14 コスプレってカ・イ・カ・ン
“みゃりー”さんはコスプレイヤーで、海野さんの大学の先輩で、今日は同じコスプレイヤーの人とバディ物のコスプレをする予定だったそうなのだけど。
「彼女昨日の夜に盲腸で急に入院しちゃったのよね、それで今日はバディの片割れだけでコスしてたんだけど…やっぱりバディの相方も欲しいなぁと思っていたのよ」
クールビューティーなかなりの美人さんに両手を握られ懇願されてオレは困惑する。
「キララとアーヤのアーヤ役かあ、確かに真琴ちゃんに似合うわね、良いじゃんやりなよ」
海野さんは乗り気に言って。
「新世紀警察ダーティバディのキララとアーヤのコスプレかぁ、ボクはアーヤ推しだよ」
俊も推して来て。
「ワイは元のアニメ見とらんから分からんけど、ソッチのお姉さん見たいなセクシーな格好をするなら見たいなあ」
遊馬は何やら邪なオーラを放ちながら言って来る。
「あの…でも、オレ…私はそのアーヤと言うキャラを知らないし」
オレが恥ずかし気に言うと。
みゃりーさんはコートの中からキャラクターシートの様な物を取り出して、アーヤのキャラを見せてくれた。
何でもアーヤは主人公のキララと言う未来の警察官のサポートデバイスで有機オートマタと言う人工生命体なのだそうで、格好は頭にメカニカルなサークレットを着けた超ミニスカートのメイドと言った感じのコスチュームだった。
「あの…こう云う格好をするのですか…オレが⁉」
オレが更に困惑しながら言うと。
「あははっ貴女、オレっ娘なんだぁますますアーヤ見たいじゃない」
みゃりーさんは笑いながらアーヤと言うキャラの一人称は“オレ”なんだと教えてくれた。
それに入院したコスプレイヤーさんとオレは身長体格が似ているので彼女のコスがそのまま使えるらしい。
(コスプレねぇ…まあ興味が無いと言うと嘘になるけど…)
オレが今ひとつ決めかねて居ると、みゃりーさんはクールビューティーな風貌に似合わないウルウルした目でオレを見て懇願して来る。
「はぁ…分かりました、やりますよそのアーヤと云うキャラのコスプレを」
オレは根負けしてそう言った。
みゃりーさんのブースにみゃりーさんに案内されてオレと俊と遊馬で行くと、みゃりーさんのブースはみゃりーさんのコスプレ写真をまとめた小冊子だとかDVDを同大学の後輩の人が売っていた。
今日みゃりーさんとバディのコスプレをする予定だった人のコスが、ブースに宅急便で届けられていたのでそれを取りに来たのだ。
相方コスを持ってコスプレ用の更衣室に行く。
(もちろん俊と遊馬は更衣室の外に待たせる)
そこはかなり大きな部屋に幾つものパーティションやカーテンに仕切られて居て、沢山のコスプレイヤーの人が集まっていた。
その仕切りの一つに行くと、大きな姿見にみゃりーさんの荷物と色んなメイク道具、裁縫道具にガムテープやカッター等が置いてあった。
「それじゃ服を脱いで…下着も取ってね」
みゃりーさんはさも当然の様に言って来た。
「えっ…真っ裸になるのですか⁉」
オレが些か驚いて言うと。
「当然じゃあない、貴女の身体に合わせてイロイロ補正や修整をしないとね、大丈夫同じ女同士だから襲ったりしないわよ」
みゃりーさんはちょっとイタズラぽく笑って言うので、オレも釣られて苦笑した。
薄いカーテン1枚で仕切られた向こうには、不特定多数の人がワヤワヤして居る所で真っ裸になり事に、オレが躊躇して居ると。
「もう…しょうが無いわね、ハイバンザーイ」
そう言ってみゃりーさんはオレのブラウスを一瞬で剥ぎ取る。
それからはあれよあれよと言う間にスカートもブラジャーも剥ぎ取られてしまった。
気が付けばショーツ一枚になって居て、最後の一枚だけは死守しょうとしたが、ソレも敢え無く取られてしまう。
