?


あの古伝64装が一つ震える槍「エキンズ」を抜いてくるって奴です。


まぁ、抜いてくるってのは実際表現だけで、触りに行くってのが正しい。


そう、レオ祖父さんが言った条件は成人式を済ませる事らしいです。

今更、何の意味があるかは知りませんが、ゲン担ぎにはなるだろうとの事です。

しかしイケグ国では成人式が25歳だったんで、16歳での成人式がピンと着ません。


そんなこんなで、ダンマー村を立って3日、現在深山リアンにいます。


大怪我した師匠はダンマー村でちゃんとした治療が受けれたのと、ダーク・ヴァレー団ガクさんの賞金が手に入った喜びとで、ピンピンしています。何かあんな流れで、賞金は良いから見逃してやるとか言うかと思いましたが、そういう所はちゃんとしています。


ちなみに、僕がアルフさんを師匠と呼ぶのもついこの間、弟子入りしたからです。


僕は気づきました。


やはり、僕も強く成らなければ生き残れないと!


でも、今はこのハイキングがしんどいです。


生き残れそうにありません。



ーーーー


深山リアン、中腹。休憩所。



アルフとハルカは掘っ立て小屋のベンチに座りながら、テミオが追いつくのを待っていた。


ポットにいれたお湯で、紅茶を飲む二人。


そこに息を切らしたテミオがやってきた。


テミオ「し、師匠。ま、て、ください。」


アルフ「さっきも言ったが、体力無いぞテオ!体力は全てのベースだぞ。」


ハルカ「テオテオ、紅茶飲む?」


テミオ「紅茶って、どこからそんな物が。」


ハルカ「あっそ、飲まないの?」


テミオ「いえ、頂きます、僕の好物なんで。」


テミオはベンチに座り紅茶をすすった。


テミオ「やはり、鉄で作ったコップだと今一つですね。」


アルフ「手厳しいねぇ。」


三人はユックリと紅茶を飲んでいた。


アルフ「さて、後、ちょっと、だね。出来れば、暗くなる前に街道には出たいが・・・それにしても、この成人式やたら厳しいね。」


ハルカ「魔物に、盗賊、何でも出てくる可能性があるのに、16歳を送り込むとはイキな事するよね。」


テミオ「いや、いや、元々はここら辺も平和でしたからね、どこの村から来るかにも寄りますけど、1週間程度の旅をさせるって事に意義があったんじゃなんでしょうか?」


アルフ「そうか、まぁ、このご時勢・・・こんな状況で今だに成人式だ!何て言ってる奴も珍しいか。」


テミオ「そうですね。」


アルフ「しかし、テオ、俺に弟子入りするのは構わないが、その、何と言うか、イクィムが使えなかったとはな。」


ハルカ「アタシてっきり、この大陸で使えない人間なんていないと思ってたよ。」


テミオ「ははは、例外ってのは何でもありますよ。まぁ、僕の場合は全く存在しない。だからエクィムに頼らずに盗賊達と戦えた、師匠にお願いしたいんですよ!」


アルフ「詰り戦術を教えて欲しいって事だろ。だが、それ以前に、その武器が、彫刻用ナイフってのはどうにかならないか?確かに、普通の彫刻用ナイフよりは刃が大きいが・・・。」


ハルカ「そうだ、ここにある、その震える槍っての貰って行けばいいんじゃない?」


テミオ「何言ってるんですか、僕に古伝64装が抜けるわけないじゃないですか。

それ以前に説明しましたよね?アレは大量のエクトが無いと抜けないと言われ・・・」


アルフ「まぁ、取り合えず、長い獲物を手に入れた方がいいな。回避だの、受け流しだの、防御だのは教えるが、一夕一朝で身に付くものじゃないし、武器ってのは一応持つだけで多少戦力は変わるからな。」


