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第2戦「ああ、もう、結局馬鹿共は全滅で解決するしかない!」(byアルフ)

一話一話長いのは昔からみたいです。

父さん、母さん、どんだけ世の中治安を良くしようと警備を強化しても、

犯罪者とのイタチごっこでしかないんですよね。

まぁ、陰陽って奴ですよ、悪と善、

まぁ、何が悪と善なのかは知りませんが、両方存在してバランスをとっているんです。


じゃなくて、


えーと、取り合えずアルフ=ブレイズという人が僕を助けてくれました、


昔から僕は運と名が付く物、奇運、凶運、強運、悪運が強いんで。


今回は悪運が働いたようです。


何でも、彼はグローブ国に行かないと行けないらしいので、僕に付いてきてくれるらしいです。

と、言うよりも、強制的に道案内を頼まれました。


まぁ、これで生存率アップです。


アルフさんは異常なくらい強いです。


彼は何のイクィム(術)使いかは良く分かりませんが強いです。


僕にとってはそれが大事であって彼の人となりは正直どうでも良いです。


ーーーー


盗賊との遭遇から二日後、


テミオ=シィヤ、アルフ=ブレイズ、ハルカ=ブレイズは山脈で野宿をしていた。


テミオ「っで、アルフさん、何でグローブ国に行くんですか?」


アルフ「ああー、俺がここ、シアタ民治国から南、ウーンズ大陸の南南東メリア島の出身でそこの軍人だってのは話したよな。」


テミオ「はい、魔軍対戦初期に滅んだ島国メリア国ですね・・・」


テミオが随分デリカシーの無い事を言ったのに気づいた。


テミオ「あ・・・すみません。」


ハルカ「あんた、軽く心に刺さる事を言うね。」


テミオ「すみません」


アルフ「いいさ。事実だ。」


テミオは沈黙する。


アルフ「俺はそこの軍医、階級は少佐だ。」


テミオ「僕達には無い階級制度だけど、確か、三等兵、二等兵、一等兵、兵長、伍長、軍曹、曹長、准尉、少尉、中尉、大尉、准佐(尉官)、少佐、中佐、大佐、准将、少将、中将、大将、の19段階で12段階目の階級ですよね。」


ハルカ「思いのほか、記憶が良いね。」


テミオ「・・・お褒めの言葉としてとっておきます。それより、その軍医での精神科医って何ですか、てか騎士なんですか?医者なんですか?」


アルフ「軍医は軍人、詰まり君が言う所の騎士が先で、医者が次の役職だよ。戦場で治療する人間って事さ。精神科医ってのは心の問題、詰まり戦闘で受ける心の傷を事前に予防と回復するのが仕事だ。まぁ、精神強化やら、リラックス方法やらで、兵士のサポートが多かったけどな。」