オレが真っ赤になって蹲っている間にみゃりーさんは相方さんの荷物からコスプレ衣装を取り出す。
「はい、ブラウスとボディスとスカートとフレアパンツそれに下ろしたてのアンダーショーツ」
そう言ってコスプレ衣装がオレの前に差し出される。
オレは諦めた様にため息を一つ吐くと、それらを身に着け始める。
コスプレ衣装を身に着けると、先ずスカートの短さに慄く。
エプロンと一体化してフリルで彩られた黒い巻きスカートは、とにかく短くてちょっとでも屈もうとしたら完全にパンツが丸見えになってしまう。
もっともパンツはスカートのフリルと同じフリルとリボンで盛られた可愛いらしいカボチャパンツで、中にはしっかりTバッグのアンダーパンツを穿いている。
(Tバッグと言うのは初めてで、お尻の割れ目に食い込むのかと思ったけど以外とそんな事は無いなぁ…)
カボチャパンツの上から、Tバッグのストラップの位置を直しながらオレはそう思った。
それから白いニーソックスにストラップシューズ。
トップはゆったりして胸元が大きく開いたパフスリーブのブラウスを着て、その上からボディスと云うビスチェかコルセットの様な補整服を着ける。
(中世ヨーロッパの町娘なんかが良く着て居る様なイメージの奴)
ただオレの辛うじてCカップのバストではブラウスの胸のところがかなり余裕があってブカブカする。
「あのぅ…みゃりーさん、この衣装の胸がちょっとブカブカなんですが」
オレが恥ずかし気にオズオズと言うと。
「ああっそれね…コレを使って」
そう言ってヌーブラを数組ほど渡して来る。
「えっと…コレをどうすれば…?」
オレは渡されたヌーブラを手に困惑して居ると。
「そのヌーブラを何枚か重ねて付けて底上げするのよ」
そう言うとみゃりーさんはオレの衣装を脱がせて裸のオッパイを剥き出しにして来た。
オレは慌てて腕で胸を隠そうとするが、みゃりーさんはその腕を退かせてオレのオッパイを直に触って持ち上げるながらヌーブラを貼り付けて来る。
「ひゃん…ん」
オレは初めて自分以外の人にオッパイを触られて、思わず変な声が出た。
みゃりーさんはそんなオレには構わずに、テキパキとオレのオッパイを寄せて持ち上げてヌーブラを一枚貼り着ける。
オレは自分のオッパイに接着剤で貼り付けられたヌーブラの引っ張る様な違和感に戸惑うが、みゃりーさんはその上にもう一枚更にもう一枚とヌーブラを重ねて着けて来る。
三枚のヌーブラを重ねて着けるとオレのオッパイは確実にDカップ以上になり、ハッキリとした胸の谷間さえ出来ていた。
そしてもう一度コス衣装を着けると、今度はコス衣装の胸に隙間が無くなってカパカパはしなくなっていた。
しかも大きく開いた胸元の襟から盛り上げた胸の谷間が露出していて、我ながらちょっとセクシーだと思う。
「本当は偽乳が有るんだけど、アーヤの衣装のデザインだと偽乳だとバレちゃうんだよね」
みゃりーさんが肩を竦ませ仕方無さ気に言う。
「さぁ次はメイクね、コッチに来て」
そう言ってオレをメイク道具が置いてある鏡の前に座らせた。
「コレからメイクをするけど、その間にコスをするアーヤと言うキャラについて説明するわね、貴女にもアーヤと言うキャラに成り切ってもらいたいからね」
そう言ってみゃりーさんはオレのメイクをしながらキャラクター説明を始めた。
みゃりーさんがコスしてるキララと言うキャラは23世紀の警察機関の特務捜査官で、一見するとクールビューティーな敏腕捜査官のようだけど…実際はかなりポンコツで怖がりでヘタレな性格で、本当は捜査官では無く事務職か交通課の駐車違反取締り位の部署に行きたかった人なのだが。
超感覚の適正が有る事が判明して第六感覚に特科した特務捜査官に任官されてしまい、キララ本人は困って居た。
そこに第六感覚特務捜査官には必ず一体の超感覚をサポートする人工生命体が付くのだけど…それがアーヤなのだ。
