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【完結】立場を弁えぬモブ令嬢Aは、ヒロインをぶっ潰し、ついでに恋も叶えちゃいます!  作者: MEIKO
第七章・新たな局面

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50・本気の説教

 「あなた…本気でそう思ってるわけ?それであの子には何が残ったと思う?中等部の頃にしたことまでは、私も詳しくは知らない…だけど高等部になってからは、間違いなくキャロラインへの嫌がらせ行為がエスカレートしていたわよね?そんな汚い真似をして、スティーブ殿下の心が手に入ったの?殿下は何の躊躇もなく、さっさと隣国へと旅立ったわよ!」


 「そ、それは…」


 ニクソンは思うところがあるのか、俯いて押し黙ってしまう…。それはそうでしょうね?私が自分の目で間違いなく目撃した行為も、かなりの回数になる。おまけに私達が居ないところでも、キャロラインを貶める言動があったとしたら…もう考えるのも嫌だわ!


 「何の罪もない人に因縁をつけ、そして罪に落とし入れようとする…それで何が手に入った?何にもあの子には残ってないじゃない!おまけに自分の傲慢さで、友達までも失ったってロブから聞いたわよ?それはこうやって庇っている貴方にも適用されてたんですってね?」


 いくら幼馴染みだといっても、あのように切り捨てられていい筈はない。それに腹は立たないのかしら?私だったらロブのように、辛くとも気持ちに踏ん切りをつけると思う。どれだけ好きだったとしても…


 「それはルーシーと殿下が、心を通じ合わせたと思ったから。それなのに俺達が側にいたら邪魔だろう?だから仕方がないことだと思ったんだ…」


 ──くあぁーっ!どこまでも呆れる…邪魔だろう?だってさ!その前にあなた達は、友達だったんじゃなかったのかしら?それなのに仕方がない…そう思えるなんてねぇ。なんてお粗末な友情なのかしら…


 「殿下はね、ある人が言うには本心ではキャロラインを愛していたそうよ。それが分からなくなるほどジレンマに苦しんでいただけ…。ルーシーのことなんて、これっぽっちも好きになっていなかったの。だけど恐らく友情はあったんじゃない?なのにあなたやロブ、アンドリューが離れて行ってしまったのを、自分のせいでは?と落ち込んでしまっていたのよね…可哀想に」


 それにはニクソンは、見たこともないような驚いた表情をする。それはそうよね?殿下には、愛だの恋だのは一切存在していなかったのだから。おまけに自分の行動によって捨てたのは、皮肉にも殿下との友情のみ。そんなこととは思ってもなかったのだろう。


 「そんなことだったなんて…ショックだ!俺はルーシーが幸せになれるならと思って…なのに違っていたって?そしてキャロライン様には俺だって申し訳ないと思ってた!だけどルーシーと殿下は愛し合っているんだから、何とか諦めていただけないだろうか?って…」


 この世界の人って、何でこんなに思い込みが激しいのかしら?どいつもこいつも~

 そしてもし、キャロラインが殿下を想っていたとしたら、その気持ちは無視?あり得ない!勝手過ぎるじゃないの…

 

 「はあぁ…そんなことだろうと思ってたわ。ロブもあなたと同じことを言ってたわよ?自分は直接キャロラインへの嫌がらせに関与していないと。だけどそれ、本当にやってないと言えるの?」


 そう言う私に、ニクソンは俯いていた顔をバッと上げる!それから表情をみるみる曇らせていく…

 そして私が一番腹が立つのは、傍観者を気取って何もしない人達…

 

 『私がやったんじゃないから関係ない!』


 『言ったのは自分じゃない!あいつだろ?』


 そういう人達はそう言いがちだ。それって本当にやってないのかしらね?完全に白だって言えるのかしら。


 「ニクソン、あなた…自分はやってないって?そんなの見てるだけなら、やったと同じなのよ!幼馴染みなら…好きなら…ルーシーを止めるべきでしょう?キャロラインに申し訳ないと思ってたですって?なら、止めなさいよ!!」


 申し訳ないで済んだら、騎士団も警備隊も諜報部隊もいらないのよ!おまけにルーシーは、子爵家の令嬢だ。これまで何の罰も与えられなかったことこそが奇跡なのに、それを自分達が正しいからそうなんだと正当化するなんて…お馬鹿っ!


 だけど怒り過ぎて、これ以上は無理…と思っていると、今まで黙って成り行きを見守っていたらしいロメオが、遠慮がちに声を掛けてくる。


 「あの…お嬢様?そろそろお時間が…ロッテが心配しますから」


 「あっ、いたの!?ごめんね~」


 それでニクソンと同じくバツの悪い顔をしているサイモンに「ごめんね、騒がしくして…」と笑顔で謝る。それにサイモンは、顔を引き攣らせながら「こちらこそ申し訳ありません!」と頭を下げた。それから努めて明るく「またね!」と返してブラウン商会を出ることにした。そして扉に手を掛けた状態のロメオが私に耳打ちする。


 「お嬢様…あの方は同級生だったのですか?」


 一体何のことを?と会話の意味が分からなかったであろうロメオ。ニクソンをチラッと見ながらそう聞いてくる。それに私は割合大きな声で…


 「そうみたい…だけど友達なんかじゃないけどね!」


 そう言い残して店を出た。その後サイモンニクソン兄弟に、何があったのかは知らない。恐らく相当絞られたとは思うけど…

 ニクソンとは、今後ももちろん学園で会う機会はあるだろうが、かといって仲良くする必要もないと思っている。遠い親戚よりもずっと、近い親友達の方が大事だからだ。そしてルーシー…あなたは今後どうする?


 皇太子妃(なれたかどうかも微妙…)の夢破れて、どう行動する?

 ちょっと失礼かも?だけど、あのニクソンを相手にするとは思えない。となると…どうなるのかしら?


 そして卒業パーティーが…


 キャロラインはお兄様の婚約者として初めて参加することになる。そして親友達も…それぞれの思いを胸に参加することになるだろう。それは私だって…

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