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家鳴りのあやめさん  作者: 東頭ルイ
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第3章

バイト先

「おはようございます!」

お店のドアを開け、挨拶をした。

心なしか少し声が小さかった気がする。

やっぱり、か、体重いな...

「唯ちゃん、おはよう!」

テーブルを拭いている斎藤さんが普段通り挨拶を返してきた。

「斎藤さんおはようございます..」

さっきよりもさらに声が小さく...というか声に力がない...

この力のない声を聞いた斎藤が心配そうな素振りで

「あら、なんだか眠そうね? 大丈夫?唯ちゃん? というか昨日からなんだか辛そうね?」

斎藤さん優しいなぁ。

私は素直にありのまま答えた

「あ、はい大丈夫です...なんかここ2日間天井の音がうるさくて寝れなかったみたいで...」


その話を近くで聞いていた翔子ちゃんが驚いた口調で話しかける


「あれ、唯ちゃん家って2階建てだから、天井から音なんて聞こえなくない?」

「そうなんだよね…おかしいよね…?」

それを聞いた翔子ちゃんが急に声色を変えて話し始めた

「もしかして…それ家鳴りじゃない?」

「家鳴り?」

「うんなんか天井からピシッとかパキッて音が鳴る事を家鳴りっていうみたい…

新築とか、古い住宅でよく起こるみたい」

「そうなんだ…」

それを見兼ねた斎藤さんが

「家鳴りって確かによく聞くけど、大した事ないよ。とりあえず耳栓でも買って寝るといいよ」

「耳栓かー。いいですね!斎藤さんありがとうございます。帰りに買っていきます」

これで安心だなー。

安心した私を見て翔子ちゃんが

「唯ちゃん、なんか怖がらせてごめんね…」

「うんう、全然大丈夫だよ!相談に乗ってくれてありがとう。」



そしてバイト終了の時間になった

「唯ちゃん、お疲れ様、今日ほんと辛そうだったね」

翔子ちゃんは私に優しく声をかける。

やっぱ翔子ちゃんはいい友達だなー。いつもありがとう。

「ほんときつかったよー... 翔子ちゃんの温もりで癒してー!」

翔子ちゃんに抱きつく私

「きゃっ!もうー!笑」

驚く翔子ちゃん

「よしよし!唯はがんばったぞー」

優しく私の頭を撫でてくれる翔子ちゃん

「ありがとう、翔子ちゃんー!」

そんな抱き合ってる2人を見て斎藤さんが少し笑いながら

「はいはい!仲がいいのは分かったから早く帰りなさい。

翔子ちゃん倉庫整理頼めるかしら?」

「あ、はい!わかりました!唯ちゃんおつかれさま!気をつけてね!」

翔子ちゃん慌てて倉庫に向かう。

「あ、うん!ありがとう!」

私は斎藤さんの方向を向いて

「斎藤チーフ!了解であります!帰宅致します!」

敬礼!のポーズをしながら斎藤さんに挨拶した。

すると斎藤さんも同じように敬礼のポーズを取りながら

「うむ!気をつけて帰るように!」

「ハッ!」

そんなやり取りをして、私はバイト先を後にした。


帰り道にあるホームセンターで耳栓を購入してルンルン気分で帰路に着く私。

「これで今日はぐっすり寝れるぞー!あ、朝不気味だった公園通るのどうしよう...」

私はもうすぐで公園の道辺りで足を止めた。

うーん...

この時、祖母が昔言っていた言葉を思い出した。



15歳の誕生日に霊感の話をされた時

「確かに唯ちゃんは今話した通り霊感はあるけれど、自分で霊感があると考えてはダメよ。」

「え、でも私霊感が人より強いって話だからまずいんじゃないの?おばあちゃん?」

祖母は笑顔で

「そうね、確かに唯ちゃんは霊感が人より強いわ。でもね自分に暗示をかけるとさらに霊感が強くなってしまうの。

「そうなんだ...」

祖母は私の頭を撫でながらさらに続ける

「だからね、唯ちゃんは霊感がない!って思いながら生きていくのよ」

祖母は安心しなさい。と言わんばかりの顔だったが、私は不安で不安でしょうがなかった。

そんな私を見た祖母は私を抱きしめて

「大丈夫よ、おばあちゃんが唯ちゃんを守ってあげるから。唯ちゃんがどんなに離れていても

おばあちゃんはいつも見守っているわ。」

私はその言葉を聞いて自然と涙がでてしまった

「ほんとに...?」

「ええ、おばあちゃんに任せない!おばあちゃんは最高の霊媒師よ!」

「ありがとうおばあちゃん...」



そうだ私にはおばあちゃんが付いているんだ。

考えないようにしよう。

うん、大丈夫だ。公園の道を通ろう!

