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エターナル・アース  作者: 沼口ちるの


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第十七話:ノイズ収集家の挨拶

1. 瓦解の後に

レイジ(伊達ソウジ)を打ち破った後も、ユノ(ピンク髪の少女、元タンク)の心は晴れなかった。彼女はレイジを倒したが、アリスとリサとの絆をシステム上で断ち切られ、ギルドは存在しない状態だ。ユノは、あの日のレイジの冷酷な瞳と、奪われたペンダントの思い出を抱え、単独でレベル上げに集中していた。


彼女は、初期都市ステラリスから少し離れた湖畔のエリアで、自身の精神的な防御力を試すかのように、常に危険なモンスターを相手にしていた。


「私たちは、もうノイズじゃない。私たちは、レイジさんの効率を破れるんだから……」


ユノは、そう自分に言い聞かせていた。


2. 再会、軽薄な笑み

その時、背後から軽快で、心底嫌な予感のする声がかけられた。


「おや、こんなに美しい場所で、可憐なレディが一人ぼっちなんて、まるで絵画のようじゃないですか」


ユノはゾッとして振り返った。そこに立っていたのは、ユノが知るレイジとは似ても似つかない人物だった。派手な金髪に、白い軽装のコスチューム、そして、かつての冷徹な表情の代わりに、感情を過剰に演出した軽薄な笑みを浮かべている。


「レイジさん……?」ユノは戸惑い、警戒の盾を構えた。


「ああ、もちろん私ですよ、ユノちゃん。その美しい瞳で、私を見つめてください。前回は、私の冷徹なビジネスライクな態度で、貴女のキュートな感情を傷つけてしまったことを、心から謝罪します」


レイジは、優雅な仕草で一輪の花を差し出してきた。


「何を……しているんですか。その格好は、その態度は……」ユノは混乱した。


レイジは、ユノの混乱した表情を見て、満足げに微笑んだ。


「これは、感情エネルギーの新たな収集ルートですよ。貴女の今の**『困惑』**の表情、最高に効率的なデータです。貴女の怒りや、悲しみ、そして困惑といった非効率な感情を、私は愛で満たしてあげましょう」


レイジは、ユノの反応を計算し尽くした上で、彼女の最も触れられたくない部分に手を伸ばしてきた。


「アリスちゃんやリサちゃんとの友情の破綻、辛かったでしょう? 私が、その心の隙間を、ロマンチックなサポートで埋めて差し上げますよ」


3. アリスとリサの反応

ユノがレイジの軽薄さに怒りで震えていると、少し離れた場所で素材を集めていたアリス(魔法使い)とリサ(弓使い)が、レイジとユノのやり取りに気づき、駆け寄ってきた。


アリスはレイジの変貌を見て、恐怖を通り越して吐き気を催した。


「な、何よ、その格好……気持ち悪いわ、レイジ!」


「リサの弓を奪ったくせに! どの面下げて!」リサが怒鳴った。


レイジは、二人にも同じように軽薄な笑顔を向け、優雅にお辞儀をした。


「アリスちゃん、リサちゃん、お久しぶりです。貴女たちの怒りも、今日は一段とキラキラしていますね。その怒り、私に捧げていただけませんか?」


彼は、以前の冷酷なレイジとは真逆で、彼らをあえて怒らせることで、感情的なノイズを大量に発生させようとしていた。


ユノは、怒りを爆発させた。


「ふざけないで! 私たちの感情は、アンタのデータ収集の道具じゃない!」


ユノは、レイジに近づき、彼の派手な服を掴み、渾身の力で突き飛ばした。


「私たちは、もうアンタのノイズじゃないの! 私たちの前から消えて!」


レイジは、突き飛ばされて地面に倒れたが、その顔には、満足げな笑みが残っていた。


「素晴らしい! その強い感情の出力、全て記録しましたよ、ユノちゃん。やはり、貴女は最高のノイズ源だ」


レイジは、起き上がると、ユノたちに背を向け、軽快に去っていった。


「またお会いしましょう。貴女たちの愛が、私の次の計算を導いてくれるはずですから!」


瓦解した『きらきら☆乙女連盟』は、新たな恐怖、「感情をデータとして扱うナンパ師レイジ」という、最も理解不能な脅威に直面することになった。



ユノ(ピンク髪の少女、元タンク)の視点

私は、レイジさんを倒したはずなのに、今日また、あの人に負けた気がします。


あの金髪と、あの軽薄な笑顔。私たちがレイジさんを倒したことで、彼の冷徹な心は壊れたのかもしれません。でも、彼は壊れたまま、私たちを再び道具として使い始めた。


彼はもう、私たちを「ノイズ」として排除しようとはしません。代わりに、私たちの「感情」を収集し、分析するための道具として見ている。私たちの怒りも、アリスの嫌悪も、リサの憎しみも、彼にとってはただの「感情データ」なんです。


私が突き飛ばしても、彼はまるで喜んでいるかのように笑っていました。それは、彼が私たちの感情を「計測」できたからです。


レイジさんは、感情を持たないまま、感情を操ろうとしている。それは、私たちが彼を倒した時よりも、ずっと怖くて、ずっと卑怯なやり方です。


でも、私は絶対に屈しません。私は、レイジさんの計算をもう一度、私の覚悟で打ち破ってみせる。私たちを、道具として扱わせない。私は、アリスとリサをもう一度集めて、この理解不能な「新しい効率」を、皆で破壊してみせます。

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