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【完結】立場を弁えぬモブ令嬢Aは、ヒロインをぶっ潰し、ついでに恋も叶えちゃいます!  作者: MEIKO
第10章・危険な香り

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69・予期せぬ告白

 ルシード殿下が命を狙われた?それもこの学園内…ってコト?そんな馬鹿な!


 そう唖然としてルシードを見つめると、周りをチラッと確認してから自分に付いてくるようにと合図をする。それは私だけでなく、アンドリューとクリスティーヌにも。それで三人は黙ってその後を付いて行くことにした。

 

 この生徒会室は三階の東の端にある。ルシードは直ぐ側の階段は降りずに、そのまま廊下を突っ切って反対側の端へと移動するようだ。この先には確か、スティーブ殿下が使っていた皇族専用サロンがあった筈。ということは今はルシードが使っているということだわね。

 こちらは当然というか、やはり生徒会室のような絨毯敷きの廊下に、壁紙も特注のものを使っているようで…だけどこちらの方がより高級感がある。皇族や王族が使うんだから当たり前だけどね?だけど知らなかったわぁ~一年も通っていたのに、学園内にまだまだ知らない場所があったなんて。

 それからルシードは扉の前に誰も居ないことを確認してから、サロンの中へと手招きしながら入る。そして私達もその中にと足を踏み入れると…何コレ、別世界?


 生徒会室は意外と落ち着いた内装だったのと比べて、こちらはまさしく皇居。窓には厚いカーテンが掛けられ、大きなソファが並ぶ応接セット、それにミニキッチンも完備されている。材料さえ持ち込めば、ここで料理して提供できるのだろう。思ったより部屋の大きさはないが、落ち着いて過ごせような空間で…


 アイツらいつも、こんないいところで過ごしてたわね?と、スティーブ殿下とルーシーを思い浮かべる。ブチブチ言いながら勧められるままソファに座ると、するといつの間にかルシードの侍従であるマーティンが近付いていて、我々にお茶を出してくれる。


 ──この人…足音が一切しないし、ちょっとだけ苦手かも?それだけでこんな感情を抱くのも、悪い気がするけど…


 「それで?先程おっしゃったことは、どういう意味なんでしょう?…ルシード」


 早く聞きたい気持ちを抑えながらここまでやって来た私は、即座にそう尋ねる。それにルシードは…


 「そうだなぁ…何から話そうか。まず始めに言っておくけど、これは絶対に他言無用だ。もちろん、ディランをはじめとするルーベルト侯爵家の方々はご存知だ…もちろんキャロラインも」


 そう言われて、あの疑問の答えを得たような気がする。頻繁にルーベルト邸へ訪れているルシード。その理由はこの件を相談したり、命の危険を感じた時に逃れる目的だったのだろう。その意味がやっと分かった…

 それに私は大きく頷き、そしてまだよく分かっていないアンドリューとクリスティーヌも、戸惑いながらも頷いてそれを約束している。


 「私はエルバリン国の第一王子だが、実は王妃の子ではない。もうとっくに亡くなっているが側妃の子なのだ。だがご存知のようにエルバリンでは第一子が王を継ぐのが慣例だ。だから幼い頃よりそう育てられてきている。だが…今から五年前、王妃が第二王子を生んだ。それがエルバリンの騒動の始まりで…」


 もうその後は聞く必要もないくらい…いつも御家騒動が起こるのは、間違いなくこういった状況に陥った時だから。そしてここにも一人、母を失った人が…。私とキャロライン、スティーブ殿下にルシード。四人共に母親が亡くなっている…だからだろうか?初めて会った時からこの人には、何か不思議な縁を感じていた。身分はもとより、その美しい外見は普通は人を寄せ付けないものの筈なのに。そういうことだったのかと、どこか納得してルシードを見つめた。


 「だからずっと命を狙われ続けてきたんだ…。それが王妃の手も者か、王妃の子が王になった方が都合が良い者の仕業なのかは分からない。それを周りの協力で事なきを得てきたけど、弟が大きくなってきたことで、それがより大胆になってきた。刺客を送りこんで来たり、毒を盛られたりと…。そんな時ディランから、帝国への留学の打診を受けた。最初はこんな状況で断ろうとしていたけど、何度もやり取りしている内に、ディランは相当な切れ者なんだと気付いた。それで相談して…」


 王族同士の(いさか)い…そういうことは聞いてはいたけど、こんなに身近にあるとは思ってもなかった…そしてこの人は、これまでどれだけの危険と隣り合わせだったのだろうかと心が痛む…。そしてそこに登場したのがお兄様という人で…その選択はルシード、大正解です!


 「まず一年だけだがその危険から逃れられること。それに帝国の皇帝陛下という最強の存在に大きな恩を売ることが出来るとディランは私に説いた。そして私が王になるその時には、この上ない後ろ盾になると…」


 これは間違いないことだ…今回の留学の件で皇帝陛下は自ら、ルシードには悪いことをしたとおっしゃっていた。だからお兄様の言う事は理にかなっている。だけどそれでは…


 「それは私もそう思います!ですが…この帝国にいる間だけでも危険から逃れられる筈が、どうして今回毒を?それに何度か、ルーベルト邸へ避難していたようにお見受けしますが…」


 私がそう尋ねると、ルシードは驚いた顔をして私を見つめる。そしてちょっと笑って…


 「敵わないな…アリシアはやっぱりディランの従兄妹だね?そっくりだよ。ルーベルト邸へ行く理由まで言い当てられるなんて…。そうだ!何度か避難する目的でルーベルト邸に訪れている。あそこにいれば、どうやっても狙いきれないだろうからね?一見開かれた邸宅のようで、要塞のような場所だから」


 ──よ、要塞ですか?私もそこまでは思ってなかったなぁ~どれだけ仕込んであるのよ?お兄様…それにきっと、お祖父様や叔父様も関わっているわね?知らないのは叔母様とキャロラインだけだわ、きっと。あの二人はそれでいい…何も知らないままで幸せでいて欲しいから…


 「実は、エルバリンから私に付いて来た騎士の二人…その中に王妃のスパイがいるんだ。それを見破る為にワザと連れて来たんだけどね?」


 こ、この人は…そんな恐ろしいことをアッサリと!そしてルーベルト邸にも来ていた二人の騎士を思い出す。あんまり見てなかったけど、背の高い筋肉隆々の二人だったような…ということは、あの時もワザと連れて来たんだろうな。居ない間に怪しい行動をさせない為に。そしてさっき、サロンに入ろうとした時前に誰も居ないのを確かめたのは、そういうことなのかと…


 だけどどうなるの?こんなのいち学生が背負っていくには重すぎる!ターゲットはルシードだけだけど、それが国家間を巻き込んで大きなことに発展するんじゃあと思わせる。そう嫌な予感がしている私に、更に驚愕させることをルシードは言ってくる。それには私だけでなく、ここにいる全員が言葉を失って…


 「私の暗殺…それにはこの帝国の貴族も関わっている。それは今日集まった生徒会メンバーの父親で、私が学園長に無理を言って入れてくれるように頼んだ。ルーシー・バーモントというんだが…君達知っているかな?」


 ──ル、ルーシー?知っているどころじゃないけど!

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