私は気にせずそのまま公園の方に足を向けた。

すると公園には若い学生がサッカーをしていた。

学生は楽しそうだ。

ああいいなー、学生って楽しそうだなー。

私も早く専門学校行きたいなー。

そして何事もなく家に着いた。


「やっぱり何も考えなければ全然問題なかった!良かったー。」

私は安心して食事をとり耳栓をしてベッドに入った。

「耳栓ってこんな感じなんだ、無音笑、明日起きれるかな?うーん...そうだ!」

私の近くに置いてあるスマホのアラームを設定した。

設定で振動MAXの状態にした。

「よしこれを枕の下に入れよう。我ながら天才だな!」

準備完了!さ!寝よう!

私は目を閉じた。



ブーンブーンブーン


うん?枕が揺れてる?

枕の下から感じる振動を目を開けた

なんだろう...

私は枕をひっくり返した。

携帯が振動してる。

あ、そうか目覚まし変わりに携帯枕の下に置いたんだった。


うん?

私はカーテンから射す日の光に気付いた。

そしてカーテンを開ける。

あ、朝だ!

熟睡できたんだ!わーい!

私はけのびをした。

うーん!すごいスッキリしたー!

すごい熟睡できた!

あ!鏡!鏡!

私は洗面所に駆け寄る。

よし!クマもなくなってる!

昨日まであった目の下のふくらみにあったクマも無くなって私は一安心した。

よーし!用意してバイト行くぞー!笑

ふと私は思い出す。

あ、今日、翔子ちゃんと早番で一緒だった。

一番に伝えよう!

そして勢いよく部屋を飛び出した。



バイト先に着くと

「あ、唯ちゃんおはよう!あ!なんか顔色いいね!という事は昨日はよく寝れんたんだね?」

翔子ちゃんが温かくお出迎え!

「そうなのだよ!エッヘン!」

「良かったねー!」

睡眠って素晴らしいなー!

体が軽いー!


そして私は耳栓をし始めてから、3日間熟睡できた。


家鳴り。

家鳴りの事など忘れかけていた...



4日目の夜

スースースー

私はいつも通り耳栓をして熟睡をしていた。

すると


ピシッ!ミシッ!パーン!


大きな音が私の耳を突き抜けた。

ハッ!

慌てて私は起き上がる。

え?なんで?

耳に手を当てた

「耳栓...してるよね? …してる」

天井を見上げる

いつもと変わらない天井

試しに耳栓を外してみた。

え?!

私は身震いしてしまった。

「お、音の大きさが変わってない」

耳栓をしていた時と変わらない音で家鳴りが鳴り続けている事に私は驚いた。

さらに

うん?

音の感じ変わった?

ピ、ピ、ピ、ピシッ!

ピ、ピ、ピ、ピシッ!

ピ、ピ、ピ、ピシッ!



音が歩いてる?

音が歩いている気がする。

え?なんか近づいてない?

音が私に向かってきてる?

最初遠めでなっていた音が次第に歩く音にかわり、その音が私に向かって近づき始めた。

ピ、ピピピ、ピピピ、


ピシン!!!

音が私に到達した。

私はなぜだかそう感じ取れた。


そして

サーーーー

か、風?


音は私に到達したと同時にサーーという風と共に通り過ぎた。


……音が消えた。

部屋から音が消えた。

しかし次の瞬間

ズキッ!

頭痛!?

この頭痛...

はじめて家鳴りが起きた日に感じた頭痛と一緒だ!

さらに追い打ちをかけるように

アッ!

背中が重い!

私は背中に重さを感じた。

ひ、人?

私の頭の中になぜたか人という文字が連想された。

私は不思議に思えた。

でもその疑問は次に起こる事象で確信へと変わった。

........

『ねえなんでなの....』

え?み、耳元で声?

『どうしてなの...』

女の人の声?

『どうして!!!助けてくれなかったの!!!』

きゃ!きゃああああ!

じょ、女性の叫び声が!!!



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