おじいちゃんとお出かけ
「あれ、暖かい。なんか火が見える。」
目をうっすら開けると古い家の囲炉裏のそばのなんか柔らかいものの上に寝ていた。
「おお、目を開けた。よかったよかった。」
知らないお爺さんの声がした。
なんと僕は知らない老人の膝の上に寝ていた。
着物姿のお爺さんとお婆さんが、
僕の事を上から覗き込んで見ている。
なんか知らんが、僕は助かったらしい。
お爺さんは僕の身体を綺麗に拭いて、
温かい食べ物をくれた。
これは!釜戸炊きのご飯だ。うまい!
「ワンワン!」
うーん、人の言葉を話せない。
自分の姿は確認できないが、手足を見ると犬100%。
これは、夢か?
とりあえず、今日は疲れたから眠りにつくことにした。
翌日、元気になった僕はお爺さんの畑仕事について行くことにした。
長閑な(のどかな)風景。藁葺き(わらぶき)屋根の家々。まるで昔話のような世界だ。
なんでこんな所に、しかも僕は犬だ。
訳がわからない……
頭の中で?マークでいっぱいになってボーとして歩いているとお爺さんが言った。
「お前うちの子になるか?」
「ワン」
「名前をつけんとな。ポチにしよう」
お爺さんのネーミングセンスにはビックリするくらい何のひねりも無かった。
「ワオオン(ポチか〜?)」
「おお、嬉しいか!」」
僕の名前は犬と言えども、もう少しキラキラ感がある名前が良かったぞ……
そうこう、考えているうちに家の畑に着いた。
お爺さんは鍬で畑を耕し始めた。
結構広い……この畑を手で耕すのか。
それも全部一人で。こんなの人力だけでやっていたら腰を痛めるぞ。
僕が人間ならトラクターの一台や二台買ってあげられるのに。
昨日、命を助けてもらった恩返しがしたいが、今は犬の身。それも子犬。
何にもできない。愛嬌ふりまくくらいしかできない。
「ほれほれ、ポチ、じゃれて来ても、今は遊べんぞ……」
お爺さんは笑いながら僕を抱っこして畑の脇に置いた。
「ワンワン(うーん。何かできないか?)」僕は悩んだ。
ん??なんか匂いがする。僕にはわかる。これは……!
お金に愛される僕にはわかる。
引き寄せられているー。
僕は急いでお爺さんの所へ行き、着物の裾を口でひっぱた。
「ワンワン!(おじいちゃん)、ワンワンワンワンー!(ここ掘り返して!!!!)」
僕があんまり一生懸命に鳴くのでお爺さんはいう事を聞いて掘ってくれた。
すると、古い壺が出てきて中に大判小判、いわゆる純金インゴットが大量に出てきた。
お爺さんはビックリして声が出ない。その場に立ち尽くしている。
よし!これでお爺さんは僕のお陰で一攫千金。
大金持ちになった。
恩返しができて良かった、良かった。
ん?あれ、これ、なんか危なくないか……
この畑、家の裏にあって僕の名前はポチ。
まさか、『花咲か爺さん』!!!!
その時、畑の横を通りすぎる人がいた。
「やあ、こんにちは!どうしたんだい?その壺は?」
「おや、こんにちは。お隣さん。実はこの犬が見つけたんじゃよ!」
「ほーーー。」
隣のお爺さんが、笑みを浮かべて僕を見ている。
「ワオオン。わんわん。(見ないでー)」
どうなるポチ(僕)…