テミオはそれを聞き一人考え込む。


テミオ「(この人だったら、僕の戦闘が起きる時、何時も起きる体の不自由をどうにかしてくれるかも・・・)」


そんなテミオにハルカが語りかける。


ハルカ「ォィ、テオどうしたら?そんな深刻な顔して?」


テミオ「い、いや、何でも無いよ。っで、グローブ国に難民として保護される事になってるけど、道に迷ったから、僕に付いて来ると?」


アルフ「EXACTLY!(その通りです)」


ハルカ「どこのジョ●ョファンだよ!」


とハルカはアルフにツッコミを入れる。


テミオ「?」


しかし、テミオにはそのネタは理解されなかった。




次の日



アルフ「そろそろ次の村だろ?」


テミオ「あ、ハイ、次の村、ダンマー村です。」


三人の前に村が見えてくる。


ハルカ「やっと、ちゃんとした所で寝れるーーー。」


そう、喜び、手を伸ばしハルカは村に向かって走っていった。


テミオ「ハルちゃん何か喜んでますね。」


アルフ「まぁ、ここ一ヶ月くらいほぼ野宿だったからね、ベッドの有難さを理解してるいるんだと思う。」


そういって三人は村に入っていった。


ーーーー


同時期


盗賊達が薄暗い洞穴のアジトに集まっていた。


盗賊の一人が入り口から走ってくる。


「頭ーかしらぁあぁ―」


盗賊リーダー「どうした?」


走ってきた盗賊がリーダーの前に跪く。


「頭―、報告します!この前襲ったあいつら、ダンマー村に入った様子です。」


盗賊のリーダーは手を口にやり、語る。


盗賊リーダー「思った通りだな。まぁ、あそこから一番近い村はあそこだからな。立ち寄るのは明白だがな。お前ら準備は?」


他の盗賊達が答える


「何時でも行けますぜ!頭!」


「ふざけた態度を取ってくれたアイツに一泡吹かせましょう。」


盗賊のリーダーは立ち上がる。


盗賊リーダー「ダンマー村は元々俺達、ダーク・ヴァレー盗賊団が襲うと決めていた村だ、そこにこの前、苦渋を飲まされた奴らが入った、襲わない理由は無い!行くぞ!」


盗賊達勝ち鬨を上げてアジトを後にした。



ーーーー


ダンマー村宿屋


三人は一人部屋に入っていた。


ハルカ一人立っていて、アルフは椅子に、テミオはベッドに座っていた。


ハルカ「何で一人部屋なんだよ!!!」


テミオ「ハルちゃん、それは、僕達が至極貧乏だからですよ。」


アルフ「ハル、これから2ヶ月かそれ以上の旅をするんだぞ、お金は計画的に使わないと。金貸屋が良く言ってるだろ、『ご利用は計画的に♪』ってさ。」


そう、ハルカに言い聞かせる。


アルフ「っでだ、テオ、おまえに聞きたい事がある。」


テミオ「な、何ですか改まって?僕には“その気”はないですよ?」


アルフ「誰もそんな事は聞かんわ!聞きたいのは別の事だ、お前の振るえに、ついてだ!」


ハルカ「振るえ?」


テミオ「・・・気づいていたんですか?」


アルフは深い溜息をついた。


アルフ「残念ながらお前より長い間生きてきたからね。それに一応軍で隊長やっていたから、そういう事は理解できるんだよ。っで、何で戦いで、ああいうふうに震える?ただ怖いだけの人間が武器をもって、このご時勢一人旅をするのも、騎士になろうというのも、おかしな話だろう?覚悟があるのに、震える、しかも動けなくなるくらいに。」


テミオは手を組んで語り始めた。


テミオ「3年前の戦いに・・・僕は・・・」


長い話しになるだろうと思わせる雰囲気でテミオは大きく息を吸い込んだ。


アルフ「3年前の戦争で何か心の傷を受けて、それが原因で戦えないと。」


テミオ「いや、いや、いや、もう少し説明させてくださいよ。」


ハルカ「長いなら、駄目。」


テミオ「いや、そんな事言わずに。」


ハルカ「長いんでしょ?」


テミオ「まぁ、実際長いですけど。」


ハルカ「じゃ、駄目」


テミオ「そうですか」


アルフ「というより、さっきも言ったが、良くそんな精神状態で騎士入団試験だの、一人旅だの出来るな。」


テミオ「それしか・・・選択肢が・・・いやこれが最善の選択肢だったからです。」


ハルカ「テオ・・・」


アルフは立ち上がり、テミオの前に立ち、テミオの目の前に指を置いた。


テミオ「何ですか?」


アルフ「EMDRをする、まぁプラシーボくらいの効果はあるだろう。」


テミオ「EMDR????ぷらしーぼ????」


ハルカ「精神治療の一つ。まぁ、知り合いに治療するのは論理に外れるけど、どうせここらで心理士とかはアルしかいないでしょ。」


アルフ「俺の指の運動を目で追え、ただ、お前を怖がらせているであろう記憶を思い出しながら、まぁ、ゆっくり思い出しながらな。呼吸はゆっくり鼻で吸って、口で吐け。落ち着けよ。」


