終わる日常
「──おい、起きろ有月」
その親友の声を聞き俺は目を覚ます。
「ん、一真か? ここはどこだ? 教室じゃないのか?」
冷静に俺は周囲を確認し、自分が教室ではなく謎の大広間にいることに気づく。
周りには俺と同じく目覚めたばかりのクラスメイトや、
倒れているクラスメイトたちがいた。
「俺も目が覚めたばかりでよくわからねぇ、
あの光に包まれて目が覚めたら見知らぬ場所だ」
一真は両手を横にし首を傾げ答える。
続けて一真は話続ける、
「この謎の広間もそうだが有月お前はもう気づいているか?」
「なんのことだ?」
俺は一真の質問の意味が解らず聞き返す。
「わからないか? じゃあ俺だけか?」
一真はそう言い手から突然糸を出し始めた。
「なんだそれは? いつもの手品かなにかか?」
俺は一真の突然の行動にこのよく分からない状況にふざけているのかと言い放つ。
「手品でもなんでもねぇ、よく聞け有月この糸は俺の意思で自由自在に出せて、
同じく自由自在に動かせるみたいなんだ! 今までこんなことできたわけじゃあない!
目が覚めたと同時に呼吸をするのと同じく自然にできるようになっていた!
お前も何か出せるようになってないか?」
冗談じゃあねえぞと言うように一真は糸を重力とは逆のほうに出し始め、
俺に似たような力がないかと聞く。
俺は自分に似たようなことが確認するように身体に力を込める。
そしたら身体から突然力が湧いてくるのを感じた。
「……確かに冗談じゃないみたいだな。
お前の糸見たいなのじゃないが俺にも何か不思議な力を得たのを感じる」
俺は自分に得た力を感じながら冷静に答える。
「やけに冷静じゃないか有月、俺は自分が突然糸が出せるようになって、
驚いてるってのによ」
「俺には能力よりも今置かれているこの状況のほうが気になるがな」
俺たちが話してると、周りのクラスメイト達も目を覚まし始める。
「ここは? どこだ?」
「あれ? 私教室にいたはずじゃ?」
目が覚めたクラスメイト達が困惑していると、
大広間の奥から四十代くらいの気品のある男性と
その部下たちと思える魔術師のようなローブをした年齢や性別不詳の者たちが周りに十数人ほどいた。そのちょうど真ん中にいる気品のある男性が話始めた。
「──勇者の皆様よく召喚に応じていただきありがとうございます。
私はこの植民地を担当している。十刀聖騎士の一人サンク・アーチと申します。以後、宜しくお願い致します」
そう言って、サンクと名乗った男は微笑んだ。