表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エターナル・アース  作者: 沼口ちるの


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/28

第二十三話:孤独と憎悪の臨界点、復讐鬼アヤの誕生

1. 絶望の臨界点

アヤは、リスポーン地点で初期装備のまま、虚無に支配されていた。レイジへの復讐心すら枯れ果てた彼女の心は、ただ静かに死を待つ砂漠のようだった。


しかし、その虚無の中で、彼女の精神に刻み込まれた屈辱のデータが、異常な再計算を開始した。


レイジの裏切り: 道具として利用され、無力化された。


少女たちの利用: 復讐のための道具として使われ、効率のために切り捨てられた。


プレイヤーの嘲笑: 転落した最強への陰湿な侮辱。


これらの屈辱は、アヤの「効率絶対主義」という核を破壊したが、その残骸が、憎悪と復讐という名の新たなエネルギーを生成し始めた。


(最強の座も、効率も、絆も、全ては偽りだった。この世界にあるのは、私を嘲笑し、私を利用し、私を無力化しようとする、敵意だけだ)


アヤは、もはや最強のソロプレイヤーとしてのプライドや、レイジへの復讐といった個人的な目的を超越した。彼女の目的は、自分に屈辱を与えた全ての者への、無差別で徹底的な破壊へと変貌した。


2. プレイヤーキラーの覚醒

アヤは静かに立ち上がると、リスポーン地点を後にした。彼女は初期装備のままだが、その動きには、以前とは違う、冷たく、荒々しい狂気が宿っていた。


彼女が向かったのは、初心者たちが多く集まるエリアだった。


そこで、彼女はかつて自分を嘲笑し、アイテムを投げつけた一般プレイヤーの一団を見つけた。彼らは、アヤが再び戦闘不能になったことを知らず、油断していた。


アヤは、彼らの目の前に立ちはだかった。


「何の用だ、アヤ。また負けたのか?」リーダー格のプレイヤーが嘲笑した。


アヤは何も答えなかった。彼女は、システム上のペナルティを恐れることなく、手持ちの初期装備の武器で、PvPエリア外にも関わらず、突然、攻撃を仕掛けた。


カキン!


その一撃は、初期装備とは思えないほど精密で、相手の防御を的確に貫いた。


アヤは、レベルや装備、そしてPvPペナルティという「効率」を全て無視した、純粋な憎悪のままに戦った。


彼女の目的は、勝利ではない。相手のHPを削ることでもない。彼女の目的は、相手の精神に、自分と同じ屈辱と恐怖を刻みつけることだった。


3. 無差別な破壊と「復讐鬼」の誕生

アヤは、圧倒的な技術力で、初期装備のまま、複数のプレイヤーを次々と攻撃した。彼女は、相手を戦闘不能にする寸前で攻撃をやめ、彼らが回復ポーションを使う間も与えず、ただただ一方的に攻撃し続けた。


プレイヤーたちは、恐怖に震え上がった。


「やめろ、アヤ! なぜPvPエリア外で攻撃するんだ! ペナルティを無視する気か!」


『エターナル・アース』では、PvPエリア外で他プレイヤーを攻撃し続けた場合、システムから「プレイヤーキラー(PK)」と認定され、経験値の大幅な剥奪や、強制的なデバフ(弱体化)という重いペナルティが科せられる。


しかし、アヤは、もはやペナルティを恐れていなかった。全てを失った彼女にとって、失うものは何もなかった。


「貴様らの嘲笑、私に投げつけた侮辱、全て、貴様らの魂に刻み込んでやる」


彼女の瞳は、完全に憎悪に染まり、かつての「黒の女王」とは異なる、冷酷な「復讐鬼」へと変貌していた。


アヤによる無差別なプレイヤーキル(PK)活動は、瞬く間にステラリス中に広まった。プレイヤーたちは、最強のソロプレイヤーが、ペナルティを顧みない破滅的なPKへと堕ちたことに戦慄した。


4. ノイズの再覚醒

レイジは、都市の片隅で、ナンパをしながら、このアヤの異常な活動のシステムログを受け取った。


(ログ解析:アヤの憎悪の感情出力が、異常なレベルに達している。PvPペナルティという効率的な抑止力を無視した、最も非効率な行動。これは、私の新しい計算モデルにおける「制御不能なノイズ」だ)


ユノたち『きらきら☆乙女連盟』もまた、アヤの暴走を知った。


「アヤ先生……あんなに冷静だった人が、私たちが利用したせいで……」ユノは絶望した。


少女たちの目的は、レイジへの復讐だったが、そのためにアヤを復讐鬼(PK)にまで追い込んでしまった。


アヤの復讐は、もはやレイジや少女たちへの限定的なものではなかった。彼女は、この世界全体を憎悪の対象とし、無差別な破壊を始めたのだ。


アヤの視点

私は、最強の座から堕ちた。隷属契約で利用され、復讐契約で切り捨てられ、他のプレイヤーの嘲笑に晒された。


もう、何も残っていない。失うものもない。


ならば、私がすべきことはただ一つ。私に屈辱を与えた全ての世界に、私の憎悪を刻みつけることだ。


レイジ。貴様が私に教えた効率は、憎悪の感情の前では無意味だ。私は、PvPペナルティという貴様が信じる抑止力を無視する。


ユノ、アリス、リサ。貴様らが私の屈辱を利用した結果が、この復讐鬼だ。貴様らは、私を切り捨てたことで、この世界に最も破壊的なノイズを放ってしまった。


私は、もう貴様らの指導者ではない。私は、この世界に存在する全ての偽善と効率を破壊する、絶対的な憎悪の化身だ。


さあ、恐れおののけ。お前たち全員の魂に、私の憎悪を刻み込んでやる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