テミオ「は、はぁ。」


アルフ「取り合えず、そろそろ又、登り始めるぞ。」


ハルカは茶具をリュックにしまい、三人は登山を再開した。


・・・


・・・


・・・


2時間後、


山の3/4地点にある祠に三人は付いていた。


テミオ「ここです。」


指を刺した先に立て看板があった。


アルフ「何だ、頂上にあるものだと思ってたよ、これだったら、余裕で時間までに街道に戻れるな。」


ハルカ「えーーっと何って書いてあるんだ。」


ハルカは看板を読み始める。


ハルカ「“君も古き伝説に触れよう!古伝64装震える槍「エキンズ」は神々の一人エキンズが使った槍としてその名を着けられている。槍から発せられる膨大な力は大気をも震わせる事から震える槍と名づけられた。槍自体は5000年以上前の物だと言われている。・・・成人式で着た成人の方々はちゃんと両手で抜こうとしてください。”」


アルフ「何か観光地にしようとして失敗した感がムンムンするな。」


テミオ「ははは・・・中に入りましょう。」


三人は祠の中に入った。



中は思ったより明るく、直ぐに光が差す広場に出た。


その中央には土台に刺さる一本の槍があった。



アルフ「吹き抜けがあるから明るいのか・・・しかし・・・」


アルフは土台に近づき、ハルカがアルフの横に来て小声で話しかける。


ハルカ「(干渉された後があるけど、ここには何の力も残ってないよ。)」


アルフ「「(そうか、強ち伝説ってのも眉唾ではないって事だな。取り合えず、あの槍と土台調べてくれ)」



テミオが急いでアルフの元に近づいてくる。


テミオ「どうしたんですか?」


アルフ「いやー、こういう歴史を感じさせるものには関心させられるなーってね。それにしても、随分古びた感じだな、錆びてるし。デザインもシンプルで全く飾りつけが無い、長さも短槍くらい、昔の人が背が小さかったせいかな?」


ハルカ「テオテオ取り合えず、成人の儀をやっちゃいなよー。」


そうたきつけられたテミオはユックリと震える槍に近づいた。


テミオ「我、汝の主なるべくして、試練を受ける者也!古より伝わる神の武具、古伝64装が一つ、震える槍よ!我を試せ!」


突然テミオがそう土台の前で手を広げ、叫ぶ!


ハルカ「何?突然。」


精神異常者を見るような目でテミオにハルカは言った


テミオ「いや、そういうシキタリですから。」


更に一歩テミオは震える槍に近づき、アルフ達はそこから数歩離れた所で何か小声で会話をした。


アルフ「(で、どうだった?調べた結果は?)」


ハルカ「(土台自体は槍を通じて膨大なエンシャス・・・イクトを吸収する作用があって、槍を抜くのにもイクトが必要だから、相当量のイクトが無いと触っただけで倒れちゃうよ)」


