10 パンチラはDT男子の心の癒し
「ウ~ン……」
オレは自分のベッドの上に置いた三組の下着を見比べて悩んで居た。
今日はオレと俊と遊馬で、昔良く遊んだ“秘密基地”が今はどうなっているか見に行こうと先日オレが言い出して、それでそこに行く事になった。
出掛ける前にシャワーを浴び、タオル1枚を身体に巻いて今日出掛ける時に着けて行く下着をどれにするのか悩んで居るのだ。
今日行く”秘密基地“はちょっと大きな河川に架かる橋の下にあり、そこに行くには河原の大小の岩や石が散在するガラ場を歩く事になるんだが、そう云った所を進むと自ずと起こる避け得ない事故がパンチラだ…。
そんな所にパンチラしそうな格好で行くのは如何な物かと言う意見がある事は承知して居るが…パンチラはDT男子の心の癒し…なのだ。
今日も俊と遊馬のDT男子共にチラリチラリと下着を見せてサービスしないと、そのための下着選びなのだから。
この夏休み中にDT男子共の興味と下心を利用して、オレの思惑を達成させないと。
「はっくしゅん!」
おっといけない、夏とは言えエアコンの効いた部屋で何時までもタオル一枚で居たら風邪をひいてしまう。
早く下着を選んで仕舞わないと。
ベッドの上にある三組の下着は昨晩から検討に検討を重ねて選んだ三組で、その内の一組は……。
木綿素材の無地の白で、ブラジャーはノンワイヤーでカップ上の肩紐を引っ掛ける処に青い小さなリボンが付いている。
ショーツの方も木綿素材の無地で白、そして前見ごろの上にブラジャーと同じリボンが付いている。
この素っ気無い程のシンプルな下着は、如何にも普段の日常使いと云う風情で…こう言う普通の下着と云うのにDT男子は萌えたりするんだよなぁ。
もう一組はワイヤーの入ったブラジャーで全体がナイロン製で光沢があり淡いピンク色をしていて、カップの前見ごろに苺のプリントが散りばめられていてレースの飾りが付いている。
ショーツは同じくナイロン製で光沢があり、同じく前見ごろに苺のプリントが散りばめられていて両サイドにフリルの飾りが付いている。
コッチは如何にも女の子の下着と云う感じで、コレもDT男子には大好物だ。
最後の一組は大胆にセクシー系だ、ブラジャーはワイヤーブラで色は淡い青にシースルな素材で出来ていて、カップ前の丁度乳首の辺りにレースの飾りが付いていて透けて見えない様になっている。
ショーツは股ぐり以外シースルのレースで出来ていて横を結ぶ紐パンになっている。
正にセクシー系、コレを穿いてスカートの裾から見えようモノならDT男子は鼻血を吹くことだろうな。
俊のヤツにはこの素っ気無い無地の白の下着が好きそうだよな。
遊馬は俄然セクシー系だろうな…。
オレとしてはこの苺柄で如何にも女の子の下着と云った風のが気に入っている。
それはオレが常に自分は女子だという事を自覚して心を正すためにも、こういう可愛い系の物を着けるよう心掛けているからだ。
「ハックシュン!」
ヤバイ…エアコンの効きが良いせいか本格的に寒くなって来た、早く決めないと。
オレはいささか焦りながら三組の下着を見比べて結局自分が気に入ってる苺柄のを選んだ。
手早く着けるためにブラジャーのホックを身体の前で止めて、クルッと回して双丘をカップに収める、それからショーツも手早く穿く。
それから小さな花柄で肩口がフリルになっているフレンチスリーブの膝丈ハイウエストワンピースを着る。
髪をシュシュで一つにまとめ肩がけの大きいバッグを持つ。
