ショートが好みな君だから
短いやつです。友人に感化されて書いてみました。
長らく好きだった君に告白して、振られた。
高校三年生へと進級し、同じクラスで隣の席だった君のことを、私はすぐに好きになった。
君の何気ないひとつひとつの所作すらも愛おしく思い、君と会話をするたびに私の胸はドクドクと昂るのを感じ、この厳秘の思いを見透かされぬよう取り繕うことに必死になる。
それまで何も考えることなく、人気のない田んぼにぽつんと置かれたカカシのように無気力に生きてきた私が、いつの間にか君のことしか頭に残らなくなるほど、君という劇薬に夢中になっていた。
私は覚悟を決め、放課後に夕焼けでオレンジ色になった静かな教室に君を呼び出し、思い切って告白した。
君は少し困惑した様子を見せて、一呼吸おいた後に「友達としてしか見ていなかった」と、私の思いを一蹴してみせた。
私はその日のうちに腰まであった髪の毛をばっさり切った。
翌朝、教室へ入ると、昨日私を振った君と目が合った。君はなにかぎこちない様子ですぐに顔を背けてしまった。
私の昨日とは変わり果てた姿を見て、親友である由衣が近付いてきた。
「もしかして失恋?やっぱ振られちゃった?」
と耳打ちでテンプレのようなことを聞かれた。
私は堂々と答えてやった。
「うん、振られちゃった。でも失恋なんかしてないよ。」
きょとんとしている由衣を横目に、私は一直線に自分の席へ向かい腰をかけた。
そして、ノータイムで気まずそうに顔を赤らめている君に「おはよう」と少し微笑みながら話しかける。
私は彼に振られた。だが失恋はしていない。
まだ諦めていないから。
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