075_王国暦467年_春/08
よっす。
騒がしい状況に叩き込まれているオレだぜ。
こんな風に思っている間もそこかしこで声が上がってんだ。
「急げ急げえ!!
ドワーフどもの突撃隊が来たらこんな城壁一瞬で消し飛ぶぞお!
西だ!西の守りを厳にしろ!」
軽甲冑を纏う男が発せられる最大限の声で叫んでいた。
彼の周りについている兵士の身なりや、鎧に紋章を目立つように刻んでいることから軽甲冑の男が貴族であるってことはわかる。
「荷駄隊をさっさと後方に戻せ!」
「このままじゃ荷駄隊を守りきれん!」
「まだ下ろす作業が終わってない?
なら人員だけでもいい、下がらせろ!
公爵閣下から『ぶつかり合い以外での人的被害に気を配れ』とお達しが来ているのだ!」
それとはまた別の場所で声。
東側、つまりは敵が来ると思われる方角とは別の門から荷駄隊を逃がそうとしているようだった。
「荷駄隊に護衛をつけろ、外から来ている傭兵どもをだ。
連中では要塞を抜かんとするドワーフの突撃には耐えられまい。
頼りになる壁となるのは我ら騎士のみよ」
自信満々に騎士たちがぞろぞろと現れる。
一方の傭兵たちは命じられるままに騎士の横を通り過ぎるが、数名がお互いに持っていた武器同士を軽くぶつける。
戦場での挨拶のようなもの、そこから騎士と傭兵の関係が良好であることがわかる。
「前線から報告!正面の防衛戦を割られました!
ドワーフが来ます!!」
兵士の一人が物見から叫ぶ。
「騎士だ!騎士部隊を前に出せ!」
それを聞いた前線を担当している取りまとめ役らしき人物が伝令を飛ばしている。
「カルザハリと、公爵閣下のために!」「カルザハリと、公爵閣下のために!」
突き進む騎士たちが誉句を上げて出陣していった。
……といった具合に怒涛のような勢いで状況が流れていく。
オレはそれを見下ろしていた。
現在地は、記憶を辿るに西方の最前線。
ここは東西の境界線、城壁に囲まれた土地。
戦時に建築された要塞のようで、そこかしこが急拵えではあるものの、防衛力は最低限以上は確保されているようにも見える。
そのど真ん中にある施設。
城壁よりは背は低いものの、決して小さいわけではないその施設のバルコニー。
賊であるはずのオレは『自主的に』見張りをしていた。
バルコニーの奥、オレの背中に当たる施設の中では、多忙に多忙を重ねた貴族や文官らしきものたちがせっせと働いている。
オレが最前線に立ったところで立派な戦力になれるとも思えないので、
こうして見張りをしているのだ。
このまま状況を俯瞰しているべきかどうかを悩んでいると、大あくびをしながら現れた魔術士風の女が横に並ぶ。
魔術士風、と言ったのは指につけた装飾品の類がただ着飾るためのものではなく、インクの操作を補助する焦点具だということがわかったからだ。
年齢は……二十か、それに届かないかくらいだろう。
淡い水色の髪、背丈は高くてグラマラス。
顔立ちは相当に整っているが、まだ少しあどけなさも残っているのが、逆に艶やかさを引き立てていた。
もしかしたら魔術士とかじゃなくて公爵の情人とかである可能性もある。
つまり、対応を間違えるとヤバい相手かもってことだ。
「ふわぁああぁ……。
このぶつかりあいでどのくらい吹っ飛ぶかなあ」
大あくびをしながら物騒なことを云う。
「あー、オレに言ってる?」
「他に話し相手が周りにいるかよお」
「そりゃあまあ、そうか」
周りを見渡せば誰も彼もが忙しそうだ。
「あー、どのくらい吹っ飛ぶ、かあ」
改めて魔術士風の……殆ど寝間着の女への返答を悩む。
少し離れたところに兵士の動き早見表のようなものが貼ってあった。
相手方の間者やらに見られても問題ない情報ってことだろう。
そこから見るに、とにかく王国側は騎士を始めとした貴族階級を敵とのぶつかり合いの状況に出している。
この体の記憶を深く読む。
貴族やら騎士やらが前面に出て戦い、被害は抑えているものの、逆に周辺の街や村では賊の被害が強くなっている。
戦争のドサクサで悪さをする奴らは少なくない。
村はさておき、街の周りからも騎士の姿が見えないとなれば賊も活発化する。
