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青空刑務所

2030年日本はA地区、B地区、C地区、D地区そして一般人にはあまり知られていないS地区に分かれている。


ざっくり説明すると、A地区は主に多くの人々が生活する地域を指す。

住宅街、公共施設、企業、学校、医療機関、広大な公園、ショッピングエリア、娯楽施設など日常生活に必要なものが全て揃っていてここにいる限り何も困ることがない。

僕もここに住んでいた。


B地区は農場地帯、C地区は畜産と漁業が行われている。

2030年現在、農業、畜産、漁業は昔ほど人の手を必要としない。

整備された農場や漁場、管理地で人間が命令した通りに働くロボットが人の代わりに働いている。

C地区では魚の養殖場や輸出用の食用昆虫の飼育も行われている。


D地区は工場地帯。

ここも、生身の人間はほとんどいない。

工場では遠隔で操作可能な産業ロボットが24時間働いている。


そして……S地区。別名『青空刑務所』


『S地区抑留』とか『S地区への島流し』という言葉があり人々から恐れられている地域である。


都市部からかなり離れた山間地などの、かつて住民が住んでいたものの過疎化が進み住民の人口が0になった消滅集落を丸ごと隔離した地域。


今から約10年前、それまで税金で運営されていた刑務所は財政破綻し廃止された。

それに伴い、実刑を受けた犯罪者は問答無用でこのS地域に送られ罪を償うことになった。


S地区は主に二つの種類がある。

一つは、かつては賑やかな地方の中心都市だったが、この10年間で起きた疫病や災害、戦争のせいで住環境が悪化しゴーストタウンになった地域。

そこにあるのは死骸と有害なゴミだけで中に入ること自体、危険な場所だ。


そしてもう一つは都会から遠く離れた観光も産業も無い交通の便が悪い田舎だ。

若者の人口流出が激しく高齢化が進み財政が破綻し次第に人が居なくなった土地。

いわゆる、消滅集落だ。


ここは、昔からあるわずかな古いインフラが残っているため、自力で水や食糧を確保できればなんとか生きていける環境だ。ここが、いわゆる『青空刑務所』に指定されている。


S地区に送られる犯罪者は身体の中に超小型のGPSを埋め込まれ常に国に居場所を把握され、さらに居住地の空にはドローンが飛んでいて生活の一部始終が監視されている。


そんな厳しい環境のS地区だが意外にも入るのは自由だ。


噂では、稀に文明社会に嫌気がさした世捨て人や借金で首が回らなくなり夜逃げした人間がこのS地区に迷い込んで混んできて住み着くこともあるらしい。


ただし、一旦この地域に入ると出て行くには物凄く大変で面倒な審査を受ける必要が出てくる。

だから滅多なことでここに一般人がやってくる事は無い。


僕はそんな場所に、よりによって犬として迷い込んでしまった…


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