そういって、指をゆっくりテミオの前で動かせ始めた。


テミオ「(・・・3年前、戦争が終り少し前・・・イケグ国首都イケグ・・・あの時俺は・・・)」


騒ぐ事も無く、


狂う事も無く、


泣く事も無く、


それ以外の感情を表に出す事無く、静かに時は過ぎ、


ただただ、一定のリズムを刻むアルフの指がテミオの前を行き来していた。


・・・


・・・


数十分後


アルフ「終りだ。」


テミオ「何か変わった気はしませんね。」


ハルカ「そんな、ものよ。」


アルフ「お前のは恐怖症みたいだしな、実戦にならんと正直わからん。それにこんな急な治療でどうなるか・・・」


数秒の沈黙が部屋を包み込む。


アルフ「さて、ちょっと、出かけてくる。」


テミオ「どこに?」


アルフ「買い物。丁度、食料とか切れ掛かってるしな、それに北に向かうから、もうちょい、野宿を快適に行える物を手に入れようと思ってな。テオ、お前は疲れているだろうから寝とけ。」


ハルカは勢い良くベッドにダイブする。


ハルカ「はーい。」


アルフはハルカの首根っこを掴む


アルフ「ハルは俺と一緒に来い。」


ハルカ「えー、アタシも疲れてる~!」


ハルカはジタバタする。


テミオ「僕が行きましょうか、ハルちゃんの方が僕より小さ・・・」


言い切る前にアルフが割ってはいる。


アルフ「いや、この中では多分お前が一番疲れているだろう。まぁ、とっとと、寝とけ、休める時に休むという考えは騎士になるには重要だぞ。」


そういってアルフはハルカを連れて部屋を出て行った。


それを確認すると、テミオの意識は深く、ベッドに吸い込まれていった。


ーーーー


ダンマー村宿屋ロビー



アルフは宿屋の女将に話しを聞いていた。


アルフ「道具屋はここから出て左に行って、角を右に曲がって、突き当たりの左角にあるんだね、で騎士駐在所はそこから真っ直ぐ、村の中央に向かえば見えてくると?」


女将「そうですよ。」


アルフ「ありがとうございます。」


アルフ達は宿屋を後にした。


ハルカ「アルー、道具屋だけじゃなかったの?」


アルフの横を歩くハルカが問いかけた。


アルフ「何言ってる、あの盗賊団の事教えないと行けないだろ、それにお前も気づいていただろ、てか俺が気づいたなら、お前は確実に気づいていただろ。あいつらに会って一日目の野宿にはもう盗賊団の見張りが俺達についていた事を。」


ハルカ「うん、でもアル、気づいていたなら何で仕留めなかったの?」


アルフ「殺気もなかったしな、このまま見逃してくれるならそっちの方が楽だった。でも、村に入って直ぐいなくなった。詰まり・・・あいつらここを襲う可能性が高い。馬を使われたら十分明日にはこれる。」


