十四話 芽凛衣の水着
芽凛衣と二人で海にやってきた。ラッシュガードを身につけた彼女だが、それでも美しさは相変わらずで、海という環境も相まってか周囲からの視線を集めている。
ちなみに、芽凛衣が乱れないようにお団子ヘアにしている。これがまた可愛いのだ。
そして、レンタルしたビーチパラソルの下で二人で向かい合って、芽凛衣は恥ずかしながらも俺に水着を見せようと、膝の上でラッシュガードのファスナーをゆっくりと下ろした。
そしてついに、ファスナーが開放され芽凛衣の身に付ける水着が姿を表した。白地に青い花柄の水着だ。
思わずゴクリと固唾を飲んでしまうほどに、その姿は美しかった。
「えへへ、どうかな?似合ってる?」
照れたように笑う芽凛衣が、俺の首に腕を回してそう尋ねてきた。当然、似合わないわけがない。
「似合ってる。可愛すぎるだろ、ずっと見てたいくらいだ」
「おぅふ……そこまでストレートに褒められると、すっごい恥ずかしいね……でも嬉しい、ありがと♪」
感情のままに出た言葉なので、語彙力なんぞあったものではないのだが、芽凛衣には充分すぎる答えだったようだ。
嬉しそうな笑みを目一杯に浮かべた芽凛衣が、思い切り身体を密着させて喜びを露にした。
芽凛衣の柔らかさが余すことなく伝わって、気持ち良さに加えて恥ずかしさを感じてしまう。なにせ周囲の視線のいくつかはこちらを向いたままであり、目立っていることは変わりないのだ。
なんなら芽凛衣がラッシュガードをはだけたことで、それを覗こうと数人の男たちが周りをちょこまかと動いているし、抱きついてきたことで見ていた連中がおおっと声を出した。
当然なにも知らない人たちは、そのリアクションになにがあるのかとこちらに来るので入れ替わり立ち替わり人が表れる。
落ち着くにはしばらくかかるだろう。
「喜んでくれたのなら良かったよ。取り敢えず、一旦離れてくれないか?このままじゃ目立つから……」
「ん?あー……はぁ、出歯亀みたいなのばかりだね。そういうの気持ち悪いって分かんないのかな?」
ジロジロと不躾に見つめてくる連中を見た芽凛衣が、すごく嫌そうな表情をしながら、俺で上手に目隠しをしながらラッシュガードのファスナーを上げる。
彼女の水着姿が見えなくなったことで、覗きにきていた男たちは落胆して別の場所に向かっていった。諦めて泳いでこいっての。
「もう少しだけゆっくりしてから泳ぎに行くか。芽凛衣の水着、もっと見たいし」
「そだね♪私も更斗くんと水浴びしたいもん♪」
俺の提案にニコニコと返す芽凛衣。のぞき魔たちの視線が落ち着くのは、それから十分後のことだった。
ようやく落ち着いたかと、芽凛衣がついにラッシュガードを脱いで立ち上がる。こう見てみると、なかなかにインパクトがあるな……芽凛衣の魅力があまりに刺激的すぎて、惚れてしまいそうである。
芽凛衣と手を繋ぎ、向かうは波打ち際だ。ぶっちゃけ水浴びができればそれで良いので、泳ぐつもりはない。
くるぶしあたりまでが水に浸かり、ひんやりと足を冷やす。太陽に温められたからか、少しばかり温い気もするが、それでも水は水だ。気持ちいい。
「いやぁ、気持ちいいねぇ♪」
「だな」
嬉しそうな笑顔をこちらに向ける芽凛衣と見つめ合ってから、更に深い方へと足を進める。腰まで水に浸かったあたりで、水による抵抗が強くなった。
「おーひんやり♪んふふ、更斗くん……えい♪」
芽凛衣が俺を呼び止めたと思えば、手で水を掬ってこちらに掛けてくる。パシャっと音を立てて俺の胸を濡らし、気化熱で冷えたように感じる。
「ほらほらカモーン!私にも水を掛けたまえよ!」
「なんだこいつ」
海が楽しいのか、芽凛衣がはしゃいで手を広げた。俺も真似をしろということだろう。
手で器を作り、それを水に沈めて勢い良く振り上げた。
「ブッ!しょっばーい更斗くん容赦なさすぎ!」
「せっかくなら顔に、ってあぶな!」
「ンキー!よけるなー!」
二人で水を掛け合いながら、歳を忘れて遊ぶ。無邪気なことこの上ないだろうが、海なんだしこれくらいでちょうど良いだろう。
俺の顔に当てれないというノーコンな芽凛衣だが、その表情はとても楽しそうで、一緒に遊ぶ俺も心が躍る。
目一杯遊んだことで、昼頃にはちょうど良くお腹が減った。昼食は芽凛衣がお弁当を作ってくれたので、それをクーラーボックスに入れてある。
お昼を食べたらしっかり休んで、また遊ぶぞ!