それから鏡で今日のコーディネートを右を向いたり左を向いたりクルリと回ったりして確かめ、アクセを着けるべきか悩み更には別の服の方が良いかとちがう服を取り出す。
「時間は大丈夫、真琴」
恵美姉ちゃんがオレの部屋に入って来て声を掛けてくれたので時計を見ると、待ち合わせの時間が迫っているのに気が付いた。
「いってきまーす」
オレは取り出したアクセや服を放り出して、慌ただしくスニーカーを履いて玄関を飛び出す。
オレが色々と放り出したまま出た後の部屋を見て、恵美姉ちゃんはため息を一つ吐くと。
「デートに出掛ける年頃の娘って所ねぇ…本当に真琴ちゃんは女の子見たいになったわね」
オレが出て行った玄関を見ながら恵美姉ちゃんは呟いた。
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「あっ来た来た」
俊がママチャリに乗って来たオレを見付けて言って。
「お前…そんな格好で行くつもりか?」
遊馬がオレの着ている格好を見て言う。
待ち合わせをしていたコンビニの前に行くと、俊と遊馬の2人はそれぞれオフロード仕様の自転車に乗っていて、ジーンズにTシャツと云うラフな格好をしていた。
オレの如何にも何処かのお洒落なカフェに行ったりショッピングを楽しんだりするかの様な、可愛いヒラヒラした服を着た如何にも女子と云う風情にちょっと戸惑っている様だ。
まぁそれが狙いでもあるんだけど。
「ワイらの“秘密基地”はけっこうなガラ場に在るのを知ってるだろう、今日はそんな格好で遊べるのか…」
遊馬は頭を掻きつつちょっと呆れた様に言って。
「うん…そうだね昔見たいに飛んだり跳ねたり走り回ったりは難しいかも…」
俊も苦笑を浮かべつつ言った。
(お前達は“秘密基地“で昔見たいに男子三人で泥だらけになって遊べると思ってくれてたのだろうケド、オレの思惑はそう言うのとは別の処に在るんだよな)
そう思ってオレは曖昧に微笑む。
オレ達三人は自転車で小一時間ほど走った郊外にある河川を目指す。
地方都市の常で市街地から三十分も自転車で走ると、風景が田園地帯に変わる。
見渡す限り稲穂が青々と茂る水田が広がり、農道を軽トラックがトロトロと走っているのが見える。
オレ達は何処そこに植わっている柿の木が甘柿の実を沢山付けるとか、いつもオレ達に吠えて来た犬はまだ元気だとか、情報交換を兼ねた懐かしい話をして目的地に向かって走った。
しばらく走っていると、やがて少し川幅が有りやや流れの速い河川が見えて来た。
俊と遊馬は自転車を降りて道路脇の茂みに置き、さっさとガードレールを跨いで河原に下りて行く。
オレも自転車を降りて先に河原に向かって下りて行こうとしてた、俊と遊馬に声を掛ける。
「おーい、俊、遊馬、ちょっと待ってくれよ」
オレの呼びかけに2人が振り返ったタイミングでオレは大きく足を上げてガードレールを跨ぐ。
俊と遊馬にはオレがガードレールを跨いだ時、フワリとワンピースのスカートの裾が翻り、健康的な血色の太ももとその奥に秘密の花園を隠すナイロン地で苺の柄の布が、しばし垣間見えた事だろう。
俊は少し驚き直ぐ恥ずかしそうに目を逸らした。
代わりに遊馬はややだらし無い笑みを浮かべて更なる追加が無いかとコチラを見て来る。
(サービス、サービス)
と心の中で呟く。
オレは2人に追い付き一緒に河原に降りて上流に向かって歩き出した。
オレを挟んで両側に俊と遊馬が付いている。
