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エターナル・アース  作者: 沼口ちるの


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第四話:最強の証明、乙女連盟の敗北

1. レイジの離脱と追跡

レイジ(伊達ソウジ)は、アヤとの不快な遭遇を断ち切り、足早にその場を離れた。彼の頭の中では、アヤの装備と発言、そして彼女が持つ戦闘力の分析が高速で進められていた。彼女は単なる強者ではなく、彼の静寂を乱す可能性を持つ「脅威」だ。


(ステラリスに戻り、すぐに高難易度のダンジョンに潜る。彼女から距離を取るのが最善だ)


そう判断したレイジだったが、背後から追ってくる足音に気づいた。彼を追いかけてきたのは、アヤではなかった。


「レイジさーん! 待ってくださいよ!」


「お願いします、話を聞いてください!」


嘆きの森で別れたはずのユノたちが、息を切らしながら追いかけてきたのだ。ユノ、アリスを含む五人の少女たちは、レイジの予想を裏切り、追跡をやめていなかった。


レイジは苛立ちを露わにした。


「なぜ追ってくる。契約は終わったはずだ」


「契約は終わりましたけど、私たちはまだ、レイジさんに教えてもらいたいことが山ほどあるんです!」ユノは盾を背負ったまま、必死に訴える。


「私たちのギルド、『きらきら☆乙女連盟』に入ってくれなくてもいい。でも、週に一度でもいいから、私たちを指導してくれませんか!」


レイジは完全に無視し、歩調を速めた。彼にとって、この追跡行為は「無駄な執着」であり、最も軽蔑すべき行為だった。


「私情で他人の時間を奪うな。邪魔だ」


2. 圧倒的な力の衝突

少女たちがレイジにしつこく食い下がろうとした、その瞬間だった。


街道の正面から、彼らを遮るように一人の人影が現れた。重厚な黒いプレートアーマーに身を包んだ、ソロプレイヤーのアヤだ。


彼女は、レイジに追いつくため、あえてこの道を回り込んできたのだろう。彼女の視線は、レイジから、その周りに群がる少女たちへと移った。


「やはり、君はあの集団と繋がっているな」アヤの声は低く、感情を感じさせない。


「私たちはレイジさんに指導をお願いしているだけです!」ユノが盾を構え、警戒する。アヤの持つ強烈な殺気に、本能的な恐怖を感じていた。


「指導? 弱い者が、強者に依存しようとする姿は、見ていて不愉快だ」


アヤはそう言い放つと、腰から巨大な両手剣、ブラックオニキスを抜き放った。その動きには、一切の迷いがない。


「弱者は、ソロの最強を目指す者の邪魔だ。排除させてもらう」


「なっ……! PvP(プレイヤー対プレイヤー)なんて、いきなりすぎます!」アリスが叫ぶ。


「これはPvPではない。討伐だ」


アヤは地面を蹴り、驚異的な速度で突進した。全身重装甲でありながら、そのスピードはレイジのアサシンに匹敵する。


ユノは慌てて巨大な盾を構え、アリス、リサ、他のメンバーもスキルを発動しようとする。しかし、アヤの速度は彼女たちの反応速度を遥かに上回っていた。


ゴォン!


ユノの構えた盾に、ブラックオニキスが叩きつけられた。それは防御というよりも、もはや破壊だった。


ユノのHPバーが一瞬で赤色になり、その衝撃で彼女は三メートル以上吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。


「ユノ!」


アリスが回復魔法を唱えようとするが、その詠唱をアヤは見逃さない。アヤは吹き飛んだユノには目もくれず、その場で体を回転させ、巨大な剣を横薙ぎに振るった。


「ちぃっ!」


リサが咄嗟に弓で防御するが、金属同士がぶつかるけたたましい音と共に、リサの装備が火花を散らし、彼女も吹き飛ばされた。


アヤの動きは、レイジの「一点突破の効率」とは異なり、「全体制圧の効率」を追求していた。一撃一撃が重く、隙がなく、彼女たちの防御も回復も成立させない。


三秒と経たず、ユノたち『きらきら☆乙女連盟』の五人は、全員が地面に倒れ伏していた。戦闘不能を示すエフェクトが彼らの体から立ち上り、彼女たちのHPバーは全てゼロになっていた。


3. 孤高の問いかけ

アヤは、倒れ伏した少女たちを一瞥し、レイジへと向き直った。彼女の装備には、かすり傷一つない。


「これが、馴れ合いで強さを求めようとする者の末路だ」


彼女は巨大な剣を肩に担ぎ、レイジの冷たい瞳を見つめた。


「どうだ、レイジ。君が避けているノイズの処理は完了したぞ」


アヤは、レイジが彼女たちを「ノイズ」と認識していることを知っていて、あえて彼のためにそのノイズを排除したかのように振る舞った。


「君は、孤独を選んだ者だ。私は、君のその選択を評価する。だが、弱い者を放置すれば、それはまた君の邪魔になる」


アヤは、倒れた少女たちを指差した。彼女たちは、リスポーン地点へ戻されるまでのカウントダウンが表示されている。


「君は、私とどちらが上か、確認するつもりはないのか?」


レイジは、アヤの強さ、そして彼女の行動の意図を分析した。彼女は単に強いだけでなく、レイジの行動原則に干渉しようとしている。


「無意味だ。無駄な戦闘は行わない」


「無駄ではない。君がこのVRMMOの最強のソロプレイヤーであるかどうかを決める戦いだ。それとも、君は、弱い者を頼りに金策をするような、半端なソロプレイヤーなのか?」


アヤの問いかけは、レイジの最も重視する「効率」と「強さ」の根幹を揺さぶるものだった。


レイジは、目の前で蹂躙された少女たち、そして彼の前に立つ最強のアバター、アヤという新たな試練に直面していた。彼の静かなゲーム生活は、最強のソロプレイヤー同士の対立という、最も激しいノイズに包まれようとしていた。

ユノ(ピンク髪の少女、タンク)の視点

痛い……。ものすごく痛いし、屈辱だ。身体中に、アヤさんの剣の衝撃がまだ残っているみたい。


私たち『きらきら☆乙女連盟』は、アヤさんというソロプレイヤーに、まるで初期の雑魚モンスターみたいに一瞬で倒されちゃった。私たちの努力も、装備も、全部無駄だったみたいに。


あの時、レイジさんは助けてくれなかった。冷たい背中を見せて、私たちから離れようとした。それが、レイジさんの「ソロ」なんだって、改めて分かった。私たちはレイジさんに頼ろうとして、結局、最強のソロプレイヤーの邪魔になっただけだったんだ。


でも、私たちは諦めない。レイジさんが正しいのかもしれないけど、私たちはみんなで一緒に遊びたい。だから、あんな強いソロプレイヤーに倒されたままじゃ終われない。


リスポーン地点に戻ったら、またみんなで話し合う。レイジさんに頼るだけじゃダメだ。アヤさんに見せつけられた「現実」をバネにして、私たち『きらきら☆乙女連盟』は、もっともっと強くなる。そして、いつかレイジさんにも、私たちの楽しさを分かってもらうんだ。

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