アルフ「(そんな所だと思った、槍自体の能力は?テミオには抜けるのか?)」


ハルカ「(未知数、実際触ってないし。本当にスクリプトでいう5000年も前の物なら能力が風化している可能性は大いにある。そしてテミオには多分抜け・・・)」


そう会話している所にテミオが後ろ向きに転んでくる。



アルフ「テオ何してるんだ?」


テミオ「あ、あ、の、ヌ、ぬ、ぬ」



ハルカ「ほら、男の子ならハッキリいいなさい!」



テミオ「はい!抜けました!」



アルフ「・・・誰が、黙ってオナ・・・ぶふぁ!」


ハルカの素早いツッコミがアルフのモモに炸裂する。


アルフ「モモパーン、ノー、注射、ノー、ノーノーノー」


<ゴロゴロゴロゴロゴロ>


アルフは地面をのたうち回る。


ハルカはそんなアルフを無視し、テミオの手元を見る。そこには錆び付いた槍が握られていた。


ハルカ「え!ウソ。」


ハルカは土台を見る、そしてそこにはさっきまであった槍がない。


テミオ「何か、最初は詰まった感じだったんですが、思いっきり引いたら抜けました。その拍子で後ろに転んでしまいましたが。」


アルフ「ふっ、何人も抜こうとすれば、岩に刺し込まれた伝説の武器と言えど何時かは抜ける。これ“を中国人と磨り減る紫禁城の階段理論”と言う。」


横向きに倒れ、太ももをしきりに擦るアルフが言った。



テミオ「中国人って?紫禁城って?」


アルフ「一番人口の多い国だ、そしてそこの首都にある城はあまりの観光客のせいで、石段が磨り減っていくのさ!」


テミオ「???」


ハルカ「そこのカッコ悪いオッサンはほおっておいて、取り合えず、その槍は元に戻しなさい。」


テミオ「そ、そうですね、次に成人式に来る人が困りますもんね。」


テミオは槍を元の土台に戻そうと歩みだすと


「おい、おい、おい、おい!ボーイそりゃないぜ!小生はこの時を待ったんだぞ!」


確かに手元の槍から、軟派そうな男の声が響いた。


テミオ「わーわわわわーわーー槍が、喋った!喋りましたよ師匠!」


振り向いたテミオは今だ倒れているアルフにそういった。


アルフ「あー、そうだな、喋るみたいだな、もう、何時も言っているでしょ、何でも間でも生き物を拾ってきちゃ駄目だって、見つけた所に戻しなさい。」


ハルカ「アルは何時まで横になってるんだ、起きろ!」


ハルカはアルフの脇腹に蹴りを入れて起こす。


テミオは今だ混乱の中、槍を土台に刺そうとする。


「だから、待てと言ってる、だろマイ・マスター!!」


ピク!テミオの振り上げた腕が止まる。


テミオ「マスターだって?僕じゃなくて誰か別の人を探してください。」


「それは、無理だぜ、アンタが抜いたからな、アンタが死ぬまで俺は別のマスターは見つけられない!俺はアンタのイクトと同調してるからな。」


テミオはユックリと腕を下ろす。


「さぁ、小生が力を解放しろ!力無き人々を守る力を!己の信念を貫く力を!さぁ!小生に主の力を注ぐのだ!」


テミオ「・・・僕・・・イクトが無いんだけど。」


「何を、馬鹿な事を。イクトが無い人間等・・・・ふむ、お主隠しているだけじゃないのか?ん~?確かに無いが・・・」


アルフ「おい、槍くん、君の封印を解くにはどうするば良いんだい?」


「槍くんか、小生の名前はエキンズだ!小生の封印を解くには、小生を通じてあの土台が吸い込むエクトに怯まず、小生を抜けば良い!それには膨大なイクトが・・・」


ハルカ「イクトが無い場合は?」


エキンズ「!!・・・」


重苦しい沈黙が部屋を包む


エキンズ「・・・そんな小生は自らを震える槍に封印し、良き心を持つ者が小生を抜き、世界をより良い場所にするため・・・」



テミオ「何かすみません。」



アルフ「ちなみに、良い心ってのはどうやって分かるんだ?」


エキンズ「小生に手を触れる者の大雑把な心のありようが分かるんでな、邪な目的のために抜こうとすればイクトの量に関わらず小生は拒める。」



ハルカ「儀式的な意味合いで、深く考えず抜こうとすれば、確かに邪な考えはないね。」



エキンズ「な、な、兄ちゃんはそんな理由で小生を!」



テミオ「度々ですか、何かすみません。」




アルフ「ここに置いて行くのも酷だな、持って行くか。」


エキンズ「小生は!」


アルフ「いいじゃねぇか、アンタもう5000年以上そこで封印されていたんだ、それに比べれば人間の寿命は100年あるかないか、直ぐにテミオとの契約も解けるさ。さて、ここに来る人達はまだいるだろうから、槍が刺さっているように見せかけないとな。」