アーヤは当初普通のサポートデバイスで人間味の無い機械見たいな娘だったんだけど…ある事件で犯罪組織にウイルスを感染させられて、そのため思考ユニットにバグが発生してしまい、性格が変わってしまった。
自分の事をオレと言って下ネタのオヤジギャグを言う様になり、更にキララに(粘膜同士の接触でこそ超感覚をサポート出来る)と言って過剰な身体接触や肉体関係までを求めて来たりするセクハラキャラになってしまった。
クールビューティーなのにヘタレなキャラのキララと、カワイイ外見なのにオヤジなセクハラキャラのアーヤとの凸凹コンビのバディ物、なのが新世紀警察ダーティバディと言うアニメなのだ。
「ワンクールのアニメにも関わらず、ソコソコ良い作画にキャラ同士の軽妙な掛け合い、それにキララとアーヤのちょっとユリっぽい展開でスマッシュヒットになったのよね…。」
みゃりーさんのキャラ説明が終る頃にはオレのメイクも終わった。
オレは姿見に写って居る自分を見る。
頭にLEDがチカチカするサークレットを着け、手首足首に同じ様なLEDがチカチカするメカっぽい腕輪足輪を着けて居る以外、超ミニスカのメイド姿のオレが映っていた。
みゃりーさんと更衣室を出ると、待って居た俊と遊馬がオレのコス姿を見て感嘆の声を上げた。
「スゴイ…真琴、完全にアーヤだよ」
俊はオレを離れて観たり近くで観察したりしていてコスの完成度に感心している。
「おおう、こりゃスゴイな、胸がいつもの五割増位になってるぞ、しかも下はカボチャパンツって…コレはコレで色っぽいなぁ」
遊馬はそう言ってオレの胸元を凝視したり、しゃがんでスカートから覗くカボチャパンツを覗いたりして来た。
「イヤン…!」
俊と遊馬の粘り付く様な視線に、我知らずに思わずカワイイ声を上げてしまう。
「ハイハーイ、コスプレイヤーさんにはあまり近づかないでくださいねーっ」
みゃりーさんが二人の間に入って制止してくれた。
みゃりーさんに連れられてコスプレ会場の屋外に行くと、沢山のイロイロなキャラのコスプレをした人が居て、更にそれ以上のカメラを持ったカメラ小僧達がいた。
「あっみゃりーさんだ、キララが帰って来たぞ」
「ああ…みゃりーさんのキララは再現度がスゴイなぁ」
「おい、バディのアーヤも居るぞ」
「このアーヤもスゴイ似合ってる!」
「アニメのアーヤの再現が完璧だぞ」
オレとみゃりーさんの周りに次々とカメラ小僧が集まって来た。
「アレ…みゃりーさん、今日はアーヤ役の人が急病で来れないと言って居ませんでしたか?」
みゃりーさんと顔見知りらしいカメラ小僧が言うと。
「そうなの、だからこのアーヤは急遽代役をしてもらう事になった娘よ…今日が初コスプレだから優しくね」
「あ…あの…初めてで上手く出来ないかも知れませんが、よろしくお願いします」
オレが緊張気味にペコリとお辞儀をして言うと、周りのカメラ小僧達がホッコリとした様な顔になった。
「ハイ、それじやぁ撮影会を始めます、先ず五分から」
いつの間にか仕切る人が居てカメラ小僧達がカメラを構えてシャッターを切り始める。
「キララさんこっち目線下さい」
「銃を構えたポーズお願いします」
「アーヤさんキララさんと寄り添って」
「キララとアーヤが抱き合う感じで」
周りから色々なポーズを求められて、オレは最初はオタオタとしてギコチ無く従っていた。
その内オレがちょっと絡んで胸の谷間を良く見せたら、それまで五月雨の様にシャッター音がしていたのが急に嵐の様にシャッター音が響いた。
(あっ今…オレの胸の谷間が沢山のカメラで撮られて居る)
そう思った時、オレの中で何かゾクゾクとする感覚が走った。
今度はオレはお尻をちょっと突き出す様にして、フリルたっぷりのカボチャパンツを覗かせると、またしてもシャッター音の嵐が起きた。
