6 DT男子達のひとりごと 俊サイド
その日、高校の一学期の終業式が終わり、ボクは小学校からの友達の遊馬と明日からの夏休みをどう過ごそうかと話し合いながら棒アイスを食べつつ帰り道の国道を歩いて居た時。
「みんな久しぶり!」
ドコか聞き覚えのある懐かし声音で後から声を掛けられた。
ボクと遊馬は同時に振り返り、驚きと困惑でフリーズした。
ソコにはボク達思春期男子の憧憬を集めて具現化した様な美少女が立って居たからだ。
しかもその美少女は親し気にボク達に微笑み掛けて言うのだ。
「オレだよオレ!真だよ」
三年前に家庭の事情で引っ越て行ったボクと遊馬との共通の友達だった真だと言うのだ、だけど真は男の子だったはずだ、だからボクと遊馬はますます混乱して立ち尽くした。
兎に角詳しい事を聞く事になり、積極的にボク達を先導して美少女はその場で一番近かったボクの家に行く事になる。
自分の家に向かうあいだその美少女に魅惑されたかの様にボクは視線を外す事が出来ずに居た。
だってそうだろう!真は、小学校の頃からクラスに馴染めず何時も一人で居る事が多かった陰キャでオタク気質のボクにも拘る事無く接してくれた漢気溢れるヤツなんだったのだから。
それが今や神秘の光を放つ魔法の泉の中に佇む妖精の王女か、儚げに微笑むエルフの美少女の様な女の子になってボクの目の前を歩いて居るだって…⁉。
家に着きボクは彼女が元男の子であの真だと信じられ無くて、試す様にボクの部屋を知っているかと尋ねると彼女はまるで勝手知ってるかの様に2階に上がる階段を上がり出す。
ボクも後から階段を上がろうとした時、彼女のスカートの裾が少しなびき健康的な太腿とその奥にある淡い水色の布地が見えた。
その時ボクは見てはいけない物、汚してはいけない物を見た様な罪悪感が襲って来て、直ぐに視線を外した。
部屋に着くなり彼女はボクのベッドに飛び乗り何やらクンクンと匂いを嗅いでいる様だった。
ボクは恥ずかしくって文字通り声に成らない悲鳴を上げてへたりこみそうになる。
それから彼女はベッドに寝っ転がりながら足をパタパタさせたのでスカートが捲れ上がり、彼女の下着が露わになりそうになる。
ボクは先程以上の罪悪感を感じて外方を向くが、遊馬は好奇心増し増しの体でベッドの際まで顔を寄せて行っていた。
ボクは遊馬のある意味自分の好奇心と欲望に素直な行動に呆れ…同時に羨ましくとも思った。
やがて彼女はベッドの上に座り直して背伸びをする。
すると彼女のうぶ毛一つ無い綺麗な脇の下が目の当たりになり、しかもノースリーブの袖から先程見たパンツと同じ色のブラジャーに包まれた胸の膨らみの一部が垣間見えたのだ。
彼女の男の目を気にしない傍若無人な振る舞いに、ボクは更に困惑しつつ目を離せないで居る。
その上彼女は何故かボクの薄い本の隠し場所を知って居たかの様に、ベッドと壁の間に手を差し入れて秘蔵の同人誌を取り出した。
ソレらはボクがコミケで集めた同人誌で、ボクの趣味嗜好を反映した物達で…つまりボクの性癖を暴露する様な内容の物ばかりなのだ。
彼女が興味深そうにニコニコしながらベッドにソレ等を並べて声に出してタイトルを読み出した時にはボクは羞恥で死ぬかと思った。
だからボクは辛抱出来ずにソレらの上に覆い被さる様にして隠して取り戻した。
(何なんだよこの女の子は、恥ずかしく無いのか…?)
