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【完結】立場を弁えぬモブ令嬢Aは、ヒロインをぶっ潰し、ついでに恋も叶えちゃいます!  作者: MEIKO
第五章・攻略対象決定の後は

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26/96

26・攻略対象ですか?

 「あのぅ…なぜ私がここに?それに暇を持て余しているという訳でもないんですのよ?」


 私は今、実験室にいる。そして化学教師のジョセフ・ランバートに、何故かこき使われていて…


 「あっ、嫌でしたか?知っている生徒が、君しか居なくて…仕方なくお願いしましたけど?」


 そんなことを言われて呆れ返る。そして実験道具のビーカーや三角フラスコなどを布巾で丁寧に拭き上げながら、こういう時は男子生徒でしょう?って思う。そして目の前のランバート先生を見つめる…


 ──相変わらず、めっちゃアンニュイ!おまけに気怠さがアップしてるんですけど~?


 この世界で意外と珍しい青い長髪を、スッと耳に掛ける仕草は、何だかとっても色っぽい!はあぁ…男なのに?

 おまけに首元にドレープが沢山寄った白のブラウスに、猫眼石が光るループタイをしている…すっごくお耽美!


 そして私が前世でこの乙女ゲームをプレイしたのは、攻略対象を変えて二周のみ。一周目は皇太子殿下ルート(今となっては黒歴史…)で、あとの一周はこのジョセフ・ランバートルートだ。そしてもう二周で既に嫌気が差し、その他のルートはやらなかった。だから二人以外の詳しい内容は知らないんだけど…


 それからふと思う。こうして先生を手伝っているのは、本来ならルーシーの筈よね?どうして私がやってるの!


 それにランバート先生だが、ルーシーに対して全く興味を示していない。二人でいるのはもちろん、話している姿さえも…そうこうしているうちに、ルーシーってばルート決定しちゃったわよ?何やってるの…


 だけど元々この世界だと、先生は相当に分が悪いのだ…スタートが遅くって。そしてそんなことは意に介さずな先生は、事あるごとに私に声をかけてくる。何故よ…もしかして、モブ令嬢Aルートなんて存在する訳?

 そんなあり得ないことを考えながらも、ほんの少しだけカマをかけてみる。これで本当にそうなのか分かる筈よ!


 「ランバート先生、Cクラスのルーシー・バーモント令嬢ってご存知?あの印象的なピンク頭の…」


 そう聞いた私に先生は、鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔で目を見開く…えっ?


 「あの…君が叱りつけた令嬢だろ?もちろん知っている。あの恐怖で歪んだ顔なんて、本当に見ものだった…ハハッ」


 ハハッ…言ってますけど?これは全く攻略されてない!なんなら放置?そう驚いていると、そこに聞き覚えのある声が聞こえる…


 「ランバート先生、これはちょっとマズいんじゃないの?令嬢と二人きりで実験室なんてさぁ」


 そんなハイトーンボイスに振り向く。そこにはやっぱり、戸にもたれ掛かりながら腕を組み、斜に構えてこちらを見ているアンドリューが!そんな格好いい登場をしているが、やっぱり少女みたいに可愛いアンドリューには、脳がバグりっぱなしだ!


 「コイツ、また可愛いって思ってるな!?なんだよ…助けに来てやったのに!」


 そんな様子の私の気持ちを言い当てられドキッとする。だけど助け…って?


 「それは心外ですよ?スコット令息。それに先生に対する言葉遣いとは思えませんね…。おまけにランドン令嬢ですが、私のことなど警戒してませんから」


 ──うん。そうね!全然警戒はしていない。ルーシーのことを好きになっていないのは少々気になるが、そもそもモブの私など歯牙にも掛けないと思ってるし?警戒心なさ過ぎかしら…


 「ところでアンドリューは何しに来たの?ブリジットからここに居ることを聞いたのかしら」


 それにアンドリューは、ぷくっと頬を膨らませる。ガハッ…可愛い~!

 今気付いたけど私ってば、アンドリューの顔がなかなかに好きなのかも知れない…可愛くて仕方がないんだよね~だけどそれは小動物を愛護みたいな?ものだと思うけど。


 「そうだよ…いつも呼び出されてるって聞いたからさ、心配して来たんだよ!」


 そう言うアンドリューに、目が点になる…心配で?

 この前から気付いていたけど、最近めっきり距離が近い。物理的な距離じゃなくって、心の距離っていうか…おまけに可愛いし!ハッ…何回も可愛いって言っちゃう~


 「それはありがとう。ちょうどお手伝いも終わったようだし、一緒に教室に戻りましょうか?」


 それにアンドリューは、ぶっきらぼうに頷く。フフッ、カッコ可愛い…またっ!?


 「そうですね…今日はこれで終わりですから。どうもありがとう、ランドン令嬢。またお願いしますね?私は君といると、何だか癒されるんですよ」


 そう言ってランバート先生は、再び髪をかきあげた…そして徐ろに私の手を取り、薄くて形の良い唇を押し付ける…


 「ひあぁ~先生!な、何を?」


 「何って…お礼の意味ですよ?」


 「コラッ!スケベ教師!この野郎~」


 静まり返った実験室だった筈が、何だか大騒ぎに!それには私もドキドキする。手に口づけされたのはもちろんだが、また違う意味でも動揺していた!さっきランバート先生が言っていた言葉(セリフ)、それに行動(シチュエーション)…ゲームの中でやってなかった?

 おまけに最近どうも私贔屓な、アンドリューのこともある…


 これをどう捉えたらいいんだろう?これって本当にモブ令嬢Aルート、入りました?

 

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