(ああっ撮られてる、オレのセクシーポーズが…)
そう思ったらオレの中で何かが高揚して来た。
(何だろうこの高鳴る感じ…オレはこの容姿なので今までも色んな人に褒められたりしたが、その都度自尊心を擽られたりしたけど…こんな心が昂ぶる様なのは初めてだ)
そんな事を考えてオレはあざとく胸元やパンツをチラ見せすると、その都度シャッター音の嵐が巻き起こり、自分が皆に求められて居る様な自己肯定感が湧いて来た。
(ハハッ…今ならコスを脱いで裸の写真を撮らせてと言われたら…OKしてしまいそうだ)
オレは周りのカメラ小僧達のちょっとでもカッコいい所やセクシーな所を逃すまいと言う、執念にも似た熱視線にあてられた様だった。
シャッター音の嵐が起きるたびオレは、更に大胆なポーズをとる様になり、その度オレの中に疼く様な感覚が走った。
(コスプレってカ・イ・カ・ン)
そんな事を考えつつ半分陶然となりながら撮られて居ると。
「ハイ!時間です、次の撮影する人と交代して下さい」
仕切ってる人の声で我に帰る。
「スゴーイ真琴ちゃん、ノリノリじゃあない貴女コスプレイヤーの素質あるわよ」
みゃりーさんがオレを褒めてくれる。
「あはっ…そうですかねぇ」
オレも満更でも無い様に答える。
「それじゃまた五分お願いします」
仕切る人の声でオレはまたカメラ小僧達の視線が注がれる中に浮かされた様に立った。
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それから二時間近く撮影会が続きようやく終わった。
炎天下での撮影会だったので随時水分を取って居たけど、殆んどは汗となって出て行ったのでトイレには行かないでもよかったのだが、さすがに撮影会が終わった時トイレに駆け込んだ。
用を済ませアンダーパンツを上げようとした時、クロッチ部分がたっぷりと湿って居るのに気付く。
(コレは…尿は漏らして無いし、汗とも違う見たいだ…オリモノでも無い様だし…つまりオレは写真を撮られて…濡れてしまったと言う事か⁉)
確かに撮影会の間オレは沢山のカメラ小僧達に眺められ写真に撮られて、自分が皆んなに求められてる女なんだと言う高揚感に浸って居た自覚が有る。
アーヤと言う可愛い女の子のアニメキャラと一体となる事で、オレは自分の中の女として求められる欲望を目覚めさせたのか。
それでオレは妙に圧迫を感じるヌーブラをめくると、乳首が立って居た。
そう言えば下腹の奥にウズウズとした感覚も感じ始めている。
生理前にやって来る…あの自分で自分を慰めようとさせる欲求…つまり発情してる…と言う事だ。
オレは自分の思い掛け無い性癖に困惑と呆れの感情に襲われた。
(オレは女性の生命を繋ぐ神聖な所に憧れて女で有る事を受け入れた…だけどオレの中の男だった精神が男を恋愛対象としては受け入れられないで居る…その為の折衷案見たいな事をオレはやろうとして居る訳だけど…オレの身体と本能は既に女と言う事か)
オレは暫し沈思黙考する。
「真琴ちゃん…大丈夫」
みゃりーさんがトイレから中々出て来ないオレを心配して声を掛けて来た。
「ハイ大丈夫です」
オレはそう言って、そそくさと身支度をして個室から出る。
コミケが終わりオレと俊と遊馬は、海野さんとみゃりーさんの打ち上げの焼肉パーティーとカラオケに参加した。
夜行バスで帰るため夜九時ごろには海野さんとみゃりーさんと別れバス停に向かう。
バスに乗ってからは俊と遊馬は疲れていたのか直ぐ寝息が聴こえて来た。
オレも疲れては居たが…ある思いが頭を駆け巡り寝付け無かった。
(オレはこのまま女になって行くのか…それはそれで望んだ事ではあるけれど…何だかちょっと寂しいなぁ)
オレは車窓に額を寄せながら、流れて行く夜景を見てそんな事を思って居た。