アルフはリュックの横に取り付けておいた鉄の棒を取った。


ハルカ「アル、それテント用の・・・」


アルフ「他に何も無いしさ。」


アルフは土台の上に立ち鉄棒を振り上げ。


アルフ「ふー、せや!」


思いっきり、突き刺す。


<ドゴ!・・・ガラ!>


衝撃で土台の一部が割れる。


テミオ「師匠、化け物ですか、先端が尖ってない物を岩に差し込むなんて。」


アルフ「ほら、行くぞー、夕暮れ前には街道に出ないと行けないからな!」


ハルカとテミオは出口に向かう、アルフは一歩土台から離れた所で、


また振り返り、割れた土台の一部を取り、リュックに詰めた。


・・・


・・・


・・・


・・・


数時間後、夜、街道でキャンプ


~テミオ修行中~


アルフは手に棒切れを持ち、テミオはエキンズを構えて対面に立っていた。


テミオは槍を持ちアルフに挑むがタダ木の棒でかわされる。


アルフ「とりあえず、武器の問題は解決したな、タダで手に入った上に、伝説の武器だぜ、儲けもんだな。持って見たが軽いし、お前の両腕でも使える。」


テミオ「そうですね。でも、何か錆びが気になりますし、本当に古伝64装なのか疑わしくなってきました。」


エキンズ「そりゃ無いぜボーイ、小生の力が発揮出来ないのはボーイにイクトが無いせいだ!あったら大気は振るえ、大地は裂ける程の力を得れる。」


アルフ「そういえば、エキンズあんた、神様本人なんだよな。」


エキンズ「一応、主らの定義で言えば、そういう事になるなアルフの兄ちゃん!」


テミオ「何か次、古伝を読む時、真面目に読める気がしなくなってきました。」


アルフ「しかし、何で俺がもった場合能力が発揮できないんだ?」


エキンズ「それが、同調であり契約さ、ボーイにしか小生は使えん。」


アルフ「その、ボーイもエキンズを使えないんだがな。」


テミオ「何かすみません。」


テミオは平謝りをする。


エキンズ「しかも、ここまで戦いが初心者だとはな。」


アルフ「よし、ほらもっと攻撃してこい!殺す気でかかって来い!じゃなきゃ、今夜中に一本も当たらんぞ!テオ!」


テミオ「今夜中に一度も当たる気は全くしませんけどね。」


エキンズ「ボーイ、は駄目駄目だな。」


テミオ「現実的に考えて実力差が・・・」


エキンズ「片や片腕しか使えない、棒切れを持った男、方や伝説の武器を持った少年・・・響きからすれば良い勝負になるはずなんだがな。」


アルフ「ほら、話してないでかかって来い!」


テミオはアルフの怒号に驚き、アルフに向かい槍を突き出す。


アルフ「そんな距離からの突きは当たる分けが無い!」


槍を受け流し、一回転した後にテミオの脇腹と腕に軽く、打ち込む。


アルフ「武器での戦術は相手によって変わる、武器のリーチ、相手のスピード、実力の差、戦闘スタイル!テオ、それらを答えろ!」


テミオは息を切らしながら答える


テミオ「武器は師匠が棒切れで、僕の方がリーチが長いです、スピードは師匠の方が上、実力差は話しにないません、戦闘スタイルは分かりません。」


アルフ「戦闘スタイルは、今は分かり易い直線的なものにしてやってる。さぁそれが分かった上で一撃入れるにはどうしたら良い?」


テミオ「えっと・・・」


一瞬沈黙があり、口を開いたのはエキンズであった


エキンズ「ボーイ、小生達の武器はリーチだそれを上手く使え、そして、防具を着けていない兄ちゃんには先端じゃなくてもある程度のダメージが与えられる。分かるな?」


テミオ「・・・はい。」


アルフ「(テオは飲み込みは早いな、それに本当の初心者で変な癖がない、故に伸びるかもな)」



アルフはテミオに向かって飛び込もうとするが槍の先端が牽制し、飛び込めなくなった。



アルフ「そうだ、無駄に動かさずに相手に向けて、相手の動きに合わせて攻撃できるようにする。相手の動きを封じるのは重要だ。」


アルフはまた棒切れで槍を横に弾き、

先程と同じ動きでテミオに近づこうとするが、

今度はテミオは槍を転がし、

棒切れの内側、

アルフに近い位置に槍を持って行き、棒を打ち上げる!

その勢いを使い一回転した後、槍の石突でアルフの腹を突く。


<ミシ>と言う音が響く。


アルフ「お見事!」


アルフは弾いた筈の棒切れで石突を受けていた。


テミオ「そんな、当たったと思ったのに。」


エキンズ「(この男、人間業か?棒を投げて左手に持ち替えて受けた。)」


アルフ「ははは、師匠の壁は高くしとかないと超え甲斐がないだろ?今日の実戦訓練はこれくらいにして。もう一度、槍を使った基本の防御をするぞ。内回転による弾き落とし!外回転による弾き上げ!ほら繰り返し繰り返しやるぞ!20回10セット終わらせたら、歩法だからな!ハルカが夕飯の作り終える前に終わらせるぞ!」