ハルカ「面倒なことになったじゃん、めんどくさがらず見張りを倒せばよかったのに。」


ハルカは馬鹿じゃないのと言いたげそうな顔でアルフを見た。


アルフ「まぁ、そういうな、だから、今騎士団に報告して、あいつらを利よ、いや、共同戦線を張ろうというんじゃないか!」


ハルカ「アンタ、利用って言っかけただろ・・・」


アルフは苦笑いしながら、歩き続けた。


アルフ「今夜少し、忙しくなるかもな。」


ーーーー


次の日、


宿屋



テミオ「んーんんんー、ハ!」


テミオは寝苦しさから起きるて見渡すとシングルベッドに無理矢理三人寝ている状態だった。


テミオはアルフの足を自分の首からどかし、ハルカの腕を腹からどかす。


テミオ「(長時間寝たはずなのに、微妙に寝たきがしないなー)」


テミオは外が騒がしいのに気づき、


窓の外を見ると村人達が村の中心に向かって走っているのがわかる。


テミオ「アルフさん!ハルちゃん!ちょっと起きてください!」


テミオは必死にアルフとハルカをゆすり起こそうとする。


ハルカ「うーん、ウルサイ。」


アルフ「後5分・・・と言う名の一時間をくれたまえ。」


テミオ「あんたら、バッチリ起きてるだろ!」


アルフはめんどくさそうに起き上がる。


アルフ「あー、テオ君なんだね?朝っぱらから、騒いで、近所迷惑というのも・・・」


テミオ「そんな事言ってる場合じゃないんですよ、何か村の様子がおかしいんです!」


ハルカ「さすが、テオテオ危機探知能力だけは高いねぇ~♪」


テミオは不思議そうな顔でハルカを見る


アルフ「気にするな、テオ、ただの盗賊襲撃だ。わかったなら俺は二度寝するぞ。」


そう言うとアルフはまたベッドに横になる。


テミオ「なーんだ、ただの襲撃かー、心配して損したーぁぁぁぁって!オイ!何でそんな暇な週末みたいに普通に二度寝してるんですか?」


テミオは慌てふためく。


ハルカ「テオテオ大丈夫だよ。もう駐在の騎士団が相手しているだろうから。」


テミオ「???何で分かるんですか?」


ゆっくりアルフがベッドから起き上がる。


アルフ「そりゃ、昨日俺達が高確率で今日襲撃があるって伝えたからな。たく、テオが騒ぐから、寝れねぇよ。準備しろ行くぞ。ほら、ハルも!」


三人は急いで準備した。



ーーーー


宿屋ロビー


アルフ「女将さーん、お世話になった。」


アルフはそう女将に言いながら手を振った。


女将「あんた達、今、ここは盗賊団ダークヴァレーに襲われてるのよ、外は・・・」


手を女将の目の前に出すアルフ、そして親指を立てる状態にして言う。


アルフ「大丈夫です!全力で逃げますから!」


テミオ「えええぇえぇ!逃げるんですか!」


アルフ「ああ、俺達が入ってきた所の逆にある村の出口から出るよ。」


テミオ「まぁ、確かにそれが得策ですけど、モラル的にどうなんですか?」


アルフ「モラルは自分の命が守れて始めて守るものさ。」


ハルカ「そういう事、それに襲ってくる方向には罠張っておいたから、ここの騎士の数でも十分対応できるとはず!」


テミオ「・・・何時の間にそんな事を・・・;」


アルフ「昨日の夜に罠張って、張る予定の場所は騎士団に教えておいた。」


テミオ「行動早いですね。」


アルフ「さぁ、無駄話はこれくらいにして、言われなくてもスタコラサッサだぜ!」


ハルカ「だぜー!!!」


二人は宿屋を飛び出した。


テミオ「・・・ちょ、ちょっと待ってくだシィヤ、女将さんお世話になりましたー」


テミオは二人の後を追った。



ーーーー


ダンマー村西口では騎士団と盗賊団との戦闘が行われていた。


騎士隊員「隊長、何とか自警団との連携で食い止められてます、何よりあの旅人達が作った罠で相手がパニックを起こしてくれたおかげで、こっちが押せてます!」


騎士隊長「そうか・・・しかし、あの旅人達は何者だ?あの説得力、凄み、そしてこの罠・・・一般人では無いだろうが・・・まぁ、ここで、この地区で最大勢力を誇るダーク・ヴァレー盗賊団を撃退できれば、当分の平和は確保できるぞ!隊員諸君!自警団諸君!行くぞ!」


騎士隊員・自警団員達「おおおーー!!!!」



ーーーー


ダンマー村東口にテミオ達は到着する。


テミオ「大丈夫なんでしょうか、この村は?」


ハルカ「これくらいの人口の村への騎士駐在者は5名、自警団員は13名、合わせて18名。アタシ達があった時に見た、盗賊の数は20名。地図で確認した街道の数、盗賊の縄張り範囲を計算して、騎士団の話しと照らし合わせると結構なサイズの盗賊団だと想像できる。相手がこの村の戦力をしっているとしても最高50名弱を連れてきているだろう。それに馬が必要になるからその数で妥当だろう。数と戦力では負けてるけど、罠を張ったし、それが相手に先制攻撃を与える形になった。予想外の反撃を受けたダーク・ヴァレーの方が不利って事。」


