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エターナル・アース  作者: 沼口ちるの


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第十一話:エスカレートする精神的屈辱と効率の破綻

1. 破壊される効率

アヤが『きらきら☆乙女連盟』の指導を始めて数日が経過した。アヤは、レイジの命令通りに少女たちの戦闘力向上に全力を注いでいたが、彼女たちの指導は、アヤの精神を蝕む作業となっていた。


少女たちの「いじめ」は、指導という名の裏で巧妙にエスカレートしていた。


まず、装備の軽視。


「アヤ先生、今日の訓練では、遠距離攻撃の回避を徹底したいんです!」ユノが申し出た。「でも、先生の黒い重装甲って、私たちよりレベルが上なのに、なんだか地味ですよね? 私たち、レイジ先生が採ってくれたレア素材で防具を飾り付けたんですけど、先生のは初心者みたい」


この発言は、アヤが誰よりも装備と強さに誇りを持っていることを知っての、最大の侮辱だった。アヤは怒りを押し殺し、「外見は効率と無関係だ」と返したが、その表情は険しかった。


次に、過剰な要求。


アリスは、アヤに指示された訓練内容を終えると、さらに要求を突きつけた。


「先生! もっと負荷をかけないと強くなれません! 次は、先生と私たち五人で、あの高レベルダンジョン『嘆きの森・深部』を先生がノーダメージで攻略しながら、私たちは素材を集める訓練をしてください!」


アヤは目を見開いた。『嘆きの森・深部』は、前話でレイジが一人で攻略した危険地帯だ。彼女一人でノーダメージ攻略は可能だが、同時に五人の少女たちの採集を護衛することは、尋常ではない集中力と効率を要求される。


「それは、貴様らのレベルで可能な訓練ではない。非効率だ」アヤは拒否しようとした。


だが、アリスは屈辱的な言葉で突き刺した。


「えー、先生。レイジ先生は、私たちを邪魔者として排除するために、一人でノーダメージでやっていたんですよね? 隷属契約までして私たちに指導している先生は、レイジ先生よりも劣るんですか?」


アヤは、隷属契約によって、レイジの「指導」という目的を妨げることを禁じられている。彼女の効率至上主義は、この屈辱的な比較によって、無理な要求を受け入れざるを得なかった。


2. レイジへの報告

無理な訓練を強行した結果、アヤの指導効率は低下した。彼女は常に精神的な疲労と、隷属契約による枷を感じていた。


その日の夜、レイジがアヤを呼び出した。


「アヤ。なぜ、指導の進捗率が低下している。三日前のデータでは、貴様の能力値からして、少女たちの成長はもっと早いはずだ」


レイジは、アヤの指導を、すべてシステムログで監視していた。


アヤは、レイジに頭を下げることなく、真実を報告した。


「レイジ、貴様が私に命じた指導には、精神的なノイズが多すぎる。少女たちは、貴様の隷属契約を知り、私への屈辱を晴らすために、訓練の名を借りた妨害を行っている。指導目標を達成するためには、この非効率な状況を排除しなければならない」


レイジは、アヤの報告を冷静に分析した。少女たちがアヤをいじめていること、そしてそれがアヤの効率を下げていることは、レイジの最短ルートにとって新たな障害だ。


「……具体的に、いかなる妨害か」


アヤは、ユノたちの侮辱的な言動、そして過剰な要求による訓練の負荷を報告した。


レイジは、結論を出した。


「貴様は、私の道具だ。道具の効率が下がるならば、原因を取り除く必要がある」


レイジは、少女たちの集団に対する新たな「効率的な処理」の方法を、考え始めた。しかし、アヤは、彼に警告を与えた。


「レイジ。貴様は、私が指導することで、少女たちを『ノイズではない、利用可能な道具』に変えようとした。だが、彼女たちは、貴様の予想を超えて感情的に動く。この状況を放置すれば、貴様の計画全体が破綻するだろう」


アヤの目は、レイジの冷徹な分析を嘲笑うかのように光っていた。彼女は、レイジの絶対的な合理性が、最も非合理的な「人間の感情」によって乱されるのを待っていたのだ。


3. 最短ルートの再計算

アヤの警告を受け、レイジは再びシステムログを検索した。


(彼女たちを排除すれば、アヤという道具の効率は上がるが、新たな敵意を生む。この世界で、敵意は最も非効率なノイズだ)


レイジは、ユノたちを完全に排除することも、アヤを解放することもできない。


彼の最強への最短ルートは、少女たちの「感情」とアヤの「屈辱」という、彼が最も嫌う二重のノイズに囲まれてしまった。


「……私の計算に誤りがあった。非効率な感情は、利用ではなく、制御が必要だ」


レイジの冷徹な瞳が、新たな作戦を練り始めた。

アリス(金髪の少女、魔法使い)の視点

私たちは、アヤ先生への指導を通じて、先生に仕返しをしました。私たちの装備を馬鹿にされたこと、レイジ先生の犬だと決めつけられたことへの、ささやかな復讐です。


アヤ先生は、レイジ先生と同じように、効率と理屈だけで動こうとします。だから、私たちは先生のプライドを攻撃しました。「レイジ先生よりも劣るんですか?」と聞けば、先生は無理な訓練でも受け入れざるを得ない。


でも、私たちは知っています。アヤ先生が私たちを指導することで、どれほど屈辱を感じているか。私たちは、アヤ先生の強さと、レイジ先生の冷酷さ、その両方を知ってしまった。


アヤ先生の指導は本当に厳しい。だけど、こんな屈辱的な状況でも、先生は私たちを裏切らない。レイジ先生の命令があるから。私たちは、この状況を最大限に利用して、レイジ先生が「道具」として利用できないくらい強くなる。


レイジさんが次に何を仕掛けてくるか、怖いです。でも、もう逃げない。私たちは、レイジさんの道具でも、アヤ先生のいじめ相手でもなく、最強の集団になるんです。

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