オレは至って上機嫌に鼻歌交じりに歩いていると…両側の俊と遊馬の気まずげでいて、でもドコか何かを期待する様な視線を感じる。
(フフン、またさっき見たいなラッキースケベを期待してるんだろうな2人共…)
オレがそう心の中で思っていると、遊馬が河原の石を拾い上げ川の水面に向かって投げた。
シピピピピッ
石は水面で跳ねて十五〜六個の水ノ輪を描いて水底に沈んだ。
「ウシッ!今日はいい感じだな」
そう言って遊馬はドヤ顔でオレ達の方を見る。
「フーン」
俊も徐ろに石を拾って振り被り川面の水面に向かって投げた。
シピピピッ
俊の投げた石は十二〜三個の水ノ輪を描いて沈んで終わる。
俊が渋い顔をして遊馬がますますドヤ顔をする。
オレも河原から一際丸く平べったい石を拾い上げて、大きく踏み込み出来るだけ低くアンダースローで投げる。
シピピピピピピピッ
オレの投げた石は二十数個の水ノ輪を描いて行った。
「フフン、水ノ輪投げは小学校の頃からオレの方が上手かっただろ」
オレはムフーッと鼻息荒く俊と遊馬にドヤ顔をする。
遊馬が悔しそうな表情をしてまた石を拾い水面に投げ出す。
俊も石を拾い水面に投げ出し、オレも負けじと石を投げ出す。
それからしばらくは、オレ達三人はより多くの水ノ輪を出そうと競い合って川の水面に石を投げあった。
一頻り石を投げあった後、オレ達は昔見たいに肩を組合って笑い合った。
(オイオイ、なに男同士見たいに戯れて笑い合ってんだよ、コイツ等にオレの事を女の子だと意識させなきゃダメだろう)
オレは自分の目的を思い出し少し焦る。
だけど笑ってる途中で急に、俊と遊馬が気不味そうにオレから離れて行く。
どうした事だと俊と遊馬を見ると、俊は恥ずかしそうに外方を向き遊馬は些かバツが悪そうにしてチラチラコッチを見てる。
そこでオレは気が付いた、今の石投げでオレ達は汗だくになりオレの着て居るワンピースの生地が透けて居るのだ。
夏用の薄い生地なのでワンピースの胸の辺りが汗で貼り付き透けて見えて居て、乳房の円みと谷間、それとショーツとお揃いの苺柄のブラジャーが薄っすらと見えて居た。
流石にオレはカバンからタオルを出して、胸元を隠す様にして汗を拭く。
粗方汗を拭き生地の透けもある程度収めてオレは俊と遊馬に何事も無かった様に笑った。
それを見て俊と遊馬もやや気不味気ながら、ギコチ無く笑い返して来た。
それから俊と遊馬はオレから少し離れて歩き出す。
俊と遊馬二人とオレの間に気不味い雰囲気が漂う。
(ウ~ン不味いなぁ、オレを女の子だと認識はしてもらいたいけど…距離を取られたら困るなあ…)
さっきとは打って変わってオレ達三人は、河原を黙って歩いて時々オレが付いてきてるか振り返って来るだけだ。
(あーっこの感じ覚えがある…男子ばかりのグループに女子が一人だけ混ざった時見たいだ…必要以上に女子をチヤホヤするか、どう扱って良いか分からず女子から距離を取ってしまって孤立させてしまうやつ…)
俊と遊馬はチラチラとこっちを見て気にはして居る様だ。
(夏休み中こんな風に女子として気を使われ過ぎるのも嫌だなあ、第一それじゃオレの思惑が返ってやり難くなる…この状態を打破するにはどうしょう、オレを女子として意識はしてもらいたいが、必要以上に意識して距離を取られるのも困る……仕方無い、男子の女子に対する興味と下心を利用する作戦を一気にフェーズ2に引き上げるか、まだちょっとオレの覚悟が覚束ない所はあるが…ココで意を決すしか無いか!)