冷静にハルカはそう分析した。


テミオ「じ、じゃ最悪死人は出るかも知れないけど、この村は大丈夫なんですね。」


ハルカ「死人って、アンタ、ストレートな物言いだね。まぁ、だろうけどね、村は大丈夫だろう。」


三人が村を出た瞬間アルフは口を開いた。


アルフ「もしかしたら、あっちでは死人は出ないかも知れないな。」


背負っているリュックをおもむろに下ろすアルフ。


テミオ「アルフさん?どういう事ですか?」


アルフ「もう、既に西口は戦力差が騎士団有利だろうって事さ。」


ハルカもリュックを下ろし、テミオに叫ぶ。


ハルカ「テオテオ!何ぼーっとしてるの?リュックを下ろして。油断した、思った以上に慎重だよ!」


テミオは言われるままリュックをおろし、


前を見ると遠くから馬に乗った集団が来るのが見える、


それが近づいてきて、テミオ達がいる出口から数十メートルの所で止まった。


それは、この前にであった盗賊団だった。


リーダー格の盗賊が口を開く。


盗賊リーダー「ほー、これはこれは!見た顔だなぁー」


盗賊「こ、こいつら!頭!」


テミオ「(奥歯の音が止まない、心臓の鼓動が早くなってるような、音が大きくなってる、振るえが止まらない、息が詰まる、頭が熱い・・・)」


そんなテミオを見てアルフが一喝入れる。


アルフ「テミオ!!落ち着け!お前はもう震える理由はない、息を落ち着かせろ!リラックスしろ、鼻から吸って、口からユックリ吐け。心拍数を落とせ!」


テミオは言われたとおりの事をする。


ハルカはテミオの隣でゆっくり呼吸のカウントをしている。


盗賊「何だ、その餓鬼、またビビちまったのか?弱いクセに出てくるんじゃねぇよ!」


アルフは何も言わずに一歩前に出る。


盗賊「何だ、やるのか?オッサン、小僧と小娘の三人で、俺達20人を止める気か?」


アルフはゆっくり、盗賊達に歩み寄る。


アルフ「お前達に比べたらテミオの方が数倍強いさ。」


盗賊「はん?」


アルフ「それに出来れば、逃げたかったんだがな。」


盗賊「ひゃははは、逃がすわけねぇだろ。」


アルフ「俺は“逃げたかった”と言ったんだ“逃がして欲しかった”じゃない・・・が気が変わった、お前らを・・・殲滅する・・・」


ハルカ「アル!」


何かを注意するようにハルカは叫んだ。


アルフ「分かってる!は解放しないさ、それよりテミオは大丈夫か?」


テミオは立ち上がる。


テミオ「大丈夫です、落ち着きました、僕も・・・戦えるとは言えませんが、自分の身ぐらいは何とか出来ます!」


腰に着けた彫刻刀を二本抜いた。


アルフ「上出来だ!ハルカお前も、自分の身ぐらいは何とかなるな?」


ハルカ「田舎のゴロツキ程度に遅れは取らないよ。」


盗賊の一人が馬を操り、アルフに向かって走ってきた


盗賊「このガキ共!なめりくさりおって!」


次の瞬間、


<ダーーーーン!>


盗賊の目前で爆発が起きる。


盗賊リーダー「な、何だ!!」


盗賊達もテミオも突然の爆発に驚く。


盗賊リーダー「アンタ、何をし・・・」


盗賊達全員が炎に囲まれる。


馬達が暴れて、盗賊達が振り降ろされる。


テミオ「ハルカさん、あれはナキスト(自然現象操作系)のエクィムですか?」


ハルカ「そんな上品なもんじゃないよ。あれは、科学反応を利用して炎を起こしているだけ。」


盗賊リーダー格は地面から起き上がり怒号を出す!


