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【完結】立場を弁えぬモブ令嬢Aは、ヒロインをぶっ潰し、ついでに恋も叶えちゃいます!  作者: MEIKO
第9章・秘密の友達

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67・生徒会というところ

 お兄様がこの学園を去り、二週間ほどの短い休暇の後、新学期が始まった。早い…あっという間に一年経っちゃったじゃないの!?このままいったら、直ぐに卒業になっちゃうんじゃない?


 そしたら直ぐにデビュタントでしょ…その後はどうなるのかしら?私としては跡取り娘だし、領地経営を学んだりして、後はお婿さんを探す感じ?

 お婿さんか…私の元に来てくれる、そんな奇特な人なんているの?なんてね!


 「おい!アリシア行くぞ~今日は生徒会メンバーの初顔合わせの日だろ?遅れたら僕らを推薦してくれた、ディラン先輩に申し訳がたたねぇよ」


 「そうそう、早く行きましょう。それにしてもルーシー…あの子がいるのは不思議な気持ちだけどね」


 そう言うアンドリューとクリスティーヌに「ゴメン!今行くわ」と返事をする。ルーシー…あの子も今日来ているのかしら?諍いの元だったスティーブ殿下は居なくなり、これ以上キャロラインに対して嫌がらせをしないならば、特に何かをしようとは思わない。ただ、普通に接するだけ…それなのにこんなに難しく感じるのは、もう変えられないことなの?ベリー…


 「もう二人共、行っちゃったわよ?」


 そんなキャロラインの声に我に返る。そして「いけない!置いていかれた…じゃあ、行ってくるわね?キャロライン」

 

 そう言ってキャロラインに手を振りながら教室を飛び出し、廊下へと出た。するとずっと遠くに二人が見えて…慌てて駆け出す。ちょっとぼうっとしてただけなのに酷いわ…いじめっ子~

 

 それからやっと二人に追い付いた私は、高等部の校舎の三階の端にある生徒会室へと向かった。私達も二年生になり、教室が移動になるかと思えばそうならず、今までと同じ教室を使っている。なんでも私達の年の入学生が極端に多かったそう。それなら三年間同じじゃないの?と嫌な予感がする…

 

 それで三階など殆ど来たことがない私達は、キョロキョロと見回して景色も良いし静かでいいわね?と言いながら建物の端を目指した。すると…同じ三階の校舎の筈が、ふかふかの絨毯敷きの廊下に変わる。


 「なに…コレ!高級そうな絨毯が敷いてあるわね。ここって同じ校舎なわけ?」


 途中からまるでガラリと雰囲気が変わり、まるで行き慣れた皇居に来ているように感じてくる。床はもちろん壁紙まで繊細な地模様があるものになって、他の所より明らかに高級感がある。それに戸惑いながら奥まで進むと、大きな扉の前に辿り着く。そこを見上げれば『生徒会室』という金のプレートが掛けられていて…き、金?まさか本物の金じゃないわよね?


 ──トン、トン!


 時間通りに着いたが一応ノックをして「失礼します!」と声を揃えて三人で中へと入って行く。すると…


 「やあ、君達は二年生の役員達だね?緊張しなくても大丈夫だよ…中に!」


 そう言うその人の、人懐っこい笑顔が目に入る。その瞬間、うん…見たことあるかも?と思い、誰だったろうかと考える。


 「アハハ!忘れちゃった?三年のジョーイ・ロベルタだよ。卒業パーティーで会っただろ?おまけにクリスティーヌ…君も生徒会役員だなんて、運命だね!」


 「ぐっ…」いつもはクールな印象のクリスティーヌが、何故かそう密かに呟く。それに不思議に思って、思わず隣のクリスティーヌをチラッと見るけど、もう既にいつものクリスティーヌに戻っていて…


 「ジョーイ先輩が生徒会長なのですか?私だって驚きですわ」


 そう言って悠然と微笑むクリスティーヌ。それにそのジョーイは、うっ!と胸を押さえる。ど、どうした?と二人を交互に見ていると…


 「ごめん、ごめん!私は副会長だよ。クリスティーヌに会えて嬉しくてつい…」


 この人…よっぽどクリスティーヌが好きなのね?

 初めて会った時、公爵家の令息としてはざっくばらんな印象だったけど、やっぱりその通りのようね。だけどお兄様が副会長はシッカリした人だと言ってたけど、それほどとは思えない…まあ、悪い人でもなさそうだけどね。それともクリスティーヌがいるから挙動不審になっているのかしら?


 そう思っていると、続々新メンバーと思われる人達がこの部屋へと入ってくる。その中にはもちろんルーシーとニクソンも。ルーシーは私と一瞬目が合ったように感じたけど、サッと視線を外した。何よ?その反応は…と思うが、初っ端から揉めるのも嫌だし放っておこうと思う。

 これで全員?総勢20名ほどかな…と思っていると、その後に入って来た人に息を呑む。


 「フ、フィリップ?」


 思わずそう言ってしまうと、私に気付いたフィリップは笑顔を見せて…


 「アリシア!君も生徒会に?俺は先生から言われて来たんだけど…」


 何とフィリップは、先生の推薦枠で役員になったようだった。Aクラスになったようだし、頭もきっと良いのだろう。おまけに一年生で役員なんて、殆ど選ばれないと聞いていたけど…よっぽど優秀なのね!思ってもなかった人の登場に驚くが、役員といえば仲が良い人が多い方がやりやすいかも知れないと、笑顔で「私も新しい役員なの」と返した。

 

 後は…会長?と部屋の奥を見ると、大きな机がデンと真正面に向けて陣取っており、そこに座っている人と目が合った。真っ黒の髪に、まるで獣のような金の瞳がギラリと光る。一見そんな野性的な印象だが、よく見ると物凄くお顔が整っている。だからギャップが凄い感じだなぁ…それには私だけじゃなく他の役員達も感じて、黙って見ている。


 ──こ、この人が生徒会長なんだろうか?そしてあの時、お兄様は何故この人ことの言及を避けたのだろう…


 実際会ってみるとお兄様程ではないが、ただの素敵な先輩だとしか思えない。そのことに戸惑って…


 「君がアリシアだね?何処となくディラン様に似ているね。私が生徒会長のハリー・デイビスだ…よろしく頼むね」


 そう言ってハリー先輩は、私の方へと手を差し出す。えっ…私にだけ?と不思議に思ったけど、きっと代表みたいなものなんだろうと、気にせずにその手を握り返した。だけどその瞬間…痛い程の力で握られて慄く!

 

 それからその人は、驚いて見つめている私などどこ吹く風で、机の上の見える位置いてある小箱をそっと持ち上げる。今何故それを?と、ここに居る者全てがその小箱をガン見している。パカッと蓋を開け、その中から取り出したのは…一つの指輪だ。


 ──な、何故指輪を取り出すの?どういう意味があるのかしら…


 その指輪は男物だろうか、太めの銀の台にアクアマリンだか、ブルートパーズだかの青い宝石が埋め込まれている。良く見るとカレッジリングのように紋章のようなものが彫り込まれてあって…あれっ?あれはどういうこと?その見慣れた紋章に困惑する。

 そしてその指輪を天に掲げたかと思うと生徒会長は…


 「ディラン生徒会長…俺、頑張ります!見てて下さい」


 そう言って指輪の石部分を指先で撫でている。こ、これはヤバい!そう直感する。

 アンドリューも相当にお兄様大好きっ子だけど、これはレベルが違うかも知れない…とっても危険な香りがするわ!

 お兄様がこの人のことで、お茶を濁していた理由が分かるんだけど…

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