一見清楚そうな外見とまるで男の子の様な振る舞いに、ボクの最初に抱いていた清楚可憐なイメージが瓦解して行き、ボクの混乱はピークを迎える。
********************
やがてボクの提案でようやく、自分の事を真だと言う女の子の話を聞く事になる。
彼女が居住まいを正してベッドの端に座ると、たちまち何処かのお嬢様見たいな清楚な風情になり、キラキラとした背景効果の幻が見える気がするほどだった。
最初に遊馬が本当に彼女が真なのかの証拠を求めると、彼女はしばらく考えた後ボクと遊馬と真しか知り得ない黒歴史や恥ずかしい秘密の話を暴露し出した。
ボクと遊馬はその話を聞いて後悔と羞恥に悶えながら、もしかしたら本当に彼女が真なのかも知れないと思い始めた。
そこで何故男の子だった真が女の子に成ってしまったのか、その経緯を聞くが…その不可解な経緯にまたボクは混乱する。
そして真は主治医がヨーロッパの学界に呼ばれたので彼(彼女?)も一緒に引っ越す事になったと言う。
“様変わり?”したとは言え再び会えたかつての友達らしい彼女が、今度は外国に行くと言う事にボクは複雑な思いになり、遊馬も淋し気にしていた。
そこで名残惜しんで夏休み一杯コッチに居ると彼女は言った。
そこで真と思える彼女が、ボクと遊馬に夏休み中昔見たいに一緒に遊んでくれないかと言って来た。
真と思える女の子が、ペタンと床に女の子座りでやや頭を下げつつ見上げる様に上目遣いでボク達を見て頼んで来る姿に。
“ズキューン”と言う効果音の幻聴がボク達には聞こえた。
たちまちボク達は、一も二も無く夏休み中に遊び倒そうと彼女と約束をする。
そこで手始めに早速次の日に隣町にある県営プールに遊びに行く事になった。
********************
次の日県営プールの前で待って居ると、ナンパされて揉めているらしい真と思える女の子が、コンビニの看板辺りに見えたので、ボクと遊馬が駆け付ける。
すると今時珍しいヤンキー姿のナンパ野郎達は、直ぐ逃げて行ったが真と思える女の子の着て居る格好を見て、その露出度の高さにナンパされるのも仕方無いかもと思った。
それは肩を露わにして下着と大差無い程の薄い生地のキャミソールに、コレまた薄い生地のフレアスカートのミニと云う、夏場と言えども肌の露出が多い格好だったのだ。
それからボクと遊馬は彼女を伴って県営プールの中に入った後、真と思える彼女が女子更衣室から出てきた時、ボクと遊馬はちょっと驚いた。
それは何処ぞのグラビアアイドルかと云う様な、ピンクの水玉模様の三角ブラと紐パンのビキニと言う水着で出て来たからだ。
真と思える女の子の輝く様な肢体にボクと遊馬は目のやり場に困った。
何しろ彼女のスラリと延びて膨らむ所は膨らみ締まる所は締って豊かであるべき所は円やかに実って居る身体にそのビキニの水着はコレでもかと云うほどに映えていた。
今まで妄想の女子としか接して来なかったボクには、いささか眩し過ぎてクラクラする。
ソレは遊馬も同じらしく、だらし無い表情で真と思える女の子の後をフラフラと付いて行く。
この近隣の子供連れやおじさんおばさんしか客の居無い様な地方都市の県営プールには、いささか場違いな雰囲気の彼女で…ボクと遊馬を引き連れて闊歩する姿は回りの注目を浴びた。
ボク達は真と思える彼女を伴って、そそくさとプールに飛び込もうとした。
すると遊馬に止められて強制的に準備運動をさせられた。
プールの水の中に入ると、ボク達は直ぐに我を忘れて燥ぎ出しす。
泳いだり走り回ったり水を掛け合ったりして、そして真と思える女の子がボクや遊馬に抱き着いて来た時、ボクは初めて女の子の肌とを自分の肌で触った感触やムニュッとした胸の柔らかさに仕方無くボクの股間が反応してしまい、しばらく水から上がれ無くなった。