盗賊リーダー「おおおーーーー、てめーらーやっちまえーーー。」


アルフ「逃げちゃ、くれないか・・・」


盗賊達が向かってくる。


アルフ「ああ、もう、結局馬鹿共は全滅で解決するしかない!」


そういって、盗賊達と戦い始める。


何人かテミオ達に向かってくる。


ハルカ「くるよ、テミオ。」


テミオは二本の彫刻刀を構える。


テミオ「はい・・・って!ハルちゃん、武器は?」


ハルカ「無い、買い忘れた。」


テミオ「ええええー(僕が守らな・・・)」


ハルカ「無駄な事考えるな、自分が出来る事だけやれ!」


そう言いつつ、既に二人蹴り飛ばしていた


テミオ「!!・・・(僕も、生き残る!)」


襲ってきた盗賊の攻撃をナイフで受け止める。


盗賊「小僧、そんなに死に急ぎたかったら、殺してやるよ!」


盗賊の力がテミオより増している、少しずつ押される。


テミオ「(このままじゃ・・・やっぱ僕の力じゃ・・・)」


諦めかけたところ、ハルカが援護をする。


ハルカ「ぁぁぁああ、もう情けない!」


盗賊の脇腹にハルカのボディブローが深々と刺さり、


一瞬相手の身体宙に浮き、


次の瞬間嘔吐がテミオに降りかかる。


テミオ「わ、わ、わ、あわあわうぇふぇあじょさふぉ」


錯乱したテミオが素早くその場を離れ、かかった嘔吐を振り払う。


テミオ「な、なにするんですか!!!」


ハルカ「助けてあげたんだから、文句いわな~い♪それよりまだ来るよ。」


ハルカはそう言い残し、他の盗賊達に向かい飛び込んでいく。


テミオ「・・・一人くらい・・・出来るか?いや、二人に任せて・・・」


そう、考えてる時に、最初にハルカに倒された盗賊達の一人がテミオに襲い掛かってきた。


テミオ「!!」


テミオは咄嗟に彫刻刀を前に出すと、それが相手の腹に刺さる。


相手が突いてきたナイフはテミオのホホの横を通り、軽い切り傷をつける。


テミオの手は震えていた。


戦争を体験してきたテミオには自分が死ぬ事や他人が死ぬ事に対して、


慣れと言う名の無関が心にあったが、それとは違う何かがその瞬間そこにはあった。


テミオがナイフから手を離すと、盗賊はゆっくりと膝を付き、仰向きに倒れた。


テミオが一人倒した頃に、20人いた盗賊はリーダー1人になっていた。


リーダー「・・・・」


アルフ「はぁーあ、久しぶりに歩いたり走ったりじゃない、運動をやると疲れますよね?さて、黙って、仲間連れて帰ってくれませんか?」


ハルカがアルフに近づいてくる。


ハルカ「終わったよ、アル。テオも無事だし。」


盗賊のリーダーは斧を構える。


アルフ「・・・やはり、帰ってはくれねぇか。」


リーダー「盗賊団ダーク・ヴァレー、頭領、ガクだ。苗字は無い、ダーク・ヴァレーのガクだ。通称“土砕きのガク”だ。」


アルフは被っている緑のバケット帽を直し、ガクに語りかける。


アルフ「アルフ=ブレイズ、軍医だ。しかし、何故この段階で名を名乗る。そういう風習のある職業でもないだろ?」


ガク「ふん。俺達はまんまとお前らにやられた。俺の力不足でもある。確かに・・・アルフと言ったか。アンタは俺達を見逃してくれるだろう。だが!それじゃ、駄目だ!意地が!俺には、ダーク・ヴァレーにはそれがあるんだ!」


