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無理な言いわけ

 俺とアーチェの話し合いが終わり少しして、ムツキは目を覚ました。


「……ご主人……ここは」


 寝ぼけ気味に目を擦りムツキは俺に話かけてくる。


「ここは馬車の中だ。同盟国に向かっているらしい」


「……うん……わかった」


 その会話を聞き、アーチェがどん引きして話しかけてきた。


「……貴方自分の妹にご主人なんて言わせてるの? どういう性格してんのよ!」


 アーチェの好感度が極端に下がったのが、その目から直ぐに解る。完全に軽蔑している。


「……何か問題でもあるか? 兄妹なんて人それぞれだ自分の妹にご主人と呼ばれる兄がいてもいいだろう」


 完全に無理が有る答えだ。見なくてもアーチェがドン引きしているのが解る。選択肢が無かったとは言えムツキと俺が妹と言う設定は無理があったな。どこの世界に自分の妹にご主人と呼ばせる兄がいるのだ。


「貴方ね。そんな無理通る訳無いでしょう。よく見るとその子、奴隷契約の魔術痕付いてるじゃない! どういうことよ!」


「…………ご主人……この人は……誰?」


 ムツキは突然会話に入ってきたアーチェの存在に困惑している。


「また、ご主人って言ったわよ! どういう事よ! 説明しなさい!!」


 アーチェは怒っているみたいだ。めんどくさい状況だ当事者でなければ、こんな状況見れば直ぐに引き返しその場を離れる。だが俺に逃げ場は無いこの状況をどうにかできる言いわけを考えなくては……。


「何とか言いなさいよ!」


「……」


 思いつかない。面倒だ。多少矛盾があってもいいから適当に話すか。


「…………ムツキと俺は途中で生き別れた。その時にムツキは奴隷にされてしまった訳だ。俺はそんなムツキを何とか見つけ助け出したが。その時ムツキはもう奴隷としての生活に慣れきっていて。俺の事を兄では無く自分の主人だと勘違いしている。俺はせめてムツキの魔術痕だけでも消そうと思い。旅をしていた。そこでアーチェ、お前と出会ったわけだ」


 話始めると以外とすらすらと言えたな。まあ全てでたらめだが。


「…………」


 ムツキが何言ってるのと言った様な顔でこちらを見つめてくる。


「…………そんな酷い出来事が有ったなんて。生き別れたのはオスティニア国崩壊の時? その子の銀髪はオスティニア国人特有の物だもの。あの戦争でオスティニア人の生き残りはかなり少なくなってしまったものね。同胞も居なくて辛かったでしょう。私に出来ることがあるなら協力するわ」


 アーチェは涙ぐみながら話す。俺は適当に相槌を打った。


「…………ご主人……それで……この人は」


ムツキはこれが茶番だと知っている。何時ものジト目で呆れ気味に俺を見る。


「私の名前はアーチェ・エルドリティスよ。よろしく!」


 アーチェは涙を拭きムツキに手を差し出す。


「…………?」


「……挨拶だ。手を握り返せばいい」


 それを聞きムツキはアーチェの手をおそろおそろと握る。


「……ムツキ・サヤマ…………よろしく」


「ムツキちゃんね、よろしくね!」


「……うん…………アーチェ」


 俺を呼び捨てにしないのにアーチェはいいのか……。俺はムツキを見つめる。ムツキはそれに気づくとこちらを見てにっこりと笑う。


「さて、そろそろ着くわね」


 俺は馬車の隙間から映る景色が変わっているのに気が付く。周りは一面森の緑から、何時の間にか建物や市場など様々な色に溢れていた。


 俺達はやっと同盟国まで着いたのか。

 異世界転移して帝国から追われて五日目俺はやっとの事同盟国にたどり着いた。

 だが、問題はここからだ。俺達が同盟国に来た理由は一つそれは帝国から逃げるため。それを成功させるにはこの国に定住する事。


 それをしなければ俺達はずっと追われる身だ。何とかしてこの国で俺達が生きるための職と住居を手に入れる必要がある。


「やっと到着したわ。ここが私の家よ。先に向かわせた部下によって既に貴方たちの事は報告しているわ。食事の準備もできているはずよ」


 俺達は馬車から降りる。ここがアーチェの家かやたらと馬鹿でかいな。まるで王城みたいだ。


「…………すごく……大きい」


 ムツキは何時もと表情は変わらないが少し興奮しているみたいだ。無理も無い俺もここまで大きい建物を見るのは初めてだ。

俺達が居た学校よりも大きいな。ここに住んでいるという事はアーチェは相当偉い立場の人の娘みたいだ。下手な事を言えば俺達の首が飛ぶかも知れないな。


 俺は敬語などまともに使えない。言語は日本と同じだが礼儀や常識まで同じとは限らない魔物とかいう得体の知れない生物も存在しているからな。


 まあ、俺程度が考えても無駄だろう。ここは何時も通りに振る舞うか。ムツキに聞いても礼儀作法など知らないだろうしな。客人で、しかも恩人らしいので多少の無理は効くだろう。


「こっちが入口よ!」


 アーチェの声と共に巨大な門が開く門の両脇には二人の門番がいた。

 警備に雇う人も居るとなるとアーチェの両親はかなりの大物みたいだな。


 俺達はアーチェの案内を受け先を進んだ。

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