テミオ「ひーーー。」




ーーーー



同時刻深山リアン、エキンズの祠


軽装だが兵士の格好をした3人組が祠を訪れていた。


兵士「少尉、ここで間違いありません。」


兵士の一人が少尉と呼ばれる者に報告する。


もう一人の兵士が軽口を叩く


軽口の兵士「しかし、平和ボケしてますね、あんな看板まで立てて、古伝64装しかもその最高位に位置する神八装が一つをこんな片田舎の山の中に野ざらしとは・・・」


少尉「どうせ、抜けんと思っているのだろう、だが我々優秀な北方の民にかかれば、伝説と言われる武器の封印も他愛もないものさ。」


少尉はアルフが鉄棒を突き刺した土台に近づき。


両手を大きく天にかざし叫ぶ!


少尉「我、汝の主なるべくして、試練を受ける者也!古より伝わる神の武具、古伝64装が一つ、震える槍よ!我を試せ!」


兵士「少尉程のイクトがあれば、楽勝っすよ!」


少尉は鉄棒を両手で持つ。


少尉「ははは、全くイクトを吸われる感じがせんぞ!こんなものか古伝64装!神八装よ!」


兵士「流石隊長っす!」


思いっきり鉄棒を抜く!


その衝撃で既にアルフによって半壊していた土台が崩れる。


少尉「美しい!私は美しいぞ、見よ、震える槍を抜いた瞬間に崩れる土台、美しい!これぞ美だ!」

軽口の兵士が近づき、鉄棒をよーく見て、質問する。


軽口の兵士「少尉、ちょい、質問が。」


少尉「何だ、曹長?」


曹長「それ、本当に古伝64装の一つですか?俺にはどうにも、タダの鉄棒にしか見えんのですが。」


兵士「曹長!何を言っているんですか、そんな筈がないでしょう?もし、既に抜かれていたら我が軍の諜報部がその情報を・・・そうじゃなくても、世間的に大事件になっているはずです、だからコレは震える槍に違いありません!」


曹長「兵長・・・の言う事も一理あるが・・・」


少尉「ふん、兵長構わん、曹長にはこの古の美が分からんのだよ、このシンプル且つ存在感があるフォルム、槍と名乗りつつ、槍を思わせない形!美ではないか!」


曹長「少尉が言うなら、俺が口を挟む事は無いな。」


少尉「よし!帰還するぞ!これをもって帰れば私は英雄だ!二人とも昇格があるかもな!」


三人は深山を後にした。



ーーーー




そのころ街道でキャンプしているテミオ一行は。


テミオ「何か、気持ち悪すぎて、スプーンが進みません。」


夕飯を食べていた。


ハルカ「テオテオ、アタシのご飯が食べれないっていうの!最低よ!」


嘘泣きをするハルカ


アルフ「繊細なボディーだなテオ、だが何か食わないと駄目だぞ、寝る前にもういっちょ、鍛錬があるからな。」


エキンズ「スパルタだな、アルフの兄ちゃん!」


テミオ「もう、簡便してください。」


テミオ達はこれから槍を抜いた事が何をもたらすのか、全く考えていなかった。


夜風は静かにシュチューの匂いを運び、今はただ、疲れたテミオを癒してくれていた。



ーーーー





次回予告!


テミオ「師匠、そろそろ、シアタ国首都のリトンに着きますよ!」


アルフ「食料の減り具合もドンピシャだな、丁度補給が必要なくらいだ。所でリトンってどんな所だ?」


ハルカ「あー全く、言われた時に興味の無い事は相変わらず素通りだな、前に一度説明したぞ。」


アルフ「そういや、された気はする、えーと娯楽都市?」


テミオ「そうです、リトンはシアタ国の新首都で娯楽都市。つまり娯楽と観光で潤っている街です。」


アルフ「何かこの田舎具合からは想像つかないな。ま、でも他に娯楽が無いから潤うのかもな。新ってのは旧もあるのか?」


テミオ「旧首都は戦時中に壊滅しました。港街で結構南の魔軍領側にあったんで・・・」


ハルカ「所でテオテオ、ショウセーは?」


テミオ「ショウセー?」


アルフ「エキンズだろ?」


テミオ「あああ!忘れた!持ってこなきゃ!」

面白いのか面白くないのか自分でも分かりません。


感想お待ちしております。

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