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【完結】立場を弁えぬモブ令嬢Aは、ヒロインをぶっ潰し、ついでに恋も叶えちゃいます!  作者: MEIKO
第10章・危険な香り

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73・疑惑の人物

 うん…それって、疑惑がある人を判断してくれってこと?それはちょっと荷が重いでしょう?一応それとなく注視してはみるけど…


 あんまり自信は無いけれど、こうなりゃ乗りかかった船だ!それなりに頑張ってみますという気持ちで頷いた。この皇族用馬車で一緒に行くわけにもいかず、三人はまた違う馬車で付いてきているらしい。それなら何故小声で?と思うけど、どうも身に染み付いているらしい…ようは御者を警戒しているよう。ルシードはこれまでずっと、こうやって気を張って来たのだろう。御者といっても帝国の人だし、その可能性は低いとは思うけど…


 これから贈り物を買う為に街の繁華街まで出向く。その真ん中に位置する噴水広場で、フィリップとルーシーとは待ち合わせをしているんだけど…何故私だけ迎えに来るわけ?私だっていくらでもハリスに頼んで来れますけど?

 そうは思うが、皇居の馬車に乗る機会も恐らく最初で最後だと思うので、堪能はさせて貰うわ!


 それにしてもこのシート、フカフカね?なんて思いながら触ったりキョロキョロしていると、ルシードからはフッと笑われる。


 「いいね~その緊張感のなさ!」


 褒められてるんだか貶されてるんだが分からないお言葉を掛けられる。そんなの目的は買い物なんですからね?早くから緊張してどうするのよ。


 そうブチブチ言っている間に街が見えて来て、どんどん商店が立ち並ぶ一画に入って行く。そして馬車は静かに止まると…明らかに騎士の動きをする二人がサッと近付いて来る。その後にはルシード付きの従者であるマーティンも。


 三人は目立たないように簡素な服装だけど、騎士の二人はマントに隠れてはいるが、剣を携えている。私とルシードもなるべく地味な服装をしてきたけど…護衛を連れている時点で、貴族だとはバレバレだろうけどね?それから私は、ふと思う…


 ──さっきのルシードの言い方、少しおかしくなかった?


 確か以前、護衛の騎士の二人の内の一人がエルバリンの王妃のスパイだと言っていたルシード。それが…さっきの言い方だと、疑っているのは三人共だと言っているようで。どういうことなんだろう?従者のマーティンも、怪しい行動をし始めたと?


 ルシードに続いて私も馬車を降りて、目の前の三人に目をやった。同じくらいの年齢に見えていた騎士達だが、一人は二十代くらいで、もう一人はもう少し上ね、三十代半ばくらい?そしてマーティンは、騎士の一人と同じくらいで三十代前半くらいに見える。だけど…結局はよく分からない。見た目だけで人を判断なんて出来ないし、したくもないと思っている。だから…疑惑の解明については、私には期待しないで欲しいんだよねぇ。


 「さあ、待ち合わせの所まで歩こうか?」


 ルシードがそう言って、私も頷きながら歩き出す。見たこともないくらいの美しい男性が歩いていることで物凄く注目を浴びているけど。アンドリューと歩いている時と同じでさ、なんか引き立て役な気がするんだよねぇ~こればっかりはどうにもならないけどね!


 「ところでルシード、どういった品物がいいと思います?結婚祝いに」


 ルシードの思惑は別にあると思っているが、一応そう聞いてみる。表立ってはこれが今回集まった理由で、お金も渡されているから買わない訳にはいかない。ご結婚のお二人はどちらも学園の教師だし、ということは予算も倍で!だからかなり良いものを買えると思うけど。


 「そうだなぁ…普通はペアの物を贈るんたろ?そういう時は」


 「うーん、そうですね。ペアのティーセットとか、飾る物なら写真立てとかですかね?お祝いの花束の分は残すとして、それでもかなりの金額を充てられますけど…」


 そう言って、うーん…と考えていると、後ろから私達を呼ぶ声が聞こえる。それに振り向くと…フィリップが手を振りながら、こちらへと駆けて来ている。それで立ち止まって待つと…


 「すみません!遅くなりました。ロード邸はかなり遠くにありまして…気兼ねなく訓練をする為にそうなるんです。従兄弟のロブの家も同じ理由で遠いですよね?アリシア」


 そうそう!従兄弟同士のフィリップとロブの家は、帝都にある屋敷といっても物凄く端っこの方にある。別にお金がないとかの理由ではなく、その方が他家に気兼ねなく剣の鍛錬が出来るから。土地の広さも重要だしね!


 「うん?フィリップの従兄弟のロブ?君と似ている赤毛の令息だよね。それが何故アリシアと関係が?」


 そう聞かれてドキッ!とする。ああ、知る筈もないから…


 「フィリップの従兄弟のロブとは、婚約していたんです。つい最近まで」


 特に隠すつもりもないので、そう正直に話した。ルシードがこの帝国にいる間にはロブとも行動を共にする時もあるだろうし、今話しておいた方がいいかな?という判断で…


 「な、何だって!?アリシアの…婚約者だと?」


 ──あれ?何故こんなに驚いているのかしら。私だって貴族の端くれなんだから、そういうことくらい…あるわよ?


 そう思って不思議に思ったけど、取り敢えずルーシーにも繋がることだからと簡単に事の経緯を話した。それに驚いたのはルシードだけでなくて…


 「なんだよ、ロブのやつ!アリシアに対してそんなことを?失礼過ぎる!」


 そう憤っているのは…フィリップで!従兄弟だしきっと聞いていると思っていたんだけど…詳しくは知らなかったみたい。婚約を解消したのは分かっていただろうけどね。そしてこの人も…


 「それは本当に酷いね?それなのにアリシアは、そのロブと今も普通に接してやってるんだろ?女神のようじゃないか!それと…ルーシーとはそういった関わりだったんだね。良く分かったよ」


 ──め、女神?そう言われると小っ恥ずかしいけどぉ~

 

 そう照れまくる私は、真っ赤になった顔を手でパタパタと顔を扇いだ。この人って、真顔でそんなことを言ってくるから罪深い~


 そういうことに全く免疫がない私は、ハハッ…と照れ隠しで笑う。そして何やらロブ談義している二人の後を付いて歩いた。そしてルーシーとの待ち合わせ場所の噴水広場に着くと…あれは!


 噴水広場の端の所に、それ程大きくない時計台がある。そこにもたれかかるように立っているルーシーが見える。それも何故か一人で立っていて…


 私はルシードに迎えに来てもらったので今日は誰も連れてはいないが、普通だったら子爵令嬢とはいえメイドの一人でも付いているのが普通だ。なのに…こんな街中で一人きりなの?


 そのことに驚いて見つめていると…そのルーシーに近付いて行く人物が。その人は明らかに貴族の紳士で…うん?あれがもしかして、バーモント子爵なの?


 

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