第十五話:ノイズの排除と新たな効率計算
1. ノイズ源の特定と排除
アヤという最強の脅威を排除したレイジ(伊達ソウジ)のシステムログは、次の最優先排除対象として『きらきら☆乙女連盟』を挙げた。彼女たちは、アヤの指導効率を下げた原因であり、今後もレイジの計画に感情的なノイズをもたらす可能性が極めて高かった。
(脅威は排除した。次に必要なのは、残存する非効率な感情の制御だ。個々に処理するのが、最も効率的である)
レイジは、アヤへの尋問で得た情報に基づき、少女たち一人ひとりの精神的な脆弱性を突き、ギルドの崩壊を図る計画を実行した。
2. 個別への冷酷な制裁
ターゲット1:ユノ(タンク)
レイジは、ユノが初期都市ステラリスから離れた森で、単独でレベル上げに励んでいるのを発見した。ユノは、アヤの敗北を見て、誰にも頼らず強くなろうと決意していた。
レイジは、PvPエリア外で、ユノに奇襲を仕掛けた。しかし、今回はゾルグたちの集団リンチとは違う。レイジは、ユノを倒すのではなく、ユノの最も貴重なアイテムを奪うことに特化した。
「何をするんですか、レイジさん!」ユノが叫ぶ。
レイジは、ユノの防御を崩すと、彼女が装備していた『思い出のペンダント』(ユノたちが初めて協力して手に入れた、性能は低いが精神的な価値が高いアイテム)を奪い取った。
「貴様の持つ非効率な思い出は、私の計画のノイズだ。今すぐ、このアイテムをシステム上で分解しろ」
レイジは、ユノが拒否した場合、彼女の目の前でアイテムを破壊すると脅した。ユノは、レイジの冷酷な目を見て、抵抗すればより多くのものを失うことを悟った。
ユノは泣きながら、レイジの命令に従い、思い出のペンダントを分解した。
「これで、貴様の精神的ノイズは、効率的なデータに変換された」レイジはそう言い残し、立ち去った。
ターゲット2:アリス(魔法使い)
次にレイジは、アリスにギルド専用のメッセージで、「今すぐユノとリサのギルドメンバーとしての存在をシステムから削除しろ」と命令した。
「どういうことですか!?」アリスが驚愕する。
「貴様は、私との過去の会話で、『ギルドメンバーの効率の低さ』に不満を漏らしていた。貴様一人がソロになれば、効率は上がる。私は貴様のために、最短ルートを提供している」
アリスは、レイジが過去の何気ない会話を記憶し、それを自分を孤立させるために利用したことに戦慄した。彼女は拒否したが、レイジは返答した。
「拒否すれば、貴様が持つレアアイテムのシステム上の所有権を、私の名義に変更する。契約は存在しないが、貴様の脆弱なアカウント情報は、すでに私のログに記録されている」
レイジは、システム上の脆弱性を突くことで脅迫した。アリスは、恐怖と混乱に支配され、結局、ユノとリサのシステム上のギルドメンバー権限を、涙ながらに削除した。
ターゲット3:リサ(弓使い)
レイジは、リサを闘技場に呼び出し、強制PvPを仕掛けた。リサは弓使いであり、正面からの近接戦闘ではレイジに勝てるはずがない。
結果は一瞬で、リサの戦闘不能(敗北)。
しかし、レイジはここで、リサに最も重いペナルティを与えた。PvP敗北により失われたリサのレアな弓は、システム上ランダムでドロップするはずだったが、レイジはシステムログの隙間を突き、ドロップした弓を拾い上げた。
「この弓は、貴様が二度と私に刃向かえないように、私が回収する」
リサは、自分の唯一の武器を奪われ、文字通り「再起不能」にされた。
3. ノイズの制御と瓦解
レイジは、三人を個別に攻撃し、精神的なつながり、集団としての存在、そして戦闘力そのものを奪った。
彼は再び、孤独な最強への最短ルートを確保した。
ユノたちは、物理的に再起不能ではないが、精神的に、そしてギルドとして完全に瓦解した。レイジが残したものは、恐怖、裏切り、そして、誰も信じられなくなるという、非効率な「感情」の残骸だけだった。
アリス(金髪の少女、魔法使い)の視点
レイジさんは、アヤ先生を壊した後、今度は私たちをバラバラにした。私たち三人を、一人ひとり、一番つらい方法で痛めつけた。
ユノの思い出を分解させ、私の手でギルドを解散させ、リサの武器を奪った。
レイジさんが恐ろしいのは、彼が私たちに肉体的な暴力を加えたのではないことです。彼は、私たちの一番大切にしていたものを、システムの裏側から、最も効率的な方法で奪った。
私が、ユノやリサをシステムから削除した時、私はレイジさんの冷酷な計算が、私自身の心の中にもあることを知って、ゾッとしました。「これで、ソロとして効率が上がる」と一瞬でも考えてしまったんです。
私たちは、レイジさんの「ノイズ」だと言われました。でも、レイジさんにとって、私たちを排除するのに使った恐怖や裏切りといった感情も、全て効率的な道具だったんです。
ユノはペンダントを失い、リサは弓を失い、私はギルドを失った。私たちはもう、集団として存在しません。
私は、レイジさんの道具になんてなりたくない。でも、この恐怖を乗り越えて、どうやってレイジさんを止めればいいのか、もう何もわかりません。