集めた傭兵や、戦火に乗じるのはちょっとなあと思っている賊を集めた、この要塞の責任者──つまりは公爵様は傭兵や賊に治安維持を委託していた。
賊連中もうまく仕事をすれば賊から足抜けできると考えている連中も多いようで、
賊の一党まるごと来る奴らもいれば、賊から必死に逃げ出してここに合流したものもいる。
オレがサボって……いや、自主的に見張りをしているのは実力的に自信もなく、
かといって他の傭兵や賊と繋がりがあるわけでもないから組織だった動きができないってのもある。
話が横道にいいだけ逸れてしまったので戻そう。
ドワーフの突破力をはじめ、エルフの魔術、獣人の身体能力を見事に戦術や戦略に組み込んだ指揮官が相手方にいるようだ。
個人の性能に加えて指揮官まで優れているとなれば、王国側としても騎士のような装備と技術を持っているものたちをかき集めて、ようやく相手にできる状況と見える。
つまり、どれだけ傭兵や賊を雇おうとも最前線の戦力としては扱いが難しい。
オレ程度が見張りから前線に行って協力したところで足を引っ張るだけ、そういうことだ。
「騎士の装備もしっかりしているし、支援攻撃も間に合っていそうだ。
最前線の連中は案外生き残るんじゃないか?
ってことは、どのくらい吹っ飛ぶかってことなら『そんなに吹っ飛ばない』って返しになるか」
「ふぅん。
じゃあ、状況はどう動くと思う?」
難しい質問だ。
そういうのは公爵にするなり、ここの軍師にするなりしてくれとは思うが、話し相手がいないってのも暇なのは間違いない。
「ドワーフが気合いいれて前線で大声だしているし、元気一杯って感じだよな。
恐らく精強な兵士なんだろうが、数が少ない。
むしろ後方に待機しているドワーフの位置と数を考えりゃ……」
オレは軍師ではないので専門的なことはわからない。
できることは、賊である自分であれば何に脅威を覚え、それを回避するべきかという経験と知恵から来る予測だ。
バルコニーから真正面が真西の出入り口、そこにあった視点をずいずいと南へ、北へと動かす。
南北で見ると南は森林がそれなりに広がっている。
南は隠れて進むこともできるが、奇襲をするってなら数を多く進ませることはできない。
それなりの森林はあくまでそれなりの隠蔽効果しかもたらしてくれないだろう。
王国側も隠れて来られても困るので相応の罠と見張りを配置しているはず。
といった考察をオレはかいつまんで彼女に伝える。
ぼさぼさの髪の毛を手ぐしでほどきながら、ふむふむと聞く魔術士風の女。
ちなみにその『ふむふむ』の言い方は相当聞き流しているように受ける。
万事人をおちょくっているような態度にも見える相手だが、オレは怒りは覚えなかった。
オレはザコですぐに死ぬが、その分多くの人間に会ってきている。
時折こういう手合にも遭遇したことがあった。
つまり、思考力や目的の達成に力を注ぎすぎて他人に対する配慮であったり、対応する気を削いでしまうほどの人間がいるのだ。
「ドワーフたちの突破力を考えりゃ移動が制限され、戦闘速度が下がる要因にもなる『潜んで移動』って行為を好んで取るとも思えないんだよな。
もしもそれをやるとしても助攻のためだろうが……。
けど、北も結構守りが硬そうだし、助攻するっていっても、どこの助攻だって話か」
名も知らぬ薄衣の女を見やる。
戦場に立つタイプの魔術士というよりは後方で研究なんかをやってそうな感じの人物だ。
ただ、外見の華やかさは魔術士や研究者といった感じに見えないところもあった。
情人かもとそのファーストインプレッションから考えてはいたが、
その華やかさは生まれ持ってのものだけではない、成長の中で教育されたものも備えている気がした。
「ここの戦力のうち、結構な割合を北側に回しているけど、どうなんだろうな。
数の上では鉄壁のようにも見えるけど。
むしろ数がいるくらいでドワーフの突撃に耐えられるものなんだろうか」
ここから見える範囲ですら、王国側の陣形はがっちりとしたものではない。
貴族のボンボンか何かが半分、きっちり仕事をこなそうとしている騎士(ボンボンどもより家格が下なのだろう)がもう半分。
北側の防備は後者だけがなんとか陣を整えているようにも見える。
「ん……?」
あれ……?ヤバくね?
