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【完結】立場を弁えぬモブ令嬢Aは、ヒロインをぶっ潰し、ついでに恋も叶えちゃいます!  作者: MEIKO
第二章・学園生活が幕を開ける

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12・新しい友達

 それから昼休みになり、私はこれまでの鬱憤を吹き飛ばそうと、敢えて明るくキャロラインを誘った。昼食は基本自由に決めていいらしい。お弁当を家から持ってくる人、それに学食のカフェテリアも完備されている。それと取らない人もいるかも知れないわね。おまけに場所も自由で、教室を使ったり中庭で食べたりする。私達は相談してカフェテリアに行くことにした。


 「キャロライン様は中等部からカフェテリアで?私勝手なイメージだけど、高位貴族の方々は専用のサロンとかあるのかと思ったわ」


 他意なくそう言ったのだけど、キャロラインはそれに少し哀しい顔をした。ど、どうしよう…と思っていると、それに気付いたように再び笑顔を作られる。


 「中等部の時は、皇太子殿下の専用サロンで取っていましたの。殿下ほどの身分になると、わたくし共と同じではいけませんしね」


 しまった…!と先ほどの言葉を後悔する。そうね…そのくらいは与えられている筈だと納得する。きっと始めは二人、こんな険悪な雰囲気ではなかったのだろう。あのルーシーが現れてから、どんどん嫌われていったのだと思う。きっともうすでに皇太子妃教育は始まっているだろうし、それなのにこんな関係なんて不憫でならない!努力が無駄になるのよ?

 殿下には(はらわた)が煮えくりまくりだが、何とか早く婚約を解消出来ないものか…と考える。

 そしてキャロラインには、もっといい方と巡り会って欲しいと思う。だけどアロワ家のこともあるしなぁ…それによく聞くのは、一度婚約を解消されてしまったら、次の縁を結ぶのは相当難しいと。どなたか勇者は現れませんか?と心の中で叫びながら歩いていると、あっという間にカフェテリアに着いた。


 これだけの規模の学園だけあって、物凄くカフェテリアは広い。出遅れたし、もう席がなかったらどうしよう?と思っていたが、その心配はなさそう。

 おまけに席に余裕があるから、隣の人に気を使う必要もなさそうで嬉しい。

 二人でトレイを持って並び、メイン料理を注文する。私はナポリタンで、キャロラインはサンドイッチ。それから飲み物だけを先に受け取って席を探すことに。メイン料理は後で、席まで持ってきてくれるシステムだと聞いた。

 そしてキョロキョロとカフェ内を見渡すと、窓際のソファ席が目に入った。あそこだったら、ゆっくり話しができそうだ。視線だけで何とかその席にと合図して、二人して向かう。そしてその席に座ってやっと、ふーっと一息つく。


 「この場所は良さそうね。ほら、庭が良く見える。それにしても中庭って、公園かしら?って思うほど広大なのね」


 まるで公園のような中庭を見ながら驚いていると、キャロラインはフフッと笑う。


 「そうなの。この中庭の向こうに見えるのが中等部の校舎よ。共通しているのが中庭と、中庭の向こうにある運動場ね。カフェテリアと講堂はそれぞれ別にあるの」


 そう教えてくれながらキャロラインは鮮やかに笑う。その晴れやかな顔を見ていたら、すっかりと先程の影響はなさそうで安心する。それにいつの間にか私達は砕けた話し方になっていて、より友達感が増しているのに微笑む。

 

 「だからなのね…最初この学園を見た時、同じ建物が二棟あったのを不思議に思ってたの。その時は中等部があるなんて知らなかったから」


 そう納得していると、メイン料理が運ばれてくる。こんなに大勢の生徒がいるのに、どうしてここだと分かるのだろう?と不思議そうに見ていると、またまたキャロラインは笑って…


 「ハハッ、アリシア様って思ってることが顔に出てしまうのね?さっきこの引換券を受け取ったじゃない?これにチップが埋め込まれているのよ。だから間違いなく届くってわけ」


 「ええっ!凄い~私捨てるところだったわ」


 私達はひとしきり笑って、楽しい時間を過ごす。先ほどまでの息詰まる授業なんて無かったかのように。お喋りしながら昼食を取ると、あっという間に時間が過ぎる。さあ、これからまた午後からの授業が…と戻ろうとしていると、二人の令嬢が近付いて来る。うん…?誰だろう。


 「あの…お嫌じゃ無かったら、一緒に教室まで戻りませんか?」


 「ええ…私達も、同じAクラスなんですけど」


 二人がそう声を掛けてきて、改めてその顔を見ると、確かに見覚えがある。だけどどうしよう?とキャロラインの顔を見ると、目を丸くして驚いている。


 「ええ、それは構いませんけど?失礼ですが…」


 それに目の前の二人は目を合わせて嬉しそうに微笑んでいる。


 「自己紹介がまだでしたね。私は、ロウブルグ侯爵家のクリスティーヌといいます。それからこちらはスコット伯爵家のブリジット令嬢です」


 クリスティーヌと名乗った令嬢は、印象的な赤目と金髪の高位貴族らしい上品な令嬢だ。そしてその隣のブリジットだが、何だか見たことがある気がする。それを不思議に思って見つめていると…


 「フフッ、先程は私の弟が失礼しました。私達、双子なんです」


 そう言われてやっと気付いた!さっきの一件の時、やたら可愛い令息に食ってかかられた。そういわれれば、本当にそっくりで…。あの令息の?確かにスコット伯爵家だと言っていたわ。


 「ああっ、本当ですね!そっくり…」


 そんな私の驚く様子にキャロラインも「中等部でも可愛い姉弟だと話題だったのよ」と笑った。すっかり和やかなムードになった私達は、四人で教室へと向かった。カフェテリアを出て、中庭を横切り校舎へと入ったところで、スコット嬢があの…と声を掛けてくる。


 「私達…前から、殿下のキャロライン様への言動は、余りに酷いと思っていたんです。それにルーシー様も、ワザとキャロライン様を陥れるような行動が目立って…本当に見ていて不快だったんです。なのに弟はそんなことは意に介さず、あの人達と行動を供にするなんて…だから嫌って、今は殆ど話さなくなりました」


 そう言って哀しそうに目を伏せるスコット嬢。それにロウブルグ嬢は、以前から相談を受けていたのか背中を擦って慰めている。そしてそのクリスティーヌ嬢も…


 「キャロライン様、本当に今まですみませんでした!私達そう思いながらも、何も出来なくて…。だけど私達、ランドン令嬢の勇気ある姿に目が覚めましたの。是非、私達と仲良くしていただけませんか?出来たら友達に…」


 それに私は、ガシッと二人の手を握った。それからキャロラインに顔を向けて大きく頷いた。そんな私の行動に目を丸くして驚く三人が。


 「ええ!私達、友達になりましょう。良かったら、名前で呼び合うような親友になってくれませんか?」


 「ええ是非に!」


 そして私達は心強い仲間を手に入れる。すると足枷が取れたように足取り軽く、教室までの道のりを笑い合って戻った。

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