オレは走って俊と遊馬の前に出て、立ちはだかる様に立った。
すると俊と遊馬がオレを怪訝な顔で見て来る。
オレは覚悟を決めて自分のワンピースのスカートを掴み、一気に捲くり上げた。
今日イロイロ悩んで穿いて来た苺柄のショーツをオレはモロ出しで二人に見せた。
俊と遊馬は露わになったオレのショーツを見て、一瞬呆気に取られ固まる。
やがて俊と遊馬は我に返り、俊は直ぐに目を逸らし遊馬も流石に恥ずかしそうにして、下を向いた。
「目を逸らさないで見ろよ!」
オレは声を張り上げた。
「いや、しかし…」
俊が躊躇いがちに言う。
「いいからオレを見てくれて」
オレが更に言い募ると、その言葉に俊と遊馬は、恐る恐ると言った風情で顔をこちらに向けて来る。
「さっきは気付か無かったのでちょっと慌てたけど…オレはこんな風にブラジャーやパンツをお前等に見られても平気だよ」
そう言ってオレは一歩前に出て、股間のショーツを見せ付ける様にグイッと押し出す。
オレの言った事に二人は少し引きながら怪訝な表情をする。
「オレの下着を見たくらいで気を使って遠慮しないでくれ、見たければ何時でも俊と遊馬になら見せてやるよ…何なら下着の上からなら、触ってもいいよ」
オレの言う事に二人は困惑してオロオロ仕出す。
「この通りオレの身体は女の子だ…だけどオレの心は三年前のままお前等の友達のつもりで居る、だから身体が女の子になったからと言って距離を取らないでくれ‼」
オレの言う事に二人はハッとする。
「ゴメン…悪かったよ、ボクはちょっと意識しすぎだったよ」
俊が謝ってオズオズとオレの方に歩いて来た。
「ワイもごめんや…そうだよなあ、お前は真何だよなあ」
遊馬も頭を掻きながらオレに近付いて来る。
「うん、わかってる、女子になったオレじゃあ意識しない方が無理だって事は…それでも出来ればこの夏休み中は昔見たいにしてくれよ」
「わかった…真琴…さん」
「ワイもわかったで真琴」
そしてオレ達三人は互いに顔を見合わせて、ニカッと笑い合った。
オレ達三人の間に親し気な雰囲気が戻って来た所で…俊が居た堪れなそうに言う。
「真琴さん…もうスカートは下ろした方が良よ」
オレはスカートを捲くり上げてショーツをモロ出しのままだった。
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オレ達は“秘密基地”への行程を再開する。
オレ達は三人で男同士の様なバカ話をしながら歩いていると、遊馬がやや言い難そうに言って来た。
「真琴は…さっき下着くらいなら何時でも見せてくれるとか言ったよな」
「おいっ遊馬よお、何言ってんだ」
俊が咎める様に遊馬を嗜めるが。
「うん、言ったよ」
しかしオレがあっさり肯定したので俊と遊馬は驚いた風だ。
「えっアレは行き掛り上に言ったンじゃあ」
俊が困惑気味に慌てて言うと。
「だよな、だよな、言ったよなぁ」
遊馬は喜んで念を押す様に言って来る。
「オレだってかつて男子だったんだ…男子が女子の身体にどれ程の興味と憧れを持って求めているかは知っている、だから俊と遊馬がオレの女子としての身体を見たいと言うのなら……見せても良いかなと思っている…」
オレの言葉を聞いて遊馬は狂喜乱舞して、俊も困惑気味ではあるが、満更では無い様子だった。
「そっそれで…触るのはどうだい?」
遊馬が更に追加して来ると。
「お…おい遊馬ぁ、流石にそれはダメだろう」
俊が呆れた様に咎める。
「ウ~ン、ちょっとだけなら…」
オレが暫し考えてそう言うと。
「ええ~っ良いのかよぉ」
俊が諦めた様に言った。
(ちょっと早まったかなぁ…でもしょうが無いか、それにオレのトラウマが二人に対して大丈夫なのか確かめられるかも…)
オレは少し貞操の危機を感じながら“秘密基地”に向かうのだった。