「どうしたのかな」
「北側って抜いてくださいと言わんばかりの体勢じゃね?
見た目だけはいい、ハリボテもいいところじゃね?」
正面も南も大丈夫。
でも北は実は抜かれやすい。
雪崩込まれてしまえばこの最前線の要塞は内部からあっさりと占拠されるんじゃないのか。
といったことを要約して伝える。
勿論、彼女以外には聞こえないように声量は絞った。
「あっはは。確かにヤバい。
それじゃあ……一緒に逃げちゃおうか?」
「そんなあっけらかんと。
アンタも公爵に雇われている魔術士なんだろ?
そんな薄着でいないで防具付けて戦う準備したほうがいいんじゃないのか」
「確かにキミは私よりは多少はマシな防具を着ているけどもね。
見たところ斥候で、その職能持ちはみぃんな偵察に出払っているはずだけど」
サボっているのは見抜いているというわけか。
一緒に逃げるって発言もまあ、幾つかの本心はあるかもしれない。
このままダラダラとして、本格的な攻めに巻き込まれたら危ういことになるだろう。
「見た目以上に旗色が悪いよなあ」
「悪いねえ」
「もっとうまい方法があると思うんだがなあ」
「例えば?」
「あー、例えば──」
と、幾つか効率化に関する考えを提示するが、違和感を覚える。
この要塞と状況はある意味で効率化されている。
判明しにくいように、しかし確実に処理をするための施設として、効率化されているのだ。
なにを処理するのか?
傭兵や賊、輜重の手伝いをしている商人連中はいの一番に前線から遠ざけられていた。
だから、彼らは対象ではない。
最も危険な場所に配置され、或いはハリボテの陣形で安心させられもしているものたちが……つまりは騎士と貴族が大きな痛手を受けるような状況。
つまりは、処理の対象はそれらであると考えてもいい。
オレの表情が少し動いたか、それとも目線の動きから何かを読んだのか。
「……あーあ、気がついちゃった」
まるで試していたかのような彼女は、底意地の悪い声でそう囁いた。
この状況を作っているのは誰だ。
いや、誰かよりも、なぜだ。
埋伏の毒ってやつにしちゃ軍全体が踊らされている。ってことは軍を編成して配置できる奴が裏切っている?
つまり、
「ザールイネス公爵が西に付いているってことか……?」
「あっははは、なるほど。確かにそう見えるねえ。
けどハズレ」
「……『気がついたか』っつったけど、アンタ、何者だ」
情人ではないだろう。ここに詰めている魔術士ってだけでもなさそうだ。
間者って線はまずなかろう。こんなあけすけな間者がいるとは考えにくい。
「それには気が付けないかあ」
「悪いね。
美人の顔は忘れない自信があるんだが、流石に会ったことともない美人まで記憶するような超能力は持ってないんだ」
淡く笑う。
妖艶、という言葉がよく似合う女だった。
「答えはもう自分で言っているよ」
「はあ……?
