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第2話 転生前の陰キャの日常

 

 私立、重道しげみち高校。

 2年1組の教室の後ろでは、公然とイジメが行われていた。


「いくぜ~、おらっ!」

「――げふっ!」

「おいおい、ダメだろサンドバッグが喋っちゃ~よ~」


 凶悪な拳が脇腹にめり込む。

 殴られているのが俺、伏見(ふしみ)甚太(じんた)だった。


 殴っているのは、同級生の堂島真人(どうじままひと)

 とにかく身体が大きく、暴走族や地元のチーマー、暴力団とも繋がりがあると言われているクラスの番長だ。


「そうそう、堂島さんがクソの役にも立たないお前を役立ててくれてるんだぜ?」

「殴られて感謝するくらいじゃね~となぁ?」


 取り巻きの2人がそう言って、俺を両側から取り押さえる。


「だが良い殴り心地だぜ。たらふく水を飲ませたかいがあったな」


 堂島はそう言って、肩をグルグルと回す。

 そんな様子を見て、教室では女子も男子もゲラゲラと笑っていた。

 みんなスマホを構えて、俺の動画や写真を撮っている。


「ネットにはアップすんなよ?」

「センコーにチクったりしたらお前らの家族ごと死ぬまで追い詰めてやっからな」


 堂島たちはそう言ってクギを刺すが、もとよりそんな正義感を持った人間はこの底辺高校には居ないようだった。


「さて、じゃあいよいよその膨らんだ腹の感触を楽しむとするか」


 堂島は温まった肩で渾身の右ストレートを俺の腹に打ち込む。


「うぶっ!? うえぇぇ……」


 耐え切れず、口から水を吐き出すと女子からは悲鳴が上がった。


「うわっ!? こいつ、吐きやがった!」

「キモっ! ほんっと~にありえない!」

「動画撮っちゃった! あはは、マーライオンみたい!」


 そしてクラスのギャル、山城桃花やましろももかは俺を睨む。

 他のギャルたちも山城に続いて俺に罵声を浴びせると、堂島の取り巻きたちは俺を解放した。


「ちゃんとテメーで掃除しとけよ?」

「おっ、良いところに雑巾があったぜ。ほら、これ使えよ」


 そう言って、俺の学ランを床の水たまりに投げる。


「プッ! あはは! 良いじゃん、それで拭きなよ!」

「おい、言うとおりにしねぇと分かってるよな?」


「……はい」


 俺が言われた通りにそれで床を拭き始めると、頭を踏みつけられ床にベチャリと顔が押し付けられた。


「おい、何か忘れてねぇか?」

「や、役立てていただきありがとうございます……」


 上履きで頭をグリグリと踏みつけられながら感謝の言葉を述べると、周囲のみんなはドッと笑った。


 これが俺、伏見(ふしみ)甚太(じんた)の日常であり地獄だ。


 ――そして、この時はまだ思いもしなかった。

 数日後、彼らが俺に土下座して許しを請うようになるとは。


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