一頻り真と思える女の子は水と戯れた後、徐ろににボクの前でプールから上がった。
水から出た彼女の肌の上を、水が伝い落ちて行く様をボクは、何故かボンヤリと見つめた。
そのボクの見つめる彼女の胸にある水着は、ピッタリと彼女の胸の曲線に沿って貼りついて、やや小ぶりながらも確りと膨らみを主張していた。
そして彼女の腰に貼り付く水着も同様に腰周りの円やかさを強調して、それから股間のなだらかな窄まりのやや弛んでシワになった布地から滴り落ちる水滴に、ボクの視線は釘付けになった。
ボクの股間に再び情動が集まるのを必死に堪らえる。
水から上がった彼女はプールサイドに並んだビーチチェアーの一つに座って自分の荷物が入ったビニール製のバックを何やら漁り出す。
それから今度は自分の腕を後に回してどうやらブラの留め具を確かめて居る様だ。
確かに泳いで居るうちにブラの留め具が外れて水着が流されたりしたら大変だ…もっともそんなマンガかアニメ見たいなラッキースケベなんて有り得無いケドね。
それでようやく股間が収まったボクと遊馬もプールから上がり、真と思える女の子の所に行って何か食べ物と飲み物を遊馬が買って来る事になった。
遊馬が売店に行こうとした時、彼女が名前はマコトのまま読みは同じだけど“真”に“琴”の字が付いたマコトになったと言った。
それを聞いてボクは昔の名作アニメ“赤毛のアン”で主人公がANNでは無くてANNEと言うEの付いた名前で呼んでくれと言ったエピソードを思い出して彼女と遊馬にそう言う。
そうしたら遊馬も“琴”の部分に力を入れて彼女の名前を呼び売店に歩いて行った。
それからボクは真……真琴と思える女の子の隣のビーチチェアーに座ったが…そこでボクはようやく真琴と思える女の子と2人きりになった事に気付く。
今更にボクは隣の真琴と思える女の子を意識してしまい、まともに顔を向けられ無いで居た。
ボクがチラチラと覗く様に彼女を見て居ると、ソレに気付いて彼女が何かと問い掛ける様に微笑んでくれた。
それでボクは何とか話し掛けようとするが…女の子と二人の時の話題が思い付かない。
だって仕方無いだろ、ボクは普段は陰キャでオタクのコミ症何だよ、ごく親しい間の遊馬や一部のクラスメイトそれと肉親位しか普段は話さ無いんだから。
三年前の真とは気の置けない男の子同士の友達だったのでボクでも気軽に話せた。
今…ボクの隣に居る真琴と思える女の子は、ボクの憧れと妄想を具現化した様な美少女で…とてもコミ症のボクでは話し掛けられ無かった。
幾ら頭を捻ってもマンガやアニメの無駄知識しか思い付かず、男の子だった時の真だったらそれでも良くて、彼はそれなりに話題に乗ってくれたものなんだけど、美少女になったと思える真琴にはそんな話題をふって良いものかと悩んでしまう。
そうこうする内に真琴と思える女の子がボクの方を向いて、さも自分の肢体を誇るかの様に身をくねらせつつ聞いて来た。
「ねえ…この水着、結構可愛いだろう」
真琴と思える女の子の均整が取れて健康的でそれで居てドコか萌え出る艶っぽさもある身体に着けられた大胆な水着は、ボクには筆舌に尽くし難く魅惑的で辛うじて何とか言葉を紡いだ。
「えっ…うん、すごく可愛いよ」
「しかしまあ、こんな可愛い水着を着る様になるなんて三年前は思いもしなかったよなぁ」
そう言って真琴と思える女の子は自分のオッパイを両手で持ち上げる様にしてプルプルと揺らす。
そんな真琴の思春期男子の純情をもて遊ぶが如き行状にボクの頭は今にも熱暴走を起こしてシャットダウンしそうになった。
「だろうね…」
辛うじてそう絞り出す様に言うとボクは、また頭に血が昇ら無い様に背を向けるが…。
