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エターナル・アース  作者: 沼口ちるの


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第二十四話:復讐鬼への懸賞金、狂気のデータ価値

1. システムの裁きと指名手配

アヤの無差別なプレイヤーキル(PK)活動は、都市ステラリスとその周辺地域の秩序を完全に破壊した。初期装備のまま、ペナルティを恐れず技術だけで強者を打ちのめすその狂気は、「復讐鬼リベンジ・デーモン」として瞬く間に悪名を轟かせた。


ゲームシステムは、この異常事態に対応せざるを得なかった。アヤが受けた従来のPKペナルティ(経験値剥奪やデバフ)は、全てを失った彼女にとって何の抑止力にもならなかったからだ。


ある日、全プレイヤーのアカウントにシステム通知が届いた。


緊急システム通知:アバター『アヤ』を『特級指名手配犯』に指定します。

討伐賞金:500万ゴールド(初期都市ステラリス史上最高額)。討伐成功者は、アヤの全装備(初期装備含む)と、失われた経験値の一部を報酬として得ます。

500万ゴールドという賞金は、トップギルドでさえ喉から手が出るほどの莫大な額だった。アヤは、もはや恐怖の対象であるだけでなく、莫大な富の象徴となった。


アヤは、この指名手配の通知を、PK活動中のフィールドで受け取った。彼女は、自らの頭上に表示された「WANTED」の赤いアイコンを見て、静かに微笑んだ。


「賞金…か。私の憎悪の価値が、500万ゴールドというわけだ。よかろう。私を金儲けの道具として見なす者たち、全てを破壊してやる」


アヤにとって、賞金は新たな屈辱であると同時に、彼女の破壊活動を正当化する最高に効率的なターゲットの出現を意味した。


2. レイジ、狂気のデータに魅入られる

レイジ(金髪のナンパ師)は、アヤの指名手配の通知を受け取り、すぐに彼女の行動ログを解析した。


「最高だ、アヤちゃん!」レイジは軽薄に笑った。「君の『憎悪の感情出力』は、私がこれまでに収集した全てのデータの中で、最も純粋で強力だ。まるで、感情の絶対零度が生み出した、究極のエネルギーだよ」


レイジにとって、アヤのPK活動は非効率な行動ではない。それは、システム上の抑止力さえ超えた感情のエネルギーを証明する、最も価値のあるデータだった。賞金がかけられたことで、アヤは全プレイヤーから狙われるようになり、その過程でさらに極限の感情反応を引き起こすことになる。


「500万ゴールド? 安いものだ。私にとって、君の狂気こそが、この世界で最も高価なデータだよ」


レイジは、ナンパ活動を一時停止し、新たな「感情収集ルート」を決定した。彼の目標は、アヤを討伐して賞金を得ることではない。アヤの極限の憎悪をそのまま維持した状態で、「生きたまま捕獲」し、その感情を解析し尽くすことだった。


3. きらきら乙女連盟の新たな試練

『きらきら☆乙女連盟』のユノ、アリス、リサの三人も、アヤが指名手配犯になったことを知った。


「アヤ先生……私たちのせいで、あんなことに……」ユノは絶望に顔を歪めた。


アリスが、現実的な提案をした。「ユノ、リサ。賞金は500万ゴールドよ。私たちがアヤを討伐すれば、そのお金で強力な装備を揃え、レイジを倒す最短ルートが開けるかもしれないわ」


ユノは、アリスの冷徹な提案に戦慄した。「アリス! またアヤ先生を道具として利用するつもりなの!?」


「これは、戦略よ、ユノ!」アリスは言い返した。「レイジを倒すことが、アヤ先生への最大の復讐。そのためには、彼女が自ら生み出した賞金という非情な効率を利用するしかない! 私たちが討伐しなければ、他の誰かがアヤ先生を金儲けのために殺すわ!」


リサは、冷静に状況を分析した。「賞金がかけられたことで、アヤ先生は全プレイヤーのターゲットになった。私たちは、アヤ先生を討伐するか、それとも他のプレイヤーから守るか、決めなければならない」


三人の間に、再び深い亀裂が走った。アヤの憎悪は、彼女たち自身の絆と倫理を、究極の試練に晒していた。


アヤは、今やシステムとレイジ、そしてかつての教え子たち、全てから狙われる、孤独な復讐鬼として、広大な『エターナル・アース』の荒野へと飛び出した。彼女の戦いは、全てを失った者による、世界全体への破壊行為へとエスカレートしていた。


アリス(きらきら☆乙女連盟、魔法使い)の視点

アヤ先生は、私たちにとって、最高の指導者であり、最高の復讐の道具でした。そして今、彼女は私たちへの究極の試練になりました。


賞金500万ゴールド。レイジを倒すための力が、目の前にぶら下がっています。


アヤ先生は、もう私たちを憎んでいるでしょう。私たちが彼女を裏切り、見捨てた。だからこそ、彼女の憎悪は純粋で強力です。


ユノは、感情的にアヤ先生を助けようとする。でも、それではレイジを倒せない。私たちは、アヤ先生の憎悪のエネルギーを、レイジ打倒という最終目的に向けて、最も効率的な形で利用しなければならない。


私たちにとって、アヤ先生を討伐して賞金を得ることは、非情な選択ですが、レイジの効率を破るための最短ルートかもしれません。


ユノ、リサ。私は、もう間違った選択はしない。私たちの絆と、アヤ先生の教えを信じるなら、この500万ゴールドの賞金とどう向き合うかが、私たちの真の試練よ。


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