……騎士、貴族……ザールイネス……公爵」
「はいはーい。
公爵だよー」
こんな軽薄な貴族が、いやさ、公爵がいるのか?
「騙りだとしたらヤバいぞ、流石に」
「信じられないかあ。
じゃあ、ほら。
いや、ほらって見せてわかるかな」
胸元から取り出したのは冒険者が下げているような認識票のようなもの。
ただ、認識票ではない。
貴族が貴族である、その証明品。
そもそも認識票がこれを模して作られたなんて話もある(或いはその逆に、冒険者から派生して貴族が生まれたなんて珍説も知識の中にあるが)。
その証は恐らくは公爵のそれなのだろう。
かすかに通されたインクによってそれが本物だと知らせるように淡く光っている。
偽装することも可能なのかも、そもそもこの証を見たのも初めてである以上は真贋を判断する能力がオレにはない。
ただ、オレを騙す理由がそもそもない。
であればこの女こそがザールイネス公爵その人だと考えるべきだろう。
「あー、ザールイネス公爵閣下。
わたくしのような下賤な輩とお話するなど問題ですぞ。
それにその薄衣のような服装もいただけませんな。
ささ、お部屋にお戻りになって衣服を整えてくだされ」
オレの選択はたった一つ。
有耶無耶になる感じにして、オレから離す。
これだ。
確実に面倒事に巻き込まれる。いや、既に巻き込まれつつある。
「その間に貴様はどうするのかね、えーと、名前は?」
名前。
準備なし。
どうしたもんかな……。王子様と会ったときは馬車がぐらぐら揺れていたからグラ。
その次がグラを引き継いで、酒場跡地があったからバルグラ。そこからどうするべきだ?
ええい、思いつかないなら頭にこびりついている人の名前から拝借しちまえ!
「ははー。
バグラムと申します」
「で、私が部屋に戻ったあとはどうするのかな。
私を置いて逃げるとかあ?」
「ま、まさかあ。
ここで見張りをしますよ、ええ。しますします」
「怪しいもんだ。
……なんてね、逃げても構わないよ。
ただ、質問に答えてほしいんだよねえ。一個だけでいいからさあ」
何かをダシに質問をする。
オレはよくやることだが、やられるのは珍しい気がした。
それと、口調は改めなくていい、とも。
こういう場合は下手に
「そんなわけにはいかないでヤンス!」
みたいなことをいうと不興を買うことが多い。
「何を答えりゃいい?」
なので、口調は元通りにしておいた。
公爵も満足げではある。
「キミからは変わった匂いがする」
「公爵閣下のような貴人と違って体を綺麗にする習慣が薄いもんで」
「そういう匂いもするけど、そうじゃなくって。
……インクだよ、君の体内から常人とは違うインクの匂いがする。
強力な儀式が準備されているのと同じ匂いだ。
それに忌道にも関わるものがあるが、色も少し違う」
動物を観察するような冷たい眼差し。
口元は小さく笑っているが、それは微笑んでいるのではなく、知的好奇心を刺激された反応にすぎないことも理解できた。
「アンタが何を言っているのかわからない」
「そう?