ハルカ「まさか、このまま名も無い盗賊団頭領で終わるかと思った所で・・・んじゃ、まぁ、アル、アタシはテオ見てくるよ。」


アルフ「頼んだ」


ハルカはテミオの元に向かった。


アルフは構える。


ガク「行くぞ!」


ガクはアルフに突進し斬りつける。


アルフは左に避けるモーションに左の掌底を組み込みその一撃がガクの顎に当たる。


ガク「ぐっ!」


アルフ「お、気絶してはくれないか。なら!」


蹴りがガクを襲い、彼を吹き飛ばす。


アルフ「ガクさんよ、アンタこの前の俺が食らわせた“臨体砲”。俺はアバラを数本頂いた気だったんだが・・・今のでまた1本は逝っただろ?無理すんなよ。」


ガク「ぐふぁ。」


血を吐き出し、口を拭く。


ガク「そうさ、だが!」


ガクはまたアルフに斬りかかる、

それを紙一重で避けるアルフは一撃ガクに入れる、

だがガクは怯まず切りかかり続ける。


アルフが避け、ガクが斬りかかるというのを何回か繰り返した後、アルフは語りかける。


アルフ「タフな奴だ、だが!。」


ガクが斬りかかった力を利用してガクを投げ飛ばした。


ガク「っぐ・・・まだ。」


ガクは立ち上がり、また振りかぶり、斧は空を斬り地面に刺さる。


アルフ「無駄だよ、貴方の今の状況じゃ俺に一太刀は浴びせられない!」


ガクは地面を向いたまま、叫んだ!


ガク「波紋を響かせ、我に記せ、煉磋斧牢レンサブロウ!」


アルフの足元が一瞬に流砂に変わり、砂が舞い上がる。


ガクが持っていた斧の厚みが増え、鉛の塊みたくなっていた。


アルフ「な!」


舞い上がった砂から斧が襲い掛かかり、アルフに当たる!