「そう言えば、お前の部屋にあったフイギュアの中に、この水着とよく似た水着を着てる娘がいたなぁ」
真琴と思える女の子がそう言った時、シャットダウン寸前のボクの頭は、一瞬でオタクデータベースに切替わり、件のフイギュアの特定をする。
「ソレって棚の一番上の右側にあったヤツかい?」
「ああ、そうだと思うよ」真琴と思える女の子がそう言うと。
ソコからはボクはもう止まら無かった…そのフイギュアの元になったアニメの解説や内容の考察、更にはフイギュアが着けてたボーダーの水着が何故マストアイテム化したかの推理論評までまくし立てた。
普段こう言う話題の話を他の人とあまり喋る機会が無いために、ボクは自分の嗜好について一旦喋り出すと自分でも止める事が出来無い程に喋り出してしまう、たとえ相手にドン引きされていると分かっていても止められ無いのだ。
真琴と思える女の子はやや呆れつつ仕方無いなあという表情で…それはかつて同じ様にボクが語り出した時、男の子だった真が良くしていた表情で…それを見てボクの中で漸く彼女が彼だという納得が出来た。
しかしそれでもボクの語りは止まら無くて、誰かボクを止めてくれと心の中で叫んで居ると。
「あっ俊くんだ、君もココに来てたんだぁ」
耳慣れた声がボクの喋に割り込む様に聞こえて来た。
振り向くとボクや遊馬と同じく小学校からの知合いの女子が、学校指定の水着を着て立って居た。
「何だ由田明里じゃないかぁ」
ボクは話の腰を折って喋りを止めてくれた事に心中感謝しつつも何処か残念に思い、ややぶっきら棒に言う。
そしてフト見ると真琴が困惑した様な顔をしていた。
明里はボクの隣のビーチチェアーに居る真琴に気が付き、ボクの彼女かとからかう様にボクを肘でウリウリと小突きながら言って来た。
ボクは当然ながら否定する、そうすると明里は直接真琴に話掛けた。
すると真琴が何だか焦って居る様な受け答えをして自分の名字を偽名に変えたりして居た。
ボクは真琴が偽名を使ったりしたので何だか面倒臭そうな気がして真琴には悪いけど関わりを絶つ様にして背を向けて丸くなる。
明里は真琴の隣のビーチチェアーに座って。
「……ワタシね昔にちょっと好きだった男の子が居て……その男の子も真と言う名前だったの…」
ボクの背中越しに2人が話して居る声が途切れとぎれに聞こえて来る。
どうやら真琴は自分が性転換した真だとは明里に知られたくは無い様子で焦りつつ知らばっくれているみたいだ。
そこに遊馬が帰って来て、呆気らかんと真が性転換をして女の子になった事をバラしてしまった。
「はうあ〜っ⁉」
ボクは空気を読まない遊馬のやらかしに、ボクはそう叫んで振り向く。
「はあーっ?」
明里も困惑した様に叫び。
「##%@!」
真琴は意味不明な叫び声を上げた。
ソレからボクと真琴とでアタフタと慌てふためき、遊馬は自分が何を仕出かしたのか分からなそうにして我感ぜずとしていて。
明里は困惑と半信半疑で混乱しつつ真琴にどういう事か詰め寄る様にして聞いて居た。
真琴が恥ずかしそうに明里に自分の事情を話してようやくその場が落ち着いた。
ソレから明里は美しく容変した真琴を改めて墨から隅まで観察して、何やら敗北感に苛まれた見たいだった。
その後明里は真琴の後に回って抱き着き、何か真琴の耳元で囁きながら胸を揉む様な仕草をして戯れ始めた。
その男子が関われ無い女子2人のGLぽい絡みをボクと遊馬は呆然と見て居るとしか無かったのだが……。
それから明里を混ぜた四人で一日プールで遊び、真琴や明里に遊馬と別れて家路につくと、ボクの中でしみじみとした嬉しい様な楽しい様な感慨が湧いて来て、今年の夏休みは今までに無い楽しい夏休みになる気がして来た。




