表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/38

第32話 イジメっ子に復讐する

 俺は堂島のパンチに合わせてカウンターを1発。


「――う゛っ!?」


 隙だらけの腹を殴ると、堂島は不細工な声を吐き出して前のめりに倒れた。


「……え?」


 先ほどまで楽しそうに動画撮影していた周囲のクラスメートたちは写真で切り取られたかのように口をポカンと開いて制止する。

 そりゃそうだ、今まで殴られてばかりだったクソ雑魚陰キャ伏見甚太を前に巨体の堂島が膝をついているんだから。


 迫り上がる横隔膜、浅くなる呼吸、ジワジワと凍りつくように動かなくなる手足。

 俺という戦闘のプロによって的確に決められたボディブローは堂島の顔色を青白く変化させていった。


「おーおー、どうした? 大丈夫か?」

「て……てめっ……いったい……何を……」

「自己防衛だ。このままじゃお前の無様な姿がみんなに撮影されちまうぞ?」


 俺が煽ると堂島は顔色を悪くさせたまま立ち上がる。


「う、うぉぉぉ! 死ねやぁ!」


 そして、また隙だらけの状態で殴りかかってきた。

 俺は再び堂島の腹。

 さっきは横隔膜だったが今度は(ストマック)を狙って殴る。

 顔面より目立たないし、何よりこいつは殴られる痛みを知るためにジワジワと苦しむべきだ。


「――うっぷ、おぇぇ」


 苦悶の表情で堂島は吐いた。

 ただでさえ呼吸もおぼつかないのに、度重なる腹部への強打。

 堂島は今、地上で溺れているに等しい状態だ。


 俺は先日、伏見甚太がされた時のように堂島の学ランを拾い上げると投げてやる。


「ほら、雑巾が落ちてたぞ。使えよ」

「……うぅ。くそっ……」

「どうした? 確かお前らにとってはこれが雑巾なんだろ?」


 堂島は顔中に脂汗を流しながら苦し紛れに叫ぶ。


「おいっ! お前らも見てねぇでこいつを殺せ! 『アレ』を使え!」


 堂島の命令を聞いて、クラスにいる何人かの堂島の舎弟たちは屋上に隠してあった鉄パイプを持ちだした。

 俺を粛清する際に使う予定だったのだろうか。

 武器を手にした彼らは俺に襲いかかる。


「おらぁぁぁ!」

「道具が使えるなんて、猿と同じくらいには賢いみてぇだな。どうやら使い方は知らねぇようだが」


 俺は流れるような動きで鉄パイプの攻撃を受け流し、それを逆手に取る。

 単調な攻撃を見切り、避け、同士討ちをさせ、蹴り上げて鉄パイプを奪ってはそれを自分の足元に捨てていった。

 堂島の舎弟たちが全員床に転がる頃には、俺の足元に鉄パイプが整頓された食器のように綺麗に並べられていた。


「どっから持ってきたか知らねぇが、ちゃんと返しに行けよ。お前らのせいで流れるはずの水が流れなかったご家庭があるんだからよ」


 軽く埃を払うと、俺はまた自分のスクールバッグを手に持って背負う。

 周囲からは唖然とするクラスメート全員からの視線を浴びていた。


 その前をあくびをしながら悠々と歩き、俺は1人教室に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
連載中の他作品
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『クラスで陰キャの俺が実は大人気バンドのボーカルな件』
こちらも連載中!
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『山本君の青春リベンジ~学校でイジメられてた俺が努力して生まれ変わり、戻ってきてからクラスメート達の様子がおかしい件~』
作品のブックマーク・☆評価お願いします!
<(_ _)>ペコッ
連載版始めました!
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『ライブ直前に怪我をしたアイドルの代わりにステージに立ったら、マネージャーの俺の方が大人気になってしまった件』
作品のブックマーク・☆評価お願いします!
<(_ _)>ペコッ
新刊!発売中!
『山本君の青春リベンジ!』
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、書籍情報に飛びます! ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、書籍情報に飛びます! ▲▲▲  
2巻も発売中!
『【漫画】ギルド追放された雑用係の下剋上~超万能な生活スキルで世界最強~』
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、漫画を読めます! ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、漫画を読めます! ▲▲▲  
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