最終話「後日談」
「か~ける♪ あ~そ~ぼ!」
「駄目だ。テストが近いんだから、テスト勉強しないと」
「ぶぅ、けち!」
あの約束をしてから半年が経ったが、俺たちの仲は特に変わっていない。
――と、俺は思っているのだけど……。
「また兄さんと美麗姉さん、くっついてます……。林間学校から帰ってきて、二人のベタベタ具合が増しました……」
愛から見ると、そうではないらしい。
とても冷ややかな目で、機嫌悪そうに俺たちを見つめている。
「ふっふ~ん、恋人だもん」
「仮の、ですけどね」
「違うもん! ちゃんとした恋人だもん!」
そして、美麗と愛の仲も、ちょっと悪くなっている。
というか、子供のようにバチバチと火花を飛ばしあっていた。
もしかしたら俺は、林間学校の時に早まった選択をしてしまったのかもしれない。
「美麗、苦しいんだが……」
まるで、愛に『あげない』とでも言わんばかりに、後ろから俺の首に抱き着いてきた美麗に対し、俺は声をかける。
「私、気付いたんだけど……一番危険なのは、愛ちゃんかもしれない……」
「ん、なんの話だ?」
「美麗姉さん、それ以上口を開くなら、今晩おかず抜きを覚悟してくださいね……?」
そして、俺を美麗と挟むような立ち位置で立っている愛が、ニコッと笑みを浮かべた。
不思議なことで、その背には黒いオーラのようなものが見える。
眼科に行ったほうがいいのかもしれない。
「それはずるいよ……!」
「ずるいのは、美麗姉さんです……! 私は、やる時はやりますよ……!」
林間学校以降、こうして美麗と愛が火花を飛ばすことが多くなってしまった。
本当にどうしたのだろうか?
あれだけ仲がよかった二人が、まるで獲物でも取り合っているかのようだ。
ただ――こんな慌ただしい日々も、不思議と嫌じゃなかった。
余計なことを考える暇もなくなるし、嫌なことも思い出さずに済む。
二人がなんで火花を飛ばしあうかはよくわからないが、意外と楽しい日々を過ごしているのだ。
これからもきっと、変わらずこんな日々を送るのだろう。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます(*´▽`*)
皆さまのおかげで、こうして最終話を迎えることができました……!
終わりまでもう少しってところでなかなか更新ができなくなってしまい、
申し訳ございません……。
最後まで楽しんで頂けていますと幸いです(#^^#)
それでは、これからもネコクロともども、
よろしくお願いいたします(≧◇≦)
また次の物語でお会いできると幸いです!







