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エターナル・アース  作者: 沼口ちるの


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第十四話:絶対零度の終焉と契約の破棄

1. 絶望の闘技場

レイジ(伊達ソウジ)がアヤに強要したPvPは、初期都市ステラリスの闘技場で開催された。相手は、この世界で最も統率の取れた最強ギルド『絶対王政アブソリュート・レジーム』の精鋭五人。


観客席は満員だった。誰もが、最強のソロプレイヤーが、最強の集団に挑むこの非公式戦の結果を見届けようとしていた。ユノたち『きらきら☆乙女連盟』も、観客席の隅で、祈るような気持ちで見つめていた。


アヤは、闘技場の中央に、一人、黒い装甲のまま立っていた。彼女の目には、憎悪や恐怖ではなく、全てを諦めたような虚無が宿っていた。


「勝敗は決している。レイジは、私を『道具』として利用した後、最も効率的な方法で排除しようとしている」


レイジは、アヤを最強の集団との戦いで敗北させ、契約破棄のペナルティ(装備とレベルの低下)を受けさせることで、彼女を脅威ではないただのノイズに格下げしようとしていた。


試合開始の合図と共に、『絶対王政』の五人が一斉に連携を開始した。彼らはゾルグたちとは違い、一糸乱れぬ統率で、アヤの逃げ場を全て封じる。


2. 最後の抵抗と崩壊

アヤは、絶望の中でも、最強のソロプレイヤーとしての意地を見せた。彼女は、持ちうる全ての戦闘技術と、レイジの強制的な指導で得た僅かな成長を振り絞った。


ガキン!


彼女は、リーダーの強力な一撃を受け止め、同時に詠唱中の魔法使いに突進した。彼女の狙いは、相手の連携を一時的に崩すこと。彼女の動きは精密だったが、五人の連携は、彼女の動きを上回った。


「ソロの限界だ、アヤ!」


『絶対王政』のリーダーが叫んだ。彼らは、アヤの移動ルートを完璧に予測し、回避不可能な地点へと追い込んだ。


彼女は、五人からの集中攻撃を受けた。次々とスキルが発動し、アヤの黒い装甲に衝撃が走る。HPは急速に減少し、その防御力は、集団の猛攻の前では無力だった。


レイジは観客席で、冷徹にその戦闘データを分析していた。


(予想通りだ。彼女のスキルと判断力は優れているが、五対一の集中砲火に耐える防御係数は存在しない。これで、脅威は排除される)


アヤは、意識が朦朧とする中で、最後にレイジの姿を視界に捉えた。彼女は、心の底からの憎悪を込めて、叫ぶように呟いた。


「レイジ……! 貴様は……真のソロの孤独を知らぬ!」


その叫びが響いた瞬間、五人の最後の一撃がアヤの胸に叩き込まれた。


DEFEATED:アヤ

アヤは、その場で膝をつき、倒れ込んだ。システムは、彼女の敗北を告げた。彼女の身体は、リスポーン地点へと転送されていった。


3. 契約の破棄と静寂

アヤの戦闘不能が確定した直後、彼女とレイジの間に張られていた隷属契約のシステム通知が、闘技場に響き渡った。


システム通知:対象アバター『アヤ』の戦闘不能により、隷属契約の条件が満たされました。契約を破棄します。

レイジは、契約の破棄を確認した。これで、アヤは彼の脅威ではなくなった。同時に、アヤは敗北のペナルティにより、装備とレベルを失い、最強のソロプレイヤーの地位から転落した。


レイジは静かに立ち上がり、闘技場を後にした。彼の目的は、最も効率的な方法で脅威を排除することであり、それは達成された。


しかし、観客席にいたユノたち『きらきら☆乙女連盟』の少女たちは、レイジの去り際に、ある光景を目撃した。


アヤが倒れた場所から、彼女のドロップアイテムとは別に、小さなペンダントが落ちていた。それは、彼女の屈辱的な奴隷生活の証、『絶対拘束の枷』の解除用ペンダントだった。レイジは、それを回収することなく、踏みつけるようにして通り過ぎたのだ。


少女たちの目には、アヤの敗北と、レイジの冷酷な行動が、深く刻み込まれた。



アリス(金髪の少女、魔法使い)の視点

アヤ先生が倒れた瞬間、私たちは何も言えませんでした。最強のソロプレイヤーが、あんなにも無残に敗北するなんて。


レイジさんは、アヤ先生を壊すために、わざと勝てない相手を選んだ。そして、アヤ先生が倒れた後、私たちにはっきりと見せつけました。感情的なノイズは、最も効率的な方法で排除されるという現実を。


でも、本当にこれでアヤ先生はただのノイズになったのでしょうか?


リスポーン地点に戻ったアヤ先生は、もう私たちの「先生」ではありません。彼女は自由になりましたが、すべてを失いました。


そして、レイジさんが、アヤ先生が倒れた場所にあった『絶対拘束の枷』の解除用ペンダントを、拾わずに踏みつけていったのを見ました。


レイジさんは、アヤ先生の道具としての価値が終わったことを、あんな冷たい態度で証明したんです。


私は、レイジさんが恐ろしい。彼は、効率のためなら、人の命(アバターの命)も、尊厳も、何もかもを踏みにじる。


でも、同時に、アヤ先生が最後にレイジさんに言った「真のソロの孤独を知らぬ」という言葉が、私の頭から離れない。アヤ先生は、すべてを失っても、最後まで自分の信念を守った。


私たち『きらきら☆乙女連盟』は、この絶望的な結末から、何を学ぶべきなのでしょうか。レイジさんの冷酷な効率を学ぶのか、それとも、アヤ先生の最後まで貫き通した孤独の意志を学ぶのか。

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