ガク「これが、俺のイムズ、アデムズ6級レンサブロウだ!」


ガクは確実な手応えに勝利を確信した。


アルフ「・・・この一撃のための布石か、さすが盗賊団の頭を張るだけある、狙いは間違っていない。」


アルフの左、二の腕が斬られ、腕を上げられない状態であった。


ガクはそれを見ると驚きを隠せないでいた。


ガク「確かに、頭を狙った、あの瞬間にどうやって。」


アルフ「驚いたさ、普通の人だったら頭が飛んでただろうが、そこは修羅場の数というのか、何とか避けれた。はーあ、俺もアンタを甘く見ていたという事か。」


今まで眠そうにしていたアルフの目が鋭くなり、


鋭い踏み込みとともに相手に近づきアルフは肘鉄を入れるモーションに変わった。


アルフ「臨・体・ほ・・・」


言い切ってガクに当たる前にアルフの攻撃は砂の壁に封じられた。


ガク「一度見た技を二度食らって良い、そんな優しい世界で住んで来た覚えはない!」


ガクは斧を振り、それを避けるのにアルフは後ろに下がる。


アルフ「ははは、流石に頭領だわ、お強い事だ・・・だが。あんたもう、限界そうだな。」


ガクの額からは溢れんばかりの汗が流れ落ち、呼吸が荒くなっていた。


ガク「心配される筋合いはない!なめんな!後一発あれば十分だ!」


アルフ「(一発しかもう、体力が無いって事か・・・しょうがないな・・・。)」


斧を振り降ろし地面に刺し、そしてそれを引き上げると同時に砂塵が舞う。


ガク「これで最・・・!!!」


気づいたときにはアルフはガクの懐まで踏み込んでいた。


ガク「無駄だ!」


先と同じく砂の壁がガクを守るが、それに構いもせず、アルフの掌底が砂壁に突き刺さる。


アルフ「操活術・焔千蒼・焔式兵技“破砕牙”!」


衝撃が壁を尽き抜けてガクに当たる。


大量の砂がガクに当たり、残りは弾け地面に落ちる。


ガク「な!!!」


ガクは仰向けに地面を滑るように飛ばされる。


アルフは暫く構えを解かなかったが、ガクが指一本も動かせないのを確認すると構えを解いて。


後ろを振り返った。


そこには何か視点がハッキリしないテミオと、盗賊の一人を抱えるハルカがいた。


ハルカ「最後の一発、ただの破砕牙じゃないな、あの技にそんな威力はない。」


アルフ「ああ、ほんの少しだけ力を解放した、まぁ、礼儀って奴だ。それより、テオはどうしたんだ?そしてその盗賊は?」


経緯をハルカから聞いた。


テミオ「アルフさん、僕は・・・。」


顔を青くするテミオにゆっくりと語りかける


アルフ「・・・テオ・・・武器を構えるって時はな、相手の命を奪うかもしれない、奪われるかも知れない、そういった覚悟も構えないといけないんだよ。」


テミオ「・・・あった・・・積りでした。僕は、僕自身が死んでも別に良いと何時も思ってました、他人が死んでも何も思いません・・・でも。」


その間にハルカは傷ついた盗賊を地面に置いた。


アルフ「奪うってのは違うさ。責任が生じるからな。自分の死は自分自身だけの問題、他人の死は大抵自分の責任は深く考えなきゃついてこない。だが、自分の手で直接やるとなると、現実味は濃く出てくる、責任は分かり安い、逃げられない。そういったもんさ。」


アルフは盗賊の前に膝を立てる形で近づく。


アルフ「ハルカ、まだ、息はあるが、その内、出血多量で死ぬだろうから、合図したらナイフを抜け!」


テミオ「何を!」


アルフ「まだ、人殺しにはなりたくないんだろ?ハルカやれ。」


アルフの右手は合図と共に燃え始め、ハルカがナイフを抜くと、


そこに目掛けて手を振り下ろした。


テミオ「わ!わ!アルフさん!?」


ハルカ「テオテオ、黙ってみてなさいって。」


血と肉が焦げる臭いが周囲に立ちこむ


盗賊「うっ、うっ・・・」


アルフが手をどけると手の炎は消え、


それと同時にハルカは何かの薬を盗賊の傷口に当てて、布をつけた。


テミオ「肉を焼いて出血を・・・なんて無茶苦茶な。」


アルフ「ハルカ俺の左腕も頼む。応急処置で良いから。どうせ今日はこの村を離れられそうにないしな。」


そういわれたハルカはアルフの傷を治療し始めた。


テミオ「僕は・・・かっこ悪いですね。」


アルフ「そうだな・・・」


テミオ「戦う覚悟も方法も知らない、だからと言って助ける手段も知らない。」


アルフ「皆、そうだろ。それに気づいただけでも、良いじゃないか。スタートに立たなければ、出発も出来ないんだから。」



テミオ「・・・そうですね。」


テミオは空を見上げた、


空は今のテミオの心とは違い、


穏やかで、


雲はゆっくりと何事もないように静かに流れていた。


ーーーー



次回予告!


テミオ「師匠!腕大丈夫ですか?」


アルフ「何だよ、テオいきなり、気持ち悪いな。まぁ、左腕は当分安静だな。」


ハルカ「本調子じゃないのに、相手を気遣いすぎて、自分が負傷していたら世話ないな!師匠!」


アルフ「お前もかよ!何時からお前らの師匠になったんだよ!」


テミオ「師匠、所で深山「リアム」の震える槍「エキンズ」をご存知ですか?」


アルフ「見事にスルーな上に、いきなり話題変えるな!てか知らんぞ、震える槍なんて。」


テミオ「師匠―ここらの観光地というか、見所と言ったら、古伝64装の震える槍じゃないですか!」


アルフ「古伝って何?」


ハルカ「ほら、前に説明したでしょ?この大陸に古くから伝わる伝説に出てくる武装。俗にいう伝説の武器だよ!師匠!」


アルフ「お前の師匠の使い方は無理がないか?てか止めろ!」


テミオ「師匠!行きましょう!深山へ震える槍を見に!」


アルフ「だから、お前は阿呆なのだ!見るだけじゃない、折角だ手に入れるぞ!」


テミオ「流石です、師匠!」


アルフ「よし、次回も!見よ!南方は赤く燃えている!」


ハルカ「ノリノリじゃん・・・」

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