……君は全てではないにしろ、わかっているんじゃないの」
「わかっている?なにを?」
「その身に宿っている、儀式の力を」
何を言っているのか、まったくわからない。
そう切り捨てられればよかった。
だが、オレは直感してしまった。
この女が言っているのは復活についてのことだ。
彼女はそれをオレが有しているかどうかはわからずとも、復活が持つ力そのものに匂いと直感で気が付かんとしている。
「どうなっているのかな、興味があるよ」
「どうなっているもなにも……」
北の方から声が響く。
蛮声とも言うべきものが。
「北が抜かれたか」
「みたいだねえ。
それに正面や南もなんだかかんだで奇襲されているようだし、ちょっと計画にズレがあるなあ。
これは内通者がいるかな」
正面、つまりは西側の出入り口から別の破砕音と蛮声。
なるほど、ここまで完璧に攻められるとなると要塞の中を知り尽くしているものが相手に情報を流していると考えるのは、そりゃそうか。
「おいおい、大丈夫かよ!?」
「うーん。……まあ、ドワーフの攻めに関しては大丈夫だと思うよ。
多少損害は出たとしても、私の目的の上で言えば壊滅的には程遠い」
冷静、いや、冷徹とも言える判断。
大を生かすために小を殺すことをし続けた国家を活かし続けるための重要臓器。
彼女こそが公爵であるということが理解できる。
四才児の王太子様の存在にも驚いたが、少女的なというか、まだ少し幼さを残す公爵の存在にも驚いている。
そうなると、どうしたって彼女に王子様を重ねてしまうものだ。
彼女は国を裏切り、西側に付いたのかという質問に違うと答えた。
彼女が嘘を云う理由がないし、そもそも嘘の似合わない人間のようにも思える。
であれば、国を想って行動しているのだろうか。それともそうであってくれとオレが勝手に祈っているだけだろうか。
「恐らく南側から入ってこれたのも──」
彼女の言葉が紡がれる前に要塞から悲鳴が聞こえる。
そして、足音がぞろぞろと聞こえ、バルコニーの出入り口を固めるように兵士が現れる。
装束こそ、要塞に詰めているの騎士や兵士のものだが。
「ザールイネス公爵閣下。ご機嫌麗しゅう」
「……あー……オーガスト男爵か。
君には一応計画を渡していたはずだよね」
「ええ、流石は公爵閣下。
完璧なものです、ここでの戦いだけではない。
王国を揺るがすための、素晴らしい計画でした。
男爵同盟も二人が命を落としたものの、それでも計画を完成させて王国を怯えさせることもできましょう!」
ですが、と続けるオーガスト。
「考えたのですよ。
王太子のために命を落とすのは馬鹿らしいのではないか、とね。
計画を切り替え、我ら男爵こそが現在の王国領を割って、それぞれが王になってもいいのではないかと」
「なるほど?」
馬鹿にしたような口調での納得したという相槌。
「つまり、計画に余計で余分なのは我らを飼っている公爵閣下……あなたというわけだ」
「そうなるよねえ。
さあて……どうしようかな」
薄衣と幾つかの装飾品しか付けていないうら若き乙女の公爵。
一応は装備を着込んだオレ。
どちらが何をするべきかはわかっている。
「公爵様よお、あんまり煽らないでくれよ。
オレはそんなに強くないんだ、相手に本気になられでもしたらどうしようもねえ」
そう言いながら彼女の前に立つ。
「ふふ、いい男っぷりじゃない」
「美人にそう言われちゃ嬉しくもなる。こんな状況じゃなけりゃだけどさ」
バルコニーの出入り口を固めるのは少なくとも十名はいる。
腕前は正直大したことはなさそうにも見える。
白兵戦は特に有利なところを持たないオレだ、相手の腕っぷしがイマイチだったとしても正直勝つのは厳しい。
ただ、持っている武器を投擲すれば二人までは殺せるだろう。
剣と鞘とで、二人。
あとは命を擲つ肉弾行為。それで三人。そこまですれば公爵は出入り口までは走れそうなものだが。
「どう思う」
オレの視線の動きから、脱出を目論んでいるのは公爵にも伝わったようだ。
内容はさておき、強引に突破するってところも含めて。
「やってみる価値はあるかもね。
ただ、個人的にはキミの匂いについてを調べたいところなのだけど」
「そりゃ難しいだろ」
「私を逃して死ぬ気だから?」
「……察しがいいね」
困ったことに、オレは意図をまるまる読まれる経験ってのに覚えがない。
読みの鋭いこの公爵様はオレの命をあっさりと捨て石